嫁取りとその反対の事
「残念ですが息子さんは不適合者です」
そう告げられた時の両親の顔は見るに耐えなかった。
ユーリルに適合できない。
それはエンダーミネ人ではないとあう烙印を押されたようなものだった。
そしてその日、不適合を宣告された自分よりも辛そうな顔をした両親は、ハヤタを病院から連れ帰った。
その日以来、ハヤタは外出していない。昨日までの生活が嘘のようだった。生活は一変し、両親もハヤタとは話をしなくなった。
ハヤタ不適合者と言われただけで、両親の人生の汚点になってしまったのだ。
それはハヤタにもよくわかった。
だが、この孤独感を受け入れることは出来なかった。
頭で理解していてもそれを精神が受け入れてくれない。
心をコントロールするにはハヤタはまだ幼すぎた。
世界が自分を拒否している。
お前はこの世界に受け入れられない異物であると、排除しようとしているのだと、そう言われている気がしてならない。
(何処かに行きたい…)
毛布の端を握りしめて、ハヤタは気遣いのないサキコを見ていた。
この一年、ずっと誰かが同じように不適合者になればいいと願って来た。
誰かが仲間になればいい。
せめて自分1人ではなくなればいい。
世界を不幸にする術はないものか。
「ーでね、あたしつい最近聞いたんだけど、『離婚』した人がいるんだって」
サキコの声が初めてハヤタに突き刺さった。ハヤタは反応した。
「『離婚』?」
『離婚』とは一度適合したユーリルと再び分離することだ。かなり珍しく、ユーリルの説得が難しいとも言われている。
ハヤタは毛布から顔をのぞかせた。
サキコは勝った、というような表情をして続ける。
つづく




