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申し訳ない、バチくそ忘れてました。許してくれめんす。
ケモノビト、それはこの世界に存在する生物が一種。
その容姿は人間と獣をたして2~10で割ったような姿をしている。
このゲームでは、ほぼ人間の姿をしている獣人族のカテゴリーに分けられているケモノビトと、獣の姿をしているが骨格はほぼ人間と一緒であり、二足歩行で生活している獣人がいる。
前者は、人間の姿形こそはしているが、耳がもふもふで獣のそれと変わらない。
後者は、見た目が完全にもふもふ獣人であり全身も毛でおおわれている。ただ二足歩行ができ尻からはゆらゆらと揺れるしっぽが生えているという。
あ、そういえばだが人間に近い獣人君たちはしっぽはない。
また、前者の方の呼び名は『ケモノビト』、後者はそのまま『獣人』と呼ばれているらしい。この知識はミッシェルが過去に読んでいた本の内容だ。
そして両者とも人間と比べれば身体能力は高いという。
ただ、欠点が両者ともある。
ケモノビトは人間よりかは身体能力はあるが獣人まではないという。しかしケモノビトは獣人が使えない、私たちが使っている魔法が使える。
反対に、先ほど言った通り、獣人は魔法が使えない。私たち人間や、魔物、ケモノビトにある魔法を使うための回路がないのだとか。
ケモノビトは、魔法と人間よりは高い身体能力を駆使して戦い、獣人は、身体能力を駆使し相手を翻弄する戦いを得意としている。
また、少しここで余談なのだが、この世界には『天狗』という者がいるのだそうだ。ミッシェルがミッシェルしていたときに読んでいた本に書いてあった。
それがいるのは『ワノクニ』といわれる国。
―はいこれこれ完全に日本を題材にした国だよね?
…ワノクニか、ここは中世ヨーロッパぐらいの時代だし、江戸?ぐらいの時代かな。
まぁ、これもあくまで予想だし、名前が似ているだけで、全く違う文化を歩んでいる国の可能性もある。
「お~い、ミッシェル様?」
―っといかん、またマイワールドにのめり込むところだった。
今はこの本性がこれっぽっちも分からないこいつの対応が先だな。
「―私は、」
「はい?」
そいつは私の次の言葉を待つ、口角を上げ少しだがあげて、面白いものを見つけたといわんばかりに私を見た。
「私は、正直にいつと交渉なんてこれっぽっちも得意じゃないんだ、だから、もう真っ向から聞かせてもらう」
「はい、何でしょうか?」
そいつはにやりと笑った。
―くそが、余裕かましやがって。
こっちはお前の出方次第で人生終わる身なんだぞ。もーちょい緊張感をだな…。
まぁ、実質こいつが主導権握ってるからこんな態度とれるんだろうけど。意識の違いを見せられてイライラが増してきて焦ってその焦りにまたイライラしてきた。
やばい、落ち着け。冷静になれ、ワタシ。
深呼吸を数回した私は、そいつと向き直し、そして問うた。
「あなたはさっきのメイドさんたちに私を売れたはず、なのになんでしなかったのですか…。あなたの目的は、何ですか?」
―数秒の沈黙が訪れその時の刻みと共に私の心臓のなりも増していった。
そしてそいつが言った。
「そうですねぇ、目的ですか。…強いて言えば面白見たさ、ですかね?」
笑みを崩さず、そいつは言ったのだった。