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世界最巧の英雄~器用さだけが取り柄です~(大幅改稿予定)  作者: ぽんぽん
第一章存在しないメモリー
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第二話 才能の有無

すいません、遅くなりました。

 領主である私レイク・ベル・アストリアを今大いに悩ませているのは領地の後継者問題についてだ。

 アストリア辺境伯の治めるアストリア領の後継者は一人しか居ない上に重度の虚弱体質という事で、領民達の大半がアストリア家は将来大丈夫なのだろうかと不安を抱いてしまっているからだ。

 確かにこの魔物の侵略の多い辺境では弱い領主など誰も歓迎しようと思わないだろう。

 それだけに、父親として息子の将来が心配でたまらないレイクであった。


 その頃、そんな事情を知らないルーク・ベル・アストリア本人はというと…………


「この日を何年待ちわびたことか………遂に、遂に精霊さんに魔力盗られなくなりましたぁーーー!」


 そう、俺は初めて精霊と出会ったあの日から、毎日やって来る精霊達によって、魔力を毎日限界まで盗られ続けた結果、常時魔力欠乏症状態だったのだ。

 しかし、それも今日で終わりである。

 苦節六年、七歳になった俺は遂に精霊さんとの魔力操作技術対決に勝ったのである。これまでの俺は精霊さんに吸収されていく魔力を抑えられなかったが、持ち前の器用さと六年間操作技術を磨いたことで精霊さんとの魔力の綱引きに勝てるようになったのだ。


「もう、これで屋敷の人に無口で何を考えてるか分からない不気味な子(魔力欠乏による疲労感で言葉を長々と話す余裕がなかったから)とか、一日の大半を寝るか、本を読むかで過ごす貧弱跡取り(魔力欠乏で意識が強制的に切られる上に、魔法は使えないので本を読んで見識を深める位しかやることが無かったから)とか言われないで済む」





 俺はこうして自由(に使える魔力)を手に入れたのだ。

 ちなみにその悲劇の原因となった精霊さん達は、現在屋敷の周りに住み着いており、自室の窓から庭園を見てみれば色とりどりの無数の精霊さんが飛び回っている。


「こうやって見てたら綺麗なだけなんだけどな……」


 あの、憎き精霊達と言えども美しい光景なのは否定できない。

 但し、この景色を見れるのは屋敷内だと俺一人である。

 何故なら、どうやら精霊とは実体を持たず普通の人には声を聞くことも、姿を見ることも出来ようなのだ。これは、屋敷の人で検証済みである。

 ちなみに俺は不思議なことに、精霊の声を聞けるし、姿も見える。

 その上、何故か触ることも出来る。

 俺がこんなに精霊に懐かれるのは、三つ目が一番の原因である。今まで精霊である自分達に触ることが出来る人間など居なかったからである。


 本当に厄介な体質である。

 だが、今の俺には磨き上げた魔力操作技術が有るので恐いもの無しである。ちなみに精霊さん達は今も新顔の奴が、俺の周りを小うるさく飛び回っている。


「バカ」「アホ」「マヌケ」「ダイスキ」


 精霊さんの悪態?も今日は全く気にならない。ちなみに最後の奴は撫でたあと魔力をプレゼントしてあげた。

 いつもの俺なら此処で魔力を盗られて泣き寝入りするしかなかったが、今日はちがう。

 魔力が有ることで元気一杯な俺は、


「残念だったなぁーーーー!チビッ子ども」


 積年の恨みを晴らすように、キメ顔で叫んだ。今の俺は最高にいい笑顔をしてるに違いない。

 すると、屋敷のあちこちで物が割れる音やぶつかる様な音が聞こえてきた。

 それに続いて、俺の部屋へと向かって来る複数の足音が聞こえる。




 そして、勢い良くドアが開かれる。


「「「「「ルーク(様)どうしたの(ですか)!?」」」」」




「いや、ちょっと叫んでみただけだけど………」


 どうやら、ヤバい奴と思われたかもしれないなと思っていると、何故か皆が涙ぐんで互いに抱き合っている。



「ルークが元気になったよぉ~!!しくしく」


 俺の母親であるエリーザ・ベル・アストリアはその年齢に対してあどけない顔を涙で濡らしながら、俺に抱き付いてくる。ちなみに子持ちとは思えない位若く見える美少女だ。


「魔力も感じられないし、元気も無いからお前が健康に育つか心配だったんだぞぉ~!!しくしく」


 父親であるレイクまでもそのイケメンフェイスを歪めて男泣きしている。


「ルーク様ぁぁ~お元気に成られて良かったですぅ!!」


 例の専属メイドも大号泣である。


「父さん、母さん、皆これからはもう元気だから心配しないでいいよ……心配してくれてありがとう」


 うん、何ていい家族と使用人たちなんだ・・・グスングスン、不覚にも涙が出て……

 ちょい待てレイクは今、何て言った?

