第十話 二面性王女の救出
今回の話は短めです。
王女様を助けに仲良く?飛び立った、フラムとルークは楽しくこれからのことを話していた。
「で、何で僕達は王女様と一緒に檻に入れられてるんだろうね?」
「それは、ルークがあの転移魔法で行けば良いんじゃないの?とか言うからじゃない」
「だとしても、王女様の居る檻の中に転移する必要無いじゃないか!」
「あのぉー、私は無視なのですか?」
フラムによく似た………と言うより姉妹の様なそっくりさんの王女様が声を掛けてくる。まあ、高貴さは段違いだけどね。
「「イエスッッ!!」」
だからといって、ボケるのをやめるほど甘い私ではないのだよ。
「貴女達は息がピッタリね、腹立たしい位に!」
プンプンしている王女様を傍目に、これからのことを考える。
「取り敢えずこの檻の中じゃ魔法の類いは使えないらしいしな、どうしよっかなぁ~」
そうなのだ、この檻は中にいる者の魔法の発動を阻害するのだ。
暇な俺は、取り敢えず、二人に話題を適当に振る。
「精霊の使うものも結局精霊の魔力で起こした現象なので使えないしね」
マジでフラムたん役に立たない子だね。
「貴方達余裕過ぎるのでは……………」
王女様はまともだな、多分、今のところはだけど。
「それ言ったら王女様も同い年の割に大人びてますよね」
「まぁ、子供とは言え王族ですからね!」
うん、今のところは加点要素しかないな。
中々のテンプレヒロイン力だな。
「そういえば、私は出られるわよ!」
確かに精霊の魔法は封じれても、精霊自体には干渉出来ないから出れるじゃないか、な~んだ一安心。
って、フラム以外出れないじゃん!
「私が外から檻を溶かしてしまえば良いのね?」
「バカフラムっ!そんなことしたら契約者の王女はともかく、僕が焼死体になるだろっ!」
「じょ、冗談よルーク……………危なかった、忘れてたわ」
後半は聞き流そう、フラムはまともだけどドジッ娘な分、うっかりミスが怖すぎる。
「もう、私達に為す術は無いのね」
諦め掛ける王女を見て慰めようと思うが、俺はある理由から、慰めるよりも名前が気になって仕方がない。
流石に貴族の生まれで自分の国の王女の名前が分からないのはヤバいと思い名前が出てくるのを待っていたのだが、驚くほど出てこない。
「そうね、諦めるしかないわね」
おい、フラム名前を言ってくれ、いや、言ってくださいフラム様!
「ごめんなさいね、ルーク、私の我が儘に巻き込んでしまって」
「えぇ、お気になさらないで下さい、好きで来たんですから」
「すまないっルーク此処でお別れだ!焼死体に成ってくれ!」
アホフラムが決意を抱いて外に出ようとする。流石にこれはヤバいっ!
俺は慌ててガシッとフラムの服を掴んで止めた。
「ルーク……………お願い(ニコッ)」
俺は不意討ちの笑顔でうっかりフラムの服を放してしまった。
くそっ、これじゃフラムを笑えないじゃないか!
俺までチョロイン状態じゃないか。
「まぁ、僕も出られるんだけどね♪」
仕方なく檻の錠を、常に持ち歩いている鉄の細い棒でちょちょいと外した。
「「最初からやりなさいよぉぉぉーーーーー!」」
息がピッタリだね、まるで姉妹みたいだよ。
それに、鉄の細い棒は一応暗器だから隠しておきたかったんだよ、まあ、この二人にばれても関係ないんだけどね♪
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にしても、驚くほど便利な檻だなぁ~と外から檻を調べていると、
「ルーク、メリア速く逃げるわよ!」
「何を言ってるのフラム?誘拐犯は即刻逮捕よ、逃げ帰るわけないじゃない?」
獰猛な笑みを浮かべる王女様……………どうやら、戦闘狂だったらしい。
結局まともさはフラムが依然トップ維持のようだ。
ちなみにミラは殿堂入りしてる。
何か悔しいがフラムは以外にもヒロイン力が高い。
はっ、今名前が聞こえたぞ。
よしよし、メリアと言ったね、よし、これで死角が無くなったぜ。ちなみに貴族の俺は王女の意思を尊重する義務がある。
本音を言うとフラムを困らせたいだけだが。
「フラム…………諦めてバトルしようぜ♪」
「フラム、ルークもこう言ってるじゃない?」
「ぐぐぐっ………分かったわよ」
「なら、殺りますよフラム!」
