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悪役令嬢に転生した少女は愉快に生きる!  作者: 踊り狂ったピエロ
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―ふぇ~、つっっかれた~…。


王子が帰ったあの後、私はげん父親に呼び出されお茶会の様子はどうだったかと尋ねられた。父親の部屋に行くなり母親もその部屋で待機していたらしく事細かに内容を聞かれ、説明をしなくてはならない羽目になった。

そのためいつもより疲労がたまっている。

服を自分で脱ぐ気にならず、今はこうしてベッドになだれ込むようにうつ伏せで寝ていた。


…脱ぐか…。


「カノンさん…、服脱ぐの手伝ってください…」


そういうとカノンさんは速やかに行動する。私は地面に立って万歳ばんざいをするだけでいい。あとはカノンさんがやってくれるので今日だけは甘えたいと思う。


―次に、私が服を脱ぎ終わるとカノンさんは新しい服を持ってくる。

この服は『私』がこっちがいいといって持ってきてもらうようになった服だ。余計な装飾はついておらずフリフリなんぞもついてない正真正銘、半ティーと半ズボン。はたから見れば没落貴族や少年にも見えなくもない格好だがここは私の部屋なのでそんなのは気にする必要はない。私はそれに着替えた。

そして少し天パの混じった髪を一つに結ぶ。これが私の最近のスタイルだ。

髪は、はっきり言ってクソほど邪魔である。できれば切りたいものだがこの世界は『女は髪命!』の世界なのでそうやすやすと切れないのが現状だ。なんともめんどくさい。


するとカノンさんが言う。


「あの、ミッシェル様、このキレジューバはどういたしましょうか…?やはり私がお世話を?」


今もなお籠の中で暴れているその鳥の名前は『キレジューバ』というらしい。

種族的にも珍しいため市場にはあまり売りに出されないという。そして売られたとしても大抵金持ちの人が観賞用に持ち帰るのだとか。しかし今回、この子は王子が部下に命令して自然の中から捕獲してきたのだとか。

そして今は、ギィー!!ギィー!!!となんとも耳につく濁音の声は懐いたらマシになるそうなので。ぜひとも飼い主である私がお世話をしてみたい。


「その子は私がお世話をするよ、もともとわたくしへの王子からのプレゼントですしね」


―あっ、それと。


「それと、王子からいただいた他の子たちもわたくしの部屋に持ってきて頂戴、植物動物関係なく。わたくしがお世話しますから。」


「は、はい!分かりました、しかし一つ問題が?あるというか、なんというか…」


するとカノンさんは眉を真ん中へ寄せ困った顔をした。

どうしたのかと尋ねると


「実は、三年ほど前以降にもらった生き物たちはすべて野に放ったのです、ずっと籠の中ではかわいそうと思ったので…今は、最低、一匹二匹ですが…」


「あーそういうことなら大丈夫です、お咎めみたいなもんは無しです、ほら、そんなことより早く、」


と、言うと、では後ほどまた失礼します、といってカノンさんは静かに出て言った。


―やっべぇ、王子と父親母親続けて連ちゃん(連続)だったから敬語が抜けねええぇぇ。

きっとカノンさんはそういう私の雰囲気を感じ取っていたからおどおどしていたんだと思うぅぅ。

ア~~~~~~~~!!!しくった、疲れてたからもあるけどあんな態度とったら!!なんか!!距離が遠くなった気がして!!!イーーーーーーーヤーーーーーーーーーーー!!!!


…はぁ、疲れた。。。


「ちょっと、ミッシェル様お疲れじゃないですか、大丈夫ですか?今日は王子様とお茶会だったっていうのに何をそんなに疲れていらっしゃるんですか」


「王子が来たからですぅ、その後もいろいろあって疲れたんですぅ」


「ほんっと、ミッシェル様は変わられましたねぇ、というかどうするんですか?この鳥、さっきから騒いでますけど」


頭上からじゅるりと音が聞こえたような気がした、もしや食うつもりじゃないだろうな。


「あの、勘違いだったらいいんですけど、食べないでくださいよ?」


「え?食べるわけないじゃないですか」


そう言って笑うネイビスさん、本気そうで怖い、プレゼント食ってくれるなよと祈るばかりである。


あぁ、それにしてもプレゼントというのはやっぱりうれしいもんだな…。

そうしみじみ思っていると先ほどのことを思い出した。


―王子が帰るときうれしい気持ちが先走って満面の笑み浮かべちゃったけど、その時の王子なんか、顔を少し赤らめていた気がする…。


「……ウーン」


もしかしてと思い鏡の前で笑ってみた。


(うーん、かわいいよなやっぱり)


そう、ミッシェルは少し目元が釣っているがこれといって別に気になりはしないのだ。この世界では基本ほんわか女子やかわいい系がモテる。

ミッシェルも満面の笑みを浮かべたら結構かわいいと思うのだ、私はタイプである。


「どうしたんですか?いきなり鏡の前で笑ったりなんかして…?」


「ネイビスさん、ちょっと率直に感想言ってもらってもいいですか?」


「は?はぁ…?」


私は心を温めてにっこりとネイビスさんに笑いかけた。

すると…。


「……」

「………」


「…………」


「……………あのぁ…ネイビスさん?」


「あ…。あ~~~~~~…可愛いですよ?はい…。」


…おや?この反応は。

ネイビスさんの少し焦った様子がなんとも面白いと思ってしまったが。


「やっぱり、可愛いですよね、顔」


―惚れたな、王子。…いや、知らんけど。



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