 魔力が感じられない?




「ねぇ、父さん今僕に魔力が感じられないって言ったけどそれ、本当?」


「あぁ、但し正確には他の人と比べてだけどな」


 まさか俺の魔力はこの世界では少ない方なのか、いや、でも毎日精霊さんにまるまる持ってかれてたから上限値は上がってるはずだ。

 魔力切れまで魔法を使ったのと同じ効果が有ったのだから。

 これは、屋敷の本で調べたから確実だ。

 そして、俺自身も自分の最大魔力保有量に達していないのが感覚でわかる。


 とすれば…今は少ないという可能性が一番だな。




 なーんだ問題ないじゃなーい!!


 あっはっはっはっ








 ~それから数日後~

 俺は体調が改善され、今日もレイクから庭で剣術を習っていた。


 俺は木剣を正眼に構える。

 レイクはそれを確認すると木剣で軽く袈裟斬りを放つ。

 俺はそれを剣の軌道に合わせて剣の腹で受け流し、

 更にカウンターでそのまま袈裟斬りを返す。

 レイクはそれに対して、上半身を傾けて回避し、がら空きになった俺の背中に剣を振るう。


「大分、良くなったな。ってまだ防ぐか」


 俺は背中に当たる寸前に手首を返し逆袈裟で剣を弾いた。

 んっ?弾いた?あっ、しまった。

 気付いた時には一回転したレイクが俺の首に剣を添えていた。

 どうやら、俺の剣を受け流す勢いそのままに回転したらしい。


「この技は初めて見せたか?これは『柳改(やなぎかい)』って言う技で元々は『(やなぎ)』って言う受け流しの技の発展系だ、便利だぞ」


「強すぎるよ、父さん」


 手加減はしても絶対に負けてくれないレイクはきっと負けず嫌いに違いないな。まぁ、手抜きされるよりはいいけど。



「お前は魔法無しなら、年上の子供にも負けないだろうな」


「そうなの、父さん?そうだったら嬉しいな」


 そう、魔法無しならだ。


「只、魔力がなぁ………」


 レイクは難しい顔をしている。





 うん?魔力はどうなったかって?

 勿論上がったさ、







 一般人レベルまでは、


「何でなんですかねぇぇぇぇー!」


 そう、一般人レベルなのだ。

 自分の魔力量の最大値に達してないのが体感で分かるにも関わらず、魔力が一定以上回復しなかったのだ。

 因みに一般人の魔力量は10ぐらいで父のレイクは300ほどで母のエリーは600近く有るそうだ。詳しく聞くと、魔法ごとの消費量は大体こんな感じらしい。

 初級魔法・・・1~10

 中級魔法・・・10~50

 上級魔法・・・50~100

 準戦術級魔法・・・100~300

 戦術級魔法・・・300~600

 準戦略級魔法・・・600~900

 戦略級魔法・・・900~


 父のレイクは後先考えなければ戦術級が撃てて、母なエリーは準戦略級が撃てるのだ。

 つまり二人で協力すれば戦略級が撃てる夫婦と言うことになる。実際、王都への魔物の大進行をかつて二人の戦略級魔法で止めたことから、『救国の英雄』や『王国最強のおしどり夫婦』と呼ばれている。相性が良くないと魔力共有は出来ないらしいがラブラブ夫婦の二人には余裕だったのだろう。

