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超絶遅くなりました。
―というか。
「えっ、名前、『ガガル』じゃなかったですかね?」
「あぁ、あくまでも仕事の時はガガルですよ?…なんせ本当の名前言うと大変なことになっちゃいますからね、あっ、でもミッシェル様は本当の名前のネイビスでいいですよ?」
「え、それってどういう…」
「…知りたいですか?」
そう言ってネイビスさんは声をワントーン下げて聞いてきた。
―んー…なんか嫌な予感しかしない。
私は内心ネイビスさんの態度に押され、少し冷や汗をかいた。
「いや、いいです―」
「―実はですね、」
話すんかい。
「本物の名前を言っちゃったら、特殊な魔法で隷属させられちゃうんですよ、とはいってもそれは魔法の名手さんぐらいしかできない芸当なんですけど、ここはあくまでもそれなりに地位のある家柄ですから、念のために、ですよ」
うおぉ…なんとも恐ろしい世界、っていうか、魔法って大体のことできるからすげーよな…。
「というかこんなところで仕事するのに本当の名前言う方がバカ、なんですよ」
…一瞬、本当に一瞬だが、そういったネイビスさんはどこか、悔しそうだった。
―いや、たぶん、私の見間違えだな。
「…だから、ミッシェル様、ワタシ達の事幻滅させないでくださいよ―?」
ネイビスさんは小さな私を見下ろしていった。
「―私は、一人の人生を抱えきれるほどの力量はこれっぽっちもありませんから、安心してくださいよ」
―その言葉を聞いたネイビスさんは、何故か満足そうに笑った。
ボチボチと上げれるようになりました、これからもよろしくお願いします。




