Siebenundzwanzig
その日も、静かな湖畔で、時折聞こえる鳥の声や木々のさざめきに耳を傾けながら、二人は何気ない会話に花を咲かせていた。
言葉の節目、一瞬の静寂が訪れる。エーリカの頭に自分を牢から助けた男の顔が過ぎった。むしろ、ヒースの立ち居振る舞いが、かつての叔父の姿を彷彿させたと言っても過言ではなかった。
「あの、お父さんと同じ任務に就いてるって……」
「ああ。近隣の村や町、ひいては国から認められた重要な仕事だ」
「きっと、立派なお父さんだったんだと思う──」
話しながら、エーリカは懐かしい思い出を写したかのような、輝く水面を見つめていた。鼓動が聞こえそうなほど近くにいるヒースも同じだった。
「味方のいなかった私を、唯一助けてくれた人だもの」
彼女の発した一言は、意図せず呼び寄せてしまった一陣の風が二人の間を駆け抜けた。その風は、穏やかな空気を一瞬にして拭っていった。
ヒースはエーリカの顔を見るとみるみるうちに怪訝な面持ちになっていく。彼の雰囲気を悟った彼女は思わず立ち上がって口を押さえた。
「父さんを知ってるのか?」
疑惑に満ちた眼差しが、エーリカの潤んだ瞳に突き刺さる。
口ごもって足を退いた彼女の様子を答えを受け取ったヒースは、ゆっくりと立ち上がる。そして、悔悟を噛み締めながら彼女の前を去った。
※次回は、12月7日に公開予定です。




