逆
第5話「逆」
「私は天馬君の事が好き、て~ん~ま~く~ん?」
彼女は、天使の様に微笑んでいる
【俺】
「こ~ら、ダメじゃないか、そんな、誰もいないからって…」
ぐひひ、ぐひひひひ、ハッ…
「夢か、 …ん?」
なんだか隣から、ものすごい殺意を感じるぞ?
隣を向くと、海風ちゃんが、今すぐ俺を刺してきそうな勢いで、顔を赤くしながら飛びかかって来た
【俺】
「こ~ら、そんなに俺の事が愛しかったのかい?」
そして俺は、顔をぶん殴られ続けた。
女の子と世界で2人きりか、アダムとイヴになって、一から世界でも作れってか?
俺は昨日、この世界に来たばかりで、まだ何も分からず、寂しさも、海風ちゃんが居るから、今は大丈夫だ。
俺は小声で呟く
「あの子は、10年も、1人で…」
それでもこの世界から出られないんだ、もう出口なんて、ないんじゃないか?
そんなくだらない事を考えながら、俺と海風ちゃんは、出口を探しに外へ出る。
4時間後…
「もう、限界…疲れた、ちょっと休憩。」
俺は、全てを甘く見てた様だ… 予想よりもきつい。
【海風ちゃん】
「…」
「あれ?ここって、俺の家じゃん」
俺はいつのまにか、自分の家の前に来ていた
とりあえず、入ってみるか…「ただいま~…」
そして、俺の目の前に写っていた光景は…
「え? …なんだよ、これ?」
父さんが、ナイフを持って、妹を、刺そうとしてる
「ハッ、母さん…」
もう手遅れだ、母さんは…
父親は元々うつ病で、よくナイフを持って暴れたが、まさか…そんな…
俺は思いっきり、ナイフを持っている手を、動かそうとする…が、動かない、妹の体も動かず、でも俺は、諦めきれずに、ただ、もがいてた。
そして、日が暮れ、何も見えなくなり、俺は諦めた。
もし、世界が、時間が動いたら、妹は… そんな。
そういえば、今日は海風ちゃん、やけに無口だったな…
「もう、いいや」
俺は、家にあったナイフで、心臓を、刺した。
「おはよう、天馬君」
あれ?朝か、目の前に可愛い天使がいる。
「おはよう、海風ちゃん」
俺は、何か大切な事を忘れてる、まぁ、いいか。
海風ちゃんの後ろには、
血がびっしりついた、俺の服が畳んであった。