第1話 Ⅳ紀は終わる
第1話
Ⅳ紀は終わる
単細胞生物、それは体が一つの細胞からなる生物のことである。
単細胞生物にはシアノバクテリアや、大腸菌などの細菌が多くを占め、ゾウリムシやミドリムシなども含まれる。
大きくても400マイクロメートルほどで、そこまでの複雑な構造もなく、ただ生きるだけの生き物。
といっても過言でない。
はずだった。
2008年夏。北京オリンピックで盛り上がる中国。上海の海から何かが這い上がってきた。
その姿は何の生き物とも言えない禍々しい姿で体は緑色で半透明。
濃い緑の膜が人型の形をとどまらせているに過ぎない。
体長は1.5m人間の少年ほどの大きさだ。
その生物は何百も現れ、町の中に出没した。発売したばかりのiphoneで写真を撮り、まだ普及していないツイッターに
投稿する。危害を与えないことこそせめてもの救いだったが、中国政府としては五輪中に
騒ぎだけは起こしたくなかった。
一人の兵士が大きなロケットランチャーをその生物に放った。弾は人で言えば頭にあたる部分に命中したが
兵士はすぐにそれが間違いだったことに気づいた。
その頭だった部分は緑色の液体として地面を濡らし、首と言える部分からはもとあった頭部らしきものが生えてきた。
そしてその生物がそこに集まり始め、急に人々につかみかかり始めた。蹴り、たたき、人は叫び、逃げ惑った。
人の敵なら容赦はいらない。中国政府は軍を投入し、その生物を砕き始めた。戦車で跡形もなく吹き飛ばせば、再起不能に
なるようだったが、弾がすぐに切れる。多くの武力をつぎ込み数百いたも生物も50ほどまで減り、ある程度鎮圧に成功した。
しかし、一体の生物により希望は絶たれた。
その個体だけ人型でなく。ピラミッド状をしており浮かんでいる。一辺1mの正四面体。
砲撃が全く効かない。しかし手も足もないため人に攻撃もしない。しかし、その個体の攻撃に
気を取られている間にまた数十体海から現れ、人が襲われた。
そこで一発の爆弾が空から降ってきた。その爆弾は中国軍が対テロ用に作ったもので、狭い範囲だが大爆発を起こす。
おおきな爆発が起き、一面は煙に包まれた。煙のあとには、緑色の液体が落ちているだけであった。
この一件は五輪を抑えて大きく取り上げられ、世界中の生物学者、化学者、さらにオカルト学者までもが色々なことを
言った。世界の終わりだとか、クローン兵士の失敗作だとか色々なことが言われたが信憑性はなかった。
一人の生物学者の言ってることは大きくとりあげられた。
「人間を超えるかもしれない生物がでてきたのは間違いなさそうですね。人類の進化と拡散が進んだ第四紀が終わるのもそう遠くないでしょう。」