第八話 拾った卵は爆弾でした
すいません、遅くなりました
はい、突然屋敷を出発して、馬車に、揺られている現場のルークでぇーーす。今は家臣街をとおっていま~す。
という訳で俺は馬車から外を見ると、家臣団が見送りの為に道の左右に集まって、口笛を吹いたり、手を振ったりしている。
俺も笑顔で手を振り返すと…………
(((((ズキュュュュューーーーーン)))))
謎の擬音が聞こえた。
「ハァハァ、自慢の槍で無慈悲に魔物を貫いちゃうルーク様が、我輩に笑顔を………ハァハァ」
お前も立派な魔物だから無慈悲に貫いちゃうよぉぉぉーーーーー♪
取り敢えず、土の精霊を使って股関に当たるように土の柱を生成した。患部を押さえて崩れ落ちる魔物…………いいことしたね♪
「僕ちんも貫かれたいぃぃぃぃーー!!」
柱で良いかと思ったけど、この魔物のリクエストに答えるわけには行かないので、風の精霊で目に砂を飛ばしてあげると……………目から涙を流して喜んでいた。全く、良い家臣を持ったね♪
「まだ、七歳だ………落ち着け俺!レイク様位の歳になるまでは守備範囲に入れる訳にはいかない」
こいつは風の精霊で人混みを越えた、少し離れた所に有る噴水まで吹き飛ばしてあげた…………バッシャァァァン!
守備範囲に入らないためには絶対に捕球されないように打球を飛ばすのが基本だよね♪
「あれがルーク様かぁ~、私と同じ位の歳なのに凄いなぁ~(ポッ)……あと、ちょ、ちょっとかっこいいかも」
普通な娘キタァァァァ!しかも、美少女(*美幼女)ですよ。紫色のロングに薄い白のワンピースを着た可愛い娘ですよぉぉ。
俺は極力クールに振る舞い、その女の子に向けて指を鳴らす。
すると、街の噴水に咲いている野花がその女の子の周りを舞い花飾りとなってその髪を彩った。
風の精霊も先程より嬉々として作ってくれた。
うんうん、これが正しい精霊の使い方だよね。
女の子はビックリした様子で頬を染めてこっちを見ている。
惚れるなよ……火傷しちゃうぜ
あら、クロナが馬車の中でニコニコしてる。
取り敢えず俺はクロナにも花飾りを作ってあげた………本当に何となくだから、別に寒気がしたとかじゃないんだからね!
まあ、クロナの笑顔も先程とは違い血の通ったものになったので良しとしよう。
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家臣街を抜けた俺達は、市街地を通り門から都市の外へとでた。
「ルーク、こないだ助けた人達がいるぞ」
そう言われて窓から身を乗り出すと、畑や田んぼで作業をしている人達が皆作業を中断してこちらに、お辞儀をしている。
そのなかには一緒に戦った農民の姿も見える。
「これがお前が守った景色だ、忘れずに覚えとけよ」
父さんが冗談めかして、頭をがしがし撫でてくる。
突然ギュッとされて、振り向くと母さんが、
「ルーくんは凄いのよぉ」
と手放しで誉めてくれる。
本当にこの景色を守れて良かった………そう心から俺は思った。
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王都に行くまで、一ヶ月以上も掛かるなんて予想外ですよ、父さん母さん。
しかも、今俺は馬車から降りて魔物と楽しいバトルをさせられている。
「やっちまえ、ルーク!」
うん、殺るけどさ。
とりあえず、俺はオークの槍を剣で逸らして、後ろにいるサーペントという蛇型の魔物へと誘導する。
突然の槍に反応出来ず槍で刺されて止まったサーペントの首を剣で滑らすように切断し、次に噴き出す血煙に視界を遮られたオークの足を切断し、倒れた背中に剣を突き刺す。
「まぁ、こんなものですかね」
実は、俺は今精霊のサポートが万全じゃない状態で戦う羽目になっている。何故なら、アストリア領を離れれば離れるほど、精霊の力が弱体化してしまったからだ。
精霊は本来、聖地と呼ばれる場所にしか居らず、契約した精霊だけが聖地を離れることが出来るらしい。
あと聖地についてだが、二種類あるらしい。
一つ目は、文字通り神聖な場所に精霊が集まって出来たもので、二つ目は何らかの要因で、精霊が大量に集まることでその土地が聖地化するというものらしい。
俺についてきた一部の風の精霊と土の精霊は聖地から出ることは出来たが、精霊の力を完全に行使することは出来なかった。
という訳で今は馬車で俺の昼御飯を摘まんでい……………完食している………おい、ちょっと待てコラ。
馬車に戻った俺は、改めて昼御飯を貰い、精霊と戯れることにした。
「魔物が出ました、ルーク様!」
はぁ、御者さんまたですか。俺は、休む間もなく長剣と弓を持って馬車から降りる。
今度は何でしょうねぇ……………ハァ?何あの魔物の数は?
