理解
第4話「理解」
天馬君の声が聞こえる
「おーい、海風ちゃ~ん」
怖い、でも、なんだかニヤニヤしてしまう。
そして、天馬君が私の前に来る
木の枝で引っ掻いたのか、天馬君の顔に傷ができていた。
【天馬君】
「今まで1人で辛かったよな、もう、何もかも全部忘れ去れてあげるから、俺と一緒に出口を探そう」
【私】
「死にたい、もう、死にたいの、分かる?この気持ち、私は10年間、1人でこの恐怖と戦ってたの…最初の3年間は絶望で一杯だったよ、涙も枯れて声も出ない、自殺なんて何回もしようとしたしね、でも、矛盾してるよね、人間って、本気で死のうと思ってるのに死ねないんだもん…私は今でも死にたいと思ってる、正直に言うと、ずっと1人で生活していく覚悟がついたのに、貴方が突然目の前に現れて、少し希望なんかも出てきて、そんな希望に下がってる私が嫌で…貴方なんか動かなければよかったんだ」
そして私は 「たすけて…」と言う。
私は心の中の全てを天馬君にぶつけた。
「そっか、ごめんな、俺は君をどうにも出来ない、ただ、死ねないのは、それは希望を信じてるから死ねないんだと思う、もしも を信じてるから死ねないんだ」
私が、希望を信じてる? そっか、そうだったんだ。
私の目から涙が溢れる。
「泣くなんて7年振りだよ」天馬君は慌てて謝ってくる
「あわわわ、なんか、ごめんなさい、何も知らずにこんな事言っちゃって」
私は首を横に振り笑顔でこう言う
「ねぇ、出口、探そう」
ふと、私が天馬君の顔を見上げると、天馬君はニコニコと微笑んでいた。
あれ?天馬君の顔、傷が無くなってる…