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はーいこんにちは、ミッシェルでっす☆
何故私がこんなにハイなテンションなのかというと。
今日はなんと、またまた、王子とのお茶会があるそうなのでーす。
もう私の苦労が絶えませんね☆
こんなこと言ってても何も始まらないし、あくまで私は公爵令嬢だからしょうがないんだけどね。
―そんな感じになったので、ネイビスさんとの修業は一時お預けということになった。
そうそう、あの後ネイビスさんと話し終えた私はほっと胸をなでおろし、ジャストなタイミングで入ってきたカノンさんと、ネイビスさんとで共にその極上のお茶を飲んだ。
とはいってもそのお茶は二つしかなかったけど。きっと自分の分は省いたんだと思う、カノンさん。
カノンさんはあくまで一介のメイドである。自分の分を持ってきてないのは当たり前っちゃ当たり前なんだけどね。だから私はそのお茶をカノンさんにあげた。もともと飲む予定なかったしね。
昔、ミッシェルが見栄を張ってか好奇心からか、このお茶を飲んだことがあった。しかし子供の舌には合わなかったらしく飲むのをやめた。共有している記憶から、たしか、苦かったと思う。
そんな理由をつけて、そのお茶をカノンさんに飲ませたら隣でネイビスさんは笑っていた。なんで笑うのかと聞く気力はもう失せた。きっと私の代わり映えがすごくてそれに笑っていたんだろうけど、ほんとに愉快な人だ。
そんなこんなでここに至る。
話を戻すが、お茶会をすることになった理由はというと、この世界の現お父様が『お前が最近王子とお茶されていないのでな、近々すればよかろう』と。それをメイドのカノンさん伝いに言われたことがきっかけである。
――ちょぉぉくせつ言ってこいや禿げ!!まだ禿げてないけど、脳内禿げがよぉぉ!!
私を王子専用結婚道具と思いやがってよぉ!!まぢでその髪、毟り取ってやろうかぁ!!!
―っと、まぁ、でも、こう言われるのも納得できる。
まだミッシェルがミッシェルしていた時、週に4回ぐらいはお茶会をしていたからな。
それが急に音沙汰もなく、消えたら、不安になったり、疑問に思うこともあっただろう。将来、結婚破棄されたらどうしよう、とかも思ったんじゃないだろうか。
だからというのか、王子からは、今日のお茶会でプレゼントがあるという。
まだ気分が優れないのだろうかと手紙が届いて私に寄越されたとき少しだが心配されている様子がうかがえた。
あんな、お嬢様していたミッシェルにもプレゼントをくれるとは、なんとも優しい王子である。素直にホントにそれは思う。
正直に言うとプレゼントはめちゃくちゃに楽しみだ。異世界のものというのでもテンション爆上げであるが、『プレゼント』というものが何よりもうれしい。
「ミッシェル様、お召し替えができました、今から装飾品を選ばせていただきますね」
そして今日も今日とてカノンさんに準備を手伝ってもらっています。
前と変わった所は、いちいち私に許可を取ってこなくなったこと。というか私がいやでやめさせた。あと信頼関係が少しでも昔より築けていたら万々歳です。
「できました、ではもう少しで王太子殿下が来られるので、行きましょうか」
「ええ、行きましょう」
―お嬢様発動!行ってきますわっ。
――――
いつもお茶会をするところの部屋につき、椅子に座る。
「-それでですね!次はこうなったのですよ!!」
息を撒く寸前ぐらいまでテンションを上げ王子に話しかける。もちろん顔には『地位と権力の塊』と考えていること、それを相手に分からせることを忘れずに。
――――
「それでですね―!」
―うーん、いつも通りというか、なんというか。
王子は何も言わずニコニコ笑ってこっちの話に耳を傾けているだけだ。
「で、そうなったんですよ!!すごいですよねぇ!!」
ここで少し休憩を、とお茶とお菓子に手を伸ばす。
とその時、私が一息ついたのを確認し、今度は王子から私に話しかけてきた。
「ところでミシェー、僕が送った手紙は読んでくれたかい?」
口の中のものを処理し、私は読んだと答える。
そこで私は察した、プレゼントだと。
―正直この時の私は少しばかり、いや、かなりテンションが上がっていたと思う。それで油断してしまっていたのだ。
私がプレゼントですか!?そうですよね!?といったら王子は少し眉を下げ笑って「そうだよ」と答えた。
そして従者に頼んで、持ってきてと伝えたものの数秒である。
―それはやってきた。




