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私の知らない他校の制服  作者: インフェルノコップ
4/7

私の知らない他校の制服 -第4回ー(全7回)

日曜日の夜は、ラモに連絡しなかった。向こうからも何も無かった。


明けて月曜日の朝。

学校の最寄り駅で、ラモを待った。ラモは電車でこの駅まで、私は少し遠回りだけど、徒歩でこの駅まで行き、一緒に登校する。


週明けの月曜日独自のリセット感覚で、少し乗り気では無かったけど、いつも通り駅で待ち合わせた。


曇り空、午後から雨が降るらしい。

大体いつもと同じ時間くらいにラモはやってきた。

ラモは私と目が会うと、ピッとイヤホンを外し、


「おはよー。暑っ…」と、いつも通りのテンションの挨拶をしてきた。

学校までは、この駅から歩いて15分ちょい。

特に変わり映えのしない会話をしつつ、昨日の出来事について、私からは聞く気がしなかった。


現社の時間、またも北先生はテロとか有事の際の自衛隊の動きなどを話始めた。

男の人は本当にこういう話が好きだな。この、試験範囲には一切含まれない話だけが、頭に残るので勘弁してほしい。


ふとラモの方を見ると、彼女は居眠りをしていた。

首のうなだれ方から昨日の光景を思い出してしまう。

出てもいないダンス部の練習に疲れて寝てしまったのだろうか。


「ねえ、最近、まるさんって学校来てる?」


休み時間。私が自販機からお釣りを取り出そうとした時、よく分からない質問をしてきたのは、よく分からない女子。


「来てますけど?」

私は咄嗟に出た敬語で答えた。


何となく上級生に見えたのと、私にラモのことを聞いてくる人ならばダンス部かなという直感で敬語にしておいた。うちのダンス部は上下関係がキチンとしているらしいから。

見事、それは当たっていて、彼女はダンス部の2年生で、ラモのチームの面倒を見ている人らしい。


「あー、そっか、うん、ありがとう」

と言って去ろうとする彼女に、思い切ってラモの事を聞いた。


最近、基礎練習ばかりサボっていること、練習メニューのノートを借りたまま返していないこと、上級生のLINEを無視することなど、およそラモらしくないことばかりを聞いた。

「あの子、やる気あるのかなぁ」

と言って、その上級生は去っていった。


また次の休み時間に、私はラモの頭を掴んで強引に下に向け、うなだれるようにしてみた。

「え?なになに?」とラモ。


それをじっと見る私。そう、昨日はこんな感じの角度だった。


ラモの染めていない長い黒い髪は、さぞやおっさん受けが良いことだろうと思ってしまった。

ダンス部をサボり、私に嘘をつき、知らない制服を着て、知らないおっさんと会っていた。

ラモの白い頭皮が私の指の隙間から見える。


「ちょっと、亜子、苦しい」

と言われて、私は手を離して教室を出た。


苦しいのは、私だ。


それから放課後まで、私はラモと一言も話さなかった。



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