16
―ぶへぇ。
ごちごち。
私はおいしいおいしいご馳走を食べ終わったところです。
御馳走でお腹が膨れて一息ついたところ、私は過去の思い出に浸っていた。
―昔の家に居た時にも、こんなごちそうは食っていたが、まぁ、旨かったっちゃ、旨かったけど、なんかこっちの方が旨い気がする。
なんだろうな、何かが違うんだよな。
私がうんうんと悩んでいることにカノンさんが気付いたのか声をかけてきた。
「どうなされましたか、ミッシェル様」
「ん、あぁちょっと考え事」
「そ、そうですか…?何か悩んでおられたと思ったのでつい…」
そうそう、カノンさんは時々こんな風に、なんか私が困った風にしていたら声をかけてくれるようになった。
信頼関係が築けてきたのか、はたまた私が何を考えて、何をしようとしているのかが不安なのか、それは分からないが私は前者の方だといいなと思った。
もう魔法のことはカノンさんに知られているだろうし、これで信頼関係を築けていたら最&高の同犯罪者ではないか!!
…いや、犯罪者ではないけど。
でも、なんかこそこそと魔法使ってるし、勝手に家を出て泥を服につけて家に帰ってきたしな。
―あ、そうそう、今日、この屋敷を、魔法を使って抜け出して、野原を駆けずり回ったそのあとに帰ってきたから洋服がめっちゃ汚れてたのね。
帰ってきたちょうどぐらいにカノンさんが入ってきたから、驚かれながらも一緒に服の汚れを取ってくれたりした。
でもこれからも多分汚して帰ってくると思うから、賄賂的なもの、渡さなくちゃな。
「そいえばカノンさん、私が今日来てた服、あれどうなった?」
「あっ、あれなら私が抜かりなく洗いましたよ、ええ、それはもうピカピカに!」
ってことで、カノンさんの仕事増やしちゃうわけだからたくさんの賄賂用意しないといけないね。
…まぁ、それもこの屋敷の物なんだけどね。
もう少し魔法がいっぱい使えるようになって、そんで上手に使えるようになったら自分で調達してくるのもいいかもしんないね。
「ありがとねカノンさん、-んじゃ、寝る準備するから手伝ってくれてもいいかい?えーっと、じゃなかった、手伝いなさい」
「――はいっ!!」
―私がありがとうと言った時、カノンさんの顔をちらりと私は見た。
その顔は、なんというか、キラキラしていた。
うーーん、ありがとうと言っただけでこの反応とか。
昔のミッシェルはやっぱりやばかったんだな。
――――――
はい、おはざます。
ミッシェルにございます。
さて、朝ごはんも済ませ、今日は何をするのかというと、
今日は!なんと!無属性魔法の!アイテムボックスの練習を!したいと思います!
今日も無属性魔法かよっ!!っと思うかもしれないが、焦っちゃのんのん。
昨日寝るときに考えたのだが、テレポートが使えるようになっていろいろなところに遠出ができるようになった。そしたらやっぱり火の魔法の演習をするときは燃えない所の地形でやりたいし、遠くの場所で練習をして、遠出をするとなるとそれなりに、荷物がかさばると思う。
まぁ、この体には、生活するうえで必要最低限の筋肉しかついてないのでその筋肉をつけるために持ってもいいのだが、なにやら令嬢というのはぷにぷにしていてなんか、こう、守りたくなるような生物でなくてはいけないらしい。
今のところ私は、アイネルートというか、そんな感じの立場なのであまり筋肉をつけない方いいと思う、ということだ。
うーーん、めんどくさい。
…ま、後のことは後の私に任せよう。
とりあえず、ベランダに行こうかな。
――――
さぁ、ベランダにやってまいりました。
詠唱はテレポートと同じ形式である。
最後の第何々魔法『なんちゃらかんちゃら』の所をテレポートから『アイテムボックス』に変えるだけでいいのである。
なんとも魔法というのは不思議である。
―よし、さっそく。
「森羅万象の貴神よ、無は零なれど、そこにある間は壱にあり。我がミッシェルの名において、現の夢を過ごさんと誓おう、いつかの子らが泡沫を手にすることを願って、第31魔法、『アイテムボックス』!!」
成功するかと胸を躍らせて待っていた。なんとなくだが、私の魔力が使われた気がする。
―だからだから。
―そして、目の前にはなんと時空の割れ目のようなものができていたのであった。
体がゾクゾクと震える。
「…ふぉーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
そして私は天高く叫んだのだった。