見る先には無数の魔物が一ヶ所に集まっている。
真ん中には檻が見える。何か中にいるようだ。
あッれれぇー、中に居るのはどう見ても巨大な白い鳩何ですけど。あの鳩四メートルは有るんですけど。
こっちに気付いた鳩はこちらを向かって、手を振っている。
ばか野郎ぅぅぅー!魔物が気付くだろうがぁ!
うん、もうバレてました。今さら関係無かったね。
俺は弓で魔物の目を撃ち抜き何匹か仕留めたあと、長剣を構えた。
まず、最初の奴は…………あの虎の魔物か、嫌だなぁ強そうなんだけど。
とりあえず、初撃はしゃがんで回避して、他の魔物の所に移動し、虎の攻撃の盾に使いながら、虎の体に少しずつ傷を付けていく。
あぁ、角牛が虎の爪で絶命する。
何て酷いことしやがる………同じ魔物じゃないか。
*ルークが盾にしました
次は巨大なアルマジロ型の魔物であるロックローラーが硬い表皮を易々と噛み砕かれる。
慈悲の心は無いのか虎野郎ぉぉぉーーー!
*ルークが下に潜り込んで盾にしました
俺は更に攻撃を避けながら他の魔物に傷を負わせて、虎の魔物にけしかけた。
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残すところは虎の魔物1匹だけとなった。あいつどうやら一番強い奴だったようだ。
更に盾にする魔物ももう居なくなってしまった。
此処から先は、完全な一対一だ。
さぁ、決着の時間だ!
とは言ったが、今の俺の攻撃力では致命傷を与えられないな。その上、動きが速いなんてどうすっかな。
ゆっくりはしてられないな、虎の魔物の攻撃は着実に俺の体に少しずつ傷を増やしている。
俺は準備を急ぐ。
「じり貧だな!だが、準備は完了した」
俺は逃げ周りながら、密かに息絶えた魔物達から回収していた素材を取り出す。素材の表面にはルークの血で術式が描かれている。
「行くぜっ!虎野郎!」
俺は、今度は攻勢に転じて突っ込んでいく。
「其の身に残りし汝の力を我が借り受ける!」
両手の指に挟んだ幾つかの素材が起動式によって待機状態となる。
俺は迫りくる爪を地面を滑ることで紙一重で回避し、手に持った素材を一つ投げる。
「復元!『輝羽』!」
強烈な光を放つ羽を持つ、光鷹から回収した羽が、触媒魔術により再びその光を放ち急速に朽ちていく。
グレードの低い素材では、一度使うと朽ち果ててしまうのだ。
だが、今回は一度で十分だ。
光で視力を失った魔物に対して俺は、次の触媒を使う。
「復元『水袋』!」
口に投げ入れた砂蜥蜴の水袋は、見た目にそぐわない量の水を虎の口内で放出する。
動物である以上、必ず気管支に水が入った瞬間噎せて、動きを止めるはず…………よしっ、噎せた。
そして、奴は酸素を求めて口を大きく開ける。
俺はそこにロックローラーの硬革を投げ入れた。
「復元『障壁』!」
口の中で半球型のうっすらと白みがかった障壁が口内の奥に発生し、呼吸と口が閉じるのを阻害する。これで、水を吐き出すことは叶わなくなった。
魔物は突然の窒息状態に、滅茶苦茶に爪を振り回す。
視界を奪われた上に、呼吸が出来ない魔物の攻撃など単調すぎて当たる気がしない。
魔物は攻撃の手を緩めずに、障壁を噛み砕くために顎に力を入れる。
しかし、ロックローラーを噛み砕いた時と違い自慢の牙と接触していないため、直ぐに砕くことは叶わない。恐らく三秒はかかるはず。
俺は、その間に爪を避けながら肉薄する。
そして、障壁によって開いたままの口の上側に軽く剣を刺して、最後の触媒を地面に落とした。
そして、俺は安全圏へと離脱し触媒魔術を発動する。
「喉の異物とるの手伝ってあげるよ♪復元『大角』!」
虎の顎を真下から巨大化したビッグホーンの角が下顎を跳ね上げる。
上顎と下顎からの衝撃により口内の障壁は粉々になり霧散する。
押さえられていた力が解放されて高速で口が閉じる…………そして眉間から先端が飛び出した俺の長剣。剣先は上顎、柄は牙の内側で止まりつっかえ棒となった剣は奴自身の力によって脳を貫通したのだ。
