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―――そこは海。
砂浜は純白でその上を行き来している水は煌びやかに輝いている。
太陽から降り注ぐ光を受けた、二つの宝石はその美しさを一段と発揮した。
そこには愛し合って見つめあう男女とそれを悲しく見ている女の人がいる。
「こんなに心を奪われたのは初めてだ。僕は君を一生涯、愛する事を誓うよ」
--そこは夜景。
キラキラとしたネオンが、世界を明るく照らし、まるでこの先の未来を彩るかのよう。
その輪の中に二人の男女。二人は愛を確かめあう。
人々の灯火が彼らの行く末を祝うかのようにその輝きは増していった。
「俺が唯一、好きになった人。どうか一緒に生きてほしい」
そこには二人を怨嗟の表情でその光景を見ていた少女が一人。
―――そこは教会。
最高位の神を信仰しているその建物は、ステンドガラス、黒曜石、魔石で作られている。
そのデザインは大胆で繊細だ。像は神々しい雰囲気をまとい、祈りに来る人々を幾度となく魅了する。
そこに愛し合う男女が二人。
そしてそこに、二人を恨めしそうに見ている女性がいた。
「私はあなたを幸せにすると誓う」
男は愛しそうに相手の女性を見つめ、手を差し出した。
「この手を、取ってはくれないか?」
―――そこは夜空。
高く伸びる丘に、楽しげな雰囲気を楽しみ、愛し合う男女が二人。そして、その二人を怒りに満ちた顔で見つめる女の人が一人。
空は、星々が生きいきと自己を主張し、見た者を引き込む。周りに人気はなく草木の擦れる音が耳を撫でた。
「僕は運命に出会った。一緒に生きてくれませんか?」
―――そこは無機質な部屋。
必要最低限なものしか置いてないその部屋は、家主の心を表している。どこか寂しさが感じられる部屋だが、そこは、今や、満たされている。
「俺はお前しかいらない。傍に居てくれ」
―――そこはレストラン。
多くのシャンデリアがその身に温かみのある火を灯し、人々を包み込む。
質のある椅子にその体を預け、柔らかな雰囲気を身に感じながら、美味な食事を口に運びながら談笑する。
そこには愛の誓いを果たそうとしている男女。
そして少し離れた場所でその様子を憎らしい顔で見つめる女性が一人。
「これを受け取ってくれないか、俺の気持ちだ」
―――そこは灰色。そこには縋るような声が響くだけ。
すべての光を遮り、もう、逃げられない。
「俺だけを見て?俺だけを、愛して?」
彼らは愛を囁く。
愛しい人を手に入れて。
その顔には笑みを浮かべた。