「はぁ~これさえなければ立派な契約者なのになぁ」
フラムにもう少し優しくしようと思ったルークであった。
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檻から出た一行は部屋の外で見張っていた護衛を殺そうとした戦闘狂を何とか止めて、無力化することに成功していた。
「他の檻に閉じ込められている人はどうするのですか、メリア王女?」
「敵は何処なのかしら?殺害しなきゃ!」
全く話を聞いてくれないんだけど。
「えっとね、ルーク、あの人達全員が一般人という訳では無いのよ、中には無実の人も要るかもしれないけど」
代わりにフラムが説明してくれる。
「というと、この檻の有る施設は牢獄なの?」
「正確には犯罪奴隷を取り扱う奴隷市場の一角だけどね、まあ、牢獄も兼ねてるから」
「えっ、じゃあ僕が今解き放った綺麗なお嬢さんも犯罪者なの?」
「確か……………王都を震撼させた凄腕の殺し屋だったかしら」
おっ、早速中々の大物を引いたな。
「じゃあ、此方のスタイル抜群のお姉さんは?」
「う~ん、記憶によれば、国家転覆を図った、亡国の王女だったかしら」
悪くないチョイスだったね♪
「じゃあじゃあ、この角が生えた褐色の美少女は?」
「それは、魔王軍の幹部の一人で捕獲したあと移送中に消えて話題になった人だね………………………
………って何してんのよぉぉぁぉ!」
美女、美少女は世界の宝だよフラム。
「美女、美少女が伸び伸びと暮らせない世界は俺がぶち壊す!」
「アホルークっ!他の人が伸び伸びと暮らせないじゃない!」
ちなみに、解放した人は逃げれないほど衰弱した人?ばかりだったので、逃げることは出来てないから、問題ないんだな。
「気にするなフラム、君は僕が守ってあげるから」
はいっ、決まったぁぁーーー!
「あぁはいはい、あれ?そう言えばこんな場所牢獄に有ったかしら………………そう言えばさっきのは全員死刑になったはずの人達じゃない!」
フラムは街の情報を以外にもしっかり集めているようだ。
抜けている所は有るが、基本的には優秀なことが分かって、ますますフラムの俺評価を上げざるを得ない。
「発見したわよ、悪人ども…………即滅」
やべっ、王女様のこと忘れてた!
「まずい、フラム!メリア王女を止めろ!」
「分かってるわよっ!」
俺は悪人である犯人達を風の精霊で保護して、王女が放った炎から守る。
そして、フラムが王女の炎を抑えて致死レベルにならないように調節する。
「消し炭にはならないけど、長時間燃やされたらアウトなレベルまでは炎の出力を絞ったわ!」
おいおい、全然王女を押さえれてないじゃないですか、フラムたんよ。
「取り敢えず、これ以上この地下牢獄で暴れると崩れ……………(ボロッ)はじめてるぅぅぅ!」
「ほらっ、フラム上に行くわよぉぉぁーー!」
「えっ?ちょ、取り敢えずルーク頑張ってぇぇー!」
フラムはメリア王女に追いかけて階段を上がっていく。
「この犯人と牢獄の人はどうするんだよ?」
「本当の意味で悪い人はこの中に居ないわよルーク………ただ、悲しいだけの人しかいない」
どういう意味なんだフラム?
もう、こうなったら自棄だ。犯罪者もいるとは言え、ここまで弱っていたら助けないわけにはいかない。
「聞けぇぇ奴隷達よーーーー!お前らが加害者だろうが、被害者だろうが知らないが俺の独断で助けてやる!」
すると、一人の少年奴隷が檻の中から、
「犯罪者まで助ける必要が有るもんか!」
体に青い鱗を纏った少年は、多分珍しい人種の出なのだろう。
この少年が拐われたことは容易に予想がつく。
だが、俺は全ての人を等しく助ける、これは決定事項だ。
「この中に本当の意味での犯罪者は居ない………精霊がそう言っているからな!」
精霊は人の本質を見抜く力を持った存在。なら、その判断を俺は信じている。
「精霊なんて信用出来るかよ!」
人に裏切られた者は、人を信じなくなるのは確かに道理だと思う。
だが、フラムを嘘つき呼ばわりされるのは気に食わない。
だとしても、俺は何も言い返せない。
だから、
「信じる信じない以前に、まず全員助けるんだよぉぉーーー!」
まず、後回しにすることにした。
フラムと王女の本領発揮は次回登場!
ついでにルークも頑張るよ!




