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世界最巧の英雄~器用さだけが取り柄です~(大幅改稿予定)  作者: ぽんぽん
第一章存在しないメモリー
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第九話 ツンツンツンデレフラムちゃん

少々待たせたでござる。

 まさか、ミラが聖女候補だったなんて…………


「そういえば、ミラちゃんはどうやって来たの?」


「うん?えーっとね、聖女のお仕事をしてたら、変な人に捕まって気付いたら檻の中で寝ていたの」


「じゃあ、あの鳩の姿は何?」


 あれは、本当にビックリさせられた。


「あれは、聖女の素質の一つで、何らかの動物に変化出来るんだよ。私の場合は鳩なの」


 あの、変化何の意味が有るんだろうか?

 もしかして、獣化(ビーストモード)的な感じに強くなるんだろうか。


「しかも、変化すると魔物をなだめたりする効果が有るんだよ!私の場合はだけどね」


 便利!でも、私の場合ってことは他にも有るのか?


「他は何が有るの?」


「聖女候補は白色の何らかの動物に変化するんだけど、知ってるのは今の聖女様の白龍(ホワイトドラゴン)と私の先輩の天馬(ペガサス)だけかな」


 ミラちゃんスッゴく地味!でも、口には出さないよ紳士だからね♪


「へぇ~皆個性的だね」


「ルーク、現実逃避もそこそこに本題に戻りなさい」


「そうだね、母さん…………よし、ミラちゃんを助けよう!」


 さぁ、どうやってフリーデン聖国まで帰そうか。


「ミラちゃん、家で使用人をしてみない?」


 母さんがちょっと何言ってるか分からないんですけど。


「フリーデン聖国に帰すんじゃないの?」


「ルーク君はミラと一緒に居るのやなの?」


 ミラちゃんの瞳がうるうるしていく、ヤバいヤバいなんとか言わないと。


「ミラともっと一緒にいたいから、聖国に君を引き渡す必要性が有るか二人に聞いただけさ✨」


「ミラ、ルーク君の使用人やりたい♪」


 ふぅ、選択肢はこれで良かったようだな。いや、ある意味自分でトドメ刺しちゃったよ。


 クロナがすたすたとミラへと向かっていきスカートに手を掛ける。


 んっ?クロナは何処からそのメイド服一式を出したのかな?しかも、サイズも子供用じゃないか。


「どうして、クロナはそんなものをスカートの中に持っていたんだい?」


「いえ、ある人に着てもらうつもりだったので常備していただけです」


 クロナの周りであれが着れそうな子供は俺以外居ないんだけどなぁ~………………クロナ少年愛好(ショタコン)説浮上、これで、もうまともな人が身近に居なくなったね♪


 取り敢えず両親も今、彼女の存在を公にすると王国と聖国どちらからも狙われる可能性が有るということで使用人計画を推奨して、彼女のメイド服姿をべた褒めしている。


「とっても似合ってるわよ、ミラちゃん」


「本当にルークには勿体無い位の美少女だぞ」


「エヘヘ、ルーク君似合う?」


 不安げに俺を上目遣いで覗き込む。

 悶絶ものだ、現に俺は今地面を叩いていないと紳士(ロリコン)に目覚めるほどの萌え攻撃を受けている。


「ルーク君もしかして似合ってない?」


 クロナが悶絶する俺に慌てて寄ってきて、


「ルーク様ミラを誉めて下さい、あと貴方は私という年上の可愛いお姉さんが居るんですよ♪」


 いかん、可愛いと同時に恐怖を感じた。


 俺は即座に正気に戻り、ミラを誉める。いや、嘘じゃない、本気で誉めてる。ただ、紳士(ロリコン)にならないように言葉を選んでるだけ。


「じゃあ、取り敢えず事が収まるまでミラには家で使用人をやってもらううことにしよう、ちなみにルークの使用人な」


「分かりました、旦那様!奥様!」


「教育はクロナが担当ということで」


「承りました、旦那様」


 テレテレテッテッテー


 ボクノセンゾクメイドガフエタ!


 シュラバドガ1フエタ!


 world record update!『世界最年少修羅場持ち(ハーレム・ビギナー)』


 本気で要らない声が脳裏に聞こえた。






 ━━━━━━━━━━━━━━



 あれから、二日間の行程を経て王都が見えてきた。


 あれ?何か王都の手前で隠れてる連中が居るんだけど、まさかあれは異世界ものの定番モンスターであるTOUZOKUジャアーリマセンカ!


 何か盗賊にしては、黒装束できっちり固めてるけど

 関係ないよね。


「父さん、居るよね?」


「あぁ、エリーがもう行った」


「へっ?」


「「「「「ギャアーやられたぁーー!」」」」」


 母さんが全員を後ろから順に襲撃して、魔力の鞭で引きずって持ってくる。


「録な情報は持ってなかったけど、十中八九宮廷貴族の差し金でしょうね♪どうしてくれようかしら」


「どうやら、ミラの事は薄々感づかれてるらしいな。だが、手を出したらルベリス王国の軍事を司る辺境伯の実力を見してやるさ」


「あら、素敵ねあなた。私の実家にも声を掛けておこうかしら」


「いや、それは止めてくれ!国が無くなる可能性がある」


 母の実家は一国家と同程度の戦力を有してるらしい。何処の劣等生の実家かな?


