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ふ、不発って。
な、なんでやん…。
―HEY!!
何で~なんでーなんでやねんねんねんっ。
―っとまぁこんなことやってる暇はなかった。
早く原因を見つけなければ。
―まずは基本から思い出してみよう。
体内にある魔力を使い魔法は発動する。
テレポートの場合は、行きたい場所をイメージして詠唱を唱える。すると詠唱の法則にのっとり魔法は発動する。
――んー、原因という原因ははっきりとしては分からないけど、そうかなぁーって感じの心当たりはあった。
それは私が詠唱の文をはっきりと覚えていなくて、本に書いてある詠唱文を見ながら言葉を発したからではないかと予想。
それで脳みそがイメージしていた風景を霞めてしまったのではないだろうか。
――おーーん、まずこれ詠唱文覚えないといけないんじゃね?
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そんなこんなありましたが、詠唱文覚えることができました。
いや、まじミッシェルの脳みそ有能。
もともと私は暗記系のものを覚えるのが苦手だった。どちらかといえば理科や生物など元の素材があってから、そこから網状に勉強が広がっていくというスタイルの方が覚えることができたのだ。
しかし今やどうだろう。
長い呪文も覚えられているではないか。
おお神よ、この転生先にしてくれたことに感謝である。
―まぁ、実際神様は見たことないんだけどね。
よく転生物とかには神様に会って転生先を選べる、とかチートをもらう、とか前世の記憶を持ったまま(神様にあったことも覚えていて)異世界に生れ落ちる、とかがある。
しかし私は神様に会った記憶がない。
まぁもし会っていて、転生先とか聞かれていたら、何故に私はこの転生先を選んだのだという話だ。
うん、まぁどうでもいい話をしてしまった。
こういうことを考えるのが好きなのだ、しょうがない。
やめられない、とまらない。前世で鍛えた一種の妄想癖である。
とりあえず、さっき覚えた詠唱をしながらあそこの丘をイメージしよう。
「森羅万象の貴神よ、無は零なれど、そこにある間は壱にあり。我がミッシェルの名において、現の夢を過ごさんと誓おう、いつかの子らが泡沫を手にすることを願って、第28魔法、『テレポート』!!」
――すると体が暖かなものに包まれて、体が浮上したのが分かった。
私は驚き、目をつぶってしまったが、目を開けた瞬間―。
――そこには先ほど、ベランダから眺めていた大きな、若々しい木が目の前にあり、足元には健康な土から生えている草花があった。