 更に加えると魔力は遺伝するらしいので二人の子供はかなりの魔力量に成ると言われていたらしい…

 …………










「才能無くて、本当に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁーーーー」


 俺は庭で土下座をしていた。

 だって、申し訳なさすぎるもん。


「魔力のことは気にするなルーク、確かにお前の魔力は一般人レベルだ。でも、剣術の方は数日とは思えないほど上達したぞ、七歳の子供ならルべリス王国一なんじゃないか?」


 生前は武術に関わらなかったから気付かなかったが、

 どうやら手先の器用さは剣術でも役に立つらしい。俺自身こんなにすぐ上達すると思わなかった。


「ありがとう、父さん。でも、僕は魔力がないから剣術の才能が有っても父さんみたいな一流の魔法剣士や母さんみたいな凄い魔法使いには成れないね」


「お前は何か思い違いをしてるぞ、ルーク」


「どういうこと?」


「俺の剣の師匠も魔力が少なかったけど、滅茶苦茶強かったし、現に今でも王国の剣術指南をしてる。

 だから、別に魔力の量だけが人間の全てじゃないんだ。

 例えば国を守るのは魔力の多い俺の様な人間だが、国として成り立つには内政の出来る人間や金儲けが得意な人間や食料を作る農家が必要不可欠なんだ。

 だから、お前が魔法剣士や魔法使いになれないからと言って自分を卑下するんじゃない」


「でも、父さんは僕に魔法剣士に成って欲しかったんだよね……」


「まぁ、そりゃな」


「その夢叶えられそうになくてごめんなさい」


「ルークお前は七歳とは思えないほど賢いせいか、考えすぎなんだよ。お前に魔法剣士に成って欲しかったのは俺やエリーの願いであってお前の願いじゃない。」


「でも、父さんと母さんは無能な子を産んだって他の貴族にも馬鹿にされてて、王様もがっかりしてるって衛兵が言ってるのを聞いて、それが申し訳なくて、悔しくて………………」





「だから言ったろ、お前が俺達に責任を感じる必要は無いんだ。産まれてくるお前には何の非も無いんだから、無能とか不出来とか言いたいやつに言わせとけば良いんだよ。お前は魔力が有ろうと無かろうと俺とエリーの子供なんだから」


「でもっ!でもっ僕は父さんと母さんと違ってほとんど才能(まりょく)のない無能なんだよ!」



「それは違うぞ、誰しも何かしらの才能を持ってるって俺は思ってる、それがお前の場合は魔法じゃなかったってだけのことさ!あっはっはっはっはっ」


 俺はずっと忘れていた、天使の子に言われたことを、あの時あの子は俺にこう言った。


「貴方の才能は貴方が思う以上に凄いんですから」


 俺は天啓を得た様だった。

 自分の手先の『器用さ』を当たり前だと思って、才能が無いって勝手に(ひが)んでた。


 魔力に恵まれた両親を見て育ったから、勝手に魔法使いや魔法剣士に成ることを期待されてると勝手に思ってた。いや、思い込んでいた。

 何で今まで気付かなかったんだろうか、俺の両親はそういう人じゃないことに。



 そうか、俺は今までちゃんと二人を見てなかっんだな…………




「まぁ、七歳じゃ解んないかな?てか、俺からすればお前の方が凄いと思うけどな。小さい頃から魔法書とか事典とか読んでるし、七歳とは思えないほど剣術が出来るしな、全くどこが無能なんだよ」


 そう言って父さんは、俺を抱き締めた。


「ありがとう、父さん」


 俺は赤ん坊の時以来流したことのなかった涙を流した。

 俺はしばらく泣いた後、母さんも後ろから抱き締めてくれていたのに気付いた。


「ルーク、貴方は私達の子供よ。それも自慢の子供なのだから、もっとしゃんとしなきゃダメよ。ルークの価値は魔力の有無なんかじゃ決まらないってことを私達は知ってるんだから」



 何て俺は幸せな家庭に産まれたんだ。

 魔法が重要視される世界で魔力が少ないと知った俺は勝手に自分を見失っていた。

 でも、もう俺は見失わない。

 俺に与えられたこの才能(きようさ)を!!


 そして俺は両親の前に立ち、いつの間にか暮れ始めていた夕日を背に思う。

 俺はこの人達に報いたい、王国最強の英雄(りょうしん)に恥じない位強くなりたい。



 だから、俺は願い、そして誓った……自分自身と両親に



(ぼく)世界最巧(ふたりのじまん)英雄(こども)になる!」





 World record update

 You have become a world record holder.

やっと題名出ました。あと、固有スキルについてもちょっとだけ触れました。


母親の名前をエリーからエリーザに変更しました。

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