Null
性描写で始めるのは悪手である。と、ものの本にありましたが、やってしまいましたので、ご査収ください。
満月の夜。
時代の移り変わりとともに過疎化が進行する漁村のはずれ。木造の質素な住居の一つに、蝋燭の灯っている民家がある。ときどき揺れる光は不自然で、規則的に遮られているようだった。
木製のベッドが軋む音。押し殺した喘ぎ声が漏れる。近隣に住居はなく、誰に聞かれるわけでもないが、この期に及んでまだ残っている羞恥心が、淫靡な嬌声を押さえ込んでいた。息を荒げた屈強な男が、まだあどけなさの残る少女の小さな身体に覆いかぶさり、不器用に腰を打ちつけるたび、少女は肺の空気が押し出されるように苦しそうな息を吐き、綺麗な黄金色の長い髪が安っぽいシーツの上に広がる。真珠のような輝きを秘めた紺碧の双眸を潤ませ、痛みに堪えながら噛みしめていた唇は、少女自身が抗う術のない状況を認めたときから、緊張を喪失していた。
弛緩した少女の肉体に気付いた男は、楽しみを奪われまいと少女の頬を張る。しかし、その後、視線が男に戻ってくることはない。仕方なく少女を抱き起し、繋がったままの状態で無理矢理うつ伏せにさせ、再び腰を動かし始める。少女は体勢による負担が大きく、みるみるうちに生気が奪われていくが、そんな様子を気にも留めない男は、反対に絶頂を迎えつつあった。
いっそう荒くなる男の呼吸と、少女のか細い息が重なって、世にも不純な旋律を紡ぎだす。刹那、少女の下腹部は男の熱い白濁液に満たされ、乾いた瞳からは玉の涙が幾筋も頬を伝った。
彼女の運命に暫しお付き合いいただければ幸いです。
※次回は、6月1日に公開予定です。