「決着だな、よしっ鳩のとこ行くか」
俺は血塗れのまま、檻に近付くと、
「キャアァァァーーー!殺さないで下さい、何卒お願いしますぅぅーーー」
鳩が喋った。
「キャアァァァーーー!鳩が喋ったぁぁぁーー、化け物だぁぁぁーーー!」
俺も叫んだ。
「あなたに言われたく無いわよ!あなたのほうこそ子供の皮を被った化け物じゃない!」
「うぅぅ………そうだよね不気味だよね……グスングスン」
結構本気で傷付いた。喋る鳩にすら化け物扱いされるなんて。
父さんがこっちに駆け寄ってくる。
「いーけないんだ、いーけないんだ、エリーゼに言っちゃおーう!」
父さんのアレな姿に………しかも何か父さん腰が引けてない?もしかして…………
「はい、ルーク『治癒』『回復』っと、まだあなた、鳥が苦手なの?」
「違うよエリー、鳥じゃなくて鳩が苦手なのさ!」
父さん鳩が苦手なんだ…………えっ、母さん無詠唱で治癒魔法と回復魔法使った?流石母さん、一流だなぁ………じゃなくて泣いてる振りしないと
「それよりも、あなた何うちのルークを泣かしてるの?」
「違うよ、俺じゃない!本当だ信じてくれ」
「じゃあ、そこの白い鳩がやったの?」
「(プルプル)はい、失言をしました奥様何卒命だけはお助け下さい。」
「私ではなくルークに謝りなさい(ブチッ)」
なんかヤバい音がしてる。
「ルークくんゴメンね、その………私言い過ぎちゃったから」
「いいよ、お姉さん。但し条件がある」
「「お姉さん?」」
父さん達は気付いてないらしい。
白い鳩は驚いた顔でこちらを見ている。
俺はシンプルな作りの閂を掴み外す。
「ガチャガチャガチャン」
中に入った俺は呆然とする白い鳩に抱き付いて、モフモフする。只のモフモフではない圧倒的器用さを持つ俺の手によるモフモフだ。
「あっ、ちょっ止めて!はふぅぅ……………もっと撫でて欲しいかな」
即落ちしたよこの鳩、出会って五秒で陥落したよ。
俺は更に首元を撫でながら、首輪の魔錠を解除する。
「(ポンッ)えっ?」
「「?!」」
「ほらね」
ちょっと予想と違ったけれど、
鳩は白い修道服のような服を着た金髪の女の子へと姿を変えていた。年齢は少し上と言った所かな。
背中に流れる艶やかな金髪に幼いながらに整った顔は将来美少女になること間違いなしと俺の両眼がそう言っている。特に垂れ目なのが彼女の穏やかな微笑みによく似合うことは自明の理だろう。まぁ、笑った所見てないけどね!
「どうやって……………封魔の錠はそんな簡単には外れないはずなのに」
「ちょっと見たら、刻印魔術が使われていたから魔力を流して回路を少し歪めただけだよ」
この方法なら、無理矢理破壊した訳でもないし、俺の少ない魔力でも一ヶ所ぐらいなら書き換えられるから危険も少なくベストだと思う。まぁ、精霊と魔力の引っ張りあいが出来るレベルじゃないと書き換えれないけどね。
「ありがとう♪ルークくん!私はミランダ、ミランダ・フリーデン」
「じゃあ、ミラちゃんって呼ぶね♪」
「いいよ、ルークくん♪」
そう言って俺の頭をよしよしと撫でてくる。
まだまだ撫でが甘いな。
だが、悪くない。未完成故のぎこちなさが僕の心に無限の可能性を示してくれる。
結果からいうとお姉ちゃんぶっていて可愛いということだ。一応言っておくが、他意はない。
「「フリーデン?」」
「どうしたの、二人とも?」
「ルーク………その娘、ルベリス王国と戦争中のフリーデン聖国の代表である聖女の次期候補の一人よ、多分だけど」
「責任をとるんだぞ、ルーク」
「そうなのミラちゃん?」
「私、聖女の卵だよ!…………ルークくんどうしたの?お顔が真っ青だよ」
「何でもないよ、ミラちゃん」
何でもないわけ無いだろぉぉぉーーー、数少ない聖女候補の一人が敵国に来ちゃってるのを保護したんだぞぉぁぁーー!
王都に一話で着くと思ってましたか?甘いですね!あいにく、作者もその予定でした!