 取り敢えず、衛兵に刺客を預けて王都リーデルへと入った。


「うおぉぉぉ?何というか王都って普通だね」


「ミラがいた都市もこんな感じだったよ」


「ミラは聖都マレスを見たことがあるし、ルークは城塞都市アルクスソンムで育ったから、そんなに驚きが無いのは仕方がないな」


 でも、目新しいことに代わりはないので馬車からキョロキョロしていると、精霊達が急に活発になり話しかけてくる。


 うんうん、ここも聖地なの。ほぉー、へぇー

 あと、とっても偉い精霊さんが俺を呼んでるのか、へぇーえぇぇぇ!何それ、


 ちょうど王都での屋敷に着いたので、周りを見渡すと他の精霊を従えて美少女が此方に手招きしている。取り敢えずクロナやミラに気づかれないうちにこっそり移動した。


 そして、屋敷の庭で驚愕する。


 あの美少女が精霊だと?!


 あの、赤髪の勝ち気そうな美少女が精霊だと!


 あの、少しスレンダー気味な美少女が精霊だと!


 あの、スレンダーなのに身体のラインが出るドレスを着ている美少女が精霊だと!


 スレンダースレンダースレンダースレンダースレンダースレンダーが美少女だと!


「スレンダー言うな!」


 ベキッ!俺の腹部に炎を纏うボディブローが深々と決まった。いいパンチしてやがる。今のやり取りで分かったのは、上位の精霊は人型ってことだけだ。


「折角、面白そうな奴が来るから連れてこいって契約者(フェアトラーク)に言われたけど興味無くなっちゃった♪じゃあね~バーカー!」


 えっ、俺はその人に用が有るんだけど、


「えい!」


 ガシッ、飛び立とうとする上位精霊(スレンダー)の服を掴んで離陸を阻止してやった。


「あぅ!」


 地面に顔を打ち付けて少女は沈黙している。

 これは流石に悪いと思ったので、見た目15、6歳の女の子の服から砂を払い、頭を撫でてあげた。


「ありがとう、えへへ……撫でるの上手いね………じゃねえよぉぉー元はと言えばあんたのせいでこけたんだよ!」


 コイツ、ノリツッコミを標準装備しているだと!?


 王都(れんぽう)精霊(モビルスーツ)は化け物か!!


「って!あんた精霊に触れるの?!」


「うん、触れるよ、ほら」


 モミモミ、モミモミ、モミモミ、モミモミ


「はあぁぁん、んっ」


「ここがええんか、へっへっへっ」


 *実際は赤髪を揉みほぐして三つ編みにしているだけでゲス………だけです。


「面白いって言う理由が分かったけど貴方個人の性格は気に入らないわ………………でも三つ編みついては感謝してるわ」


「…………三つ編みをしてもらうのは夢だったから」


 ツンツンツンデレまで持ってるなんて、ヒロイン力が高過ぎる。というか、まともな美少女は初かもしれない。


「普通な美少女が今!僕の!目の前にいる!」


「ダメよ!その、私もう契約者居るから………で、でも、遊ぶなら良いわよ」


 照れながらもツンデレは維持しつつ、愛人っぽい包容力も持ち合わせているだと!!


「あっ、そうだ忘れてた!その人の所に僕を連れてってよ」


「そうね、分かったわ。じゃあ、行くわよ」


 俺の周りの景色が陽炎で一瞬歪み、元に戻ると別の場所に移動していた。


「すごいっ!なんて有能なんだ(スキルだけは)!」


「ふんっ、私にかかればどうと言うことないわ」


 ちょろい、言葉の裏を読むということを知らないのか。


「で、その僕を呼んだ人は?」


「そこにいるわよって……………あれっ、どこ行ったの?」


 荒らされた恐らく宿屋であろう建物の一室、机の上の置き手紙。

 王女は預かった、身代金五千万ゴールドと交換だ。

 場所は、スラム街の牢獄広場に午後2時に来い。来なければ王女は殺す。


「お前、契約者を護れてなくないか?」


「言わないで、反省してるの………ちょっと寄り道してから貴方に会いに行ったから遅くなっちゃったの」


 しょうがないな、助けるか………って王女様が拐われたの!?


 しまったコイツのノリツッコミが移っちまった。


「取り敢えず、騒ぎになったら不味いしこっそり助けちゃう?」


「そうね、約束の時間まで二時間ある訳だし……」


「所で僕、君の名前知らないんだけど?」


「私はフラム、貴方は?」


「ルーク」


「ルークね、分かったわ」


「じゃあ、フラム臨時パーティーと行こうか!」


「えぇ、宜しくねルーク!」


 二人で窓枠に足を掛けて、顔を見合わせる。

 以外とフラムとは気が合うのかもしれない。

 俺達は二人同時に声をだす。


「「行く(わ)よ!スレンダー(ルーク)!!」」


「名前を教えた意味まったく無いじゃない!!」


 いいツッコミだ。クセになってしまう。


 俺とフラムはそれぞれ風の精霊と熱で作った上昇気流で窓から、スラム街へと飛び立った。






まともな美少女?がやっと登場!

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