第五話 『厨二病の朝は田舎暮らしの老人より早い』
???『ピーーーーーーーーーー』
僕は大きな音で目を覚ました。
(あれ…?…このパターンよくあるな…僕は早起きスキルなんてなかったはずだよね…?)
ゴマ豆腐から出るとまだ薄暗かった。腕時計の針は4:32をさしている。今は朝のようだ。僕は音のする方へ行ってみた。
???『ピー…ピロロロロ……』
(う、うるさいなぁ…)
僕は音楽室へ着いた。窓を覗くと月牙さんがオカリナを吹いていた。
僕『あの…月牙さん…皆さんが起きてしまいますよ…?』
月牙『…そうか…それはすまなかった…。』
僕『わ、わかってくれればいいんです。では、』
僕が部屋を出ようとすると
ガシッ…
なぜか月牙さんが僕の手を掴んでいる。
月牙『紅茶のんでけよ。』
(い、いきなりのお誘い!?)
僕『だ、大丈夫。まだ寝ますし…』
月牙『まってろ、今から湯を沸かすからな。』
僕『は、はぃ…』
(あ、あれ?聞こえなかったのかな?)
月牙さんは僕をピアノ用の椅子に座らせると、コンロに火をつけて湯をわきはじめた。
月牙『やはり朝は冷えるな…まだかかりそうだ。』
僕『は、はぃ…』
月牙さんは表情を全く変えずに、壁に立て掛けてある、長くてスラッとした太刀を手に取り…『素振りするか…』と呟いた。
月牙さんは僕をつかんで外に出た。そして校舎の前で太刀の素振りを始めた。僕はなんだか暇になったのでクローバー畑で四つ葉のクローバー探しを始めた。
チラッ…後ろを振り向いてみる。
月牙『526…527…528…529…』
まだ月牙さんは素振りを続けていた。
僕はずっとずっと四つ葉のクローバーを探し続けた。
月牙『9995…9996…9997…9998…9999…』
僕『んー……』
月牙『10000…!…』
僕『あ、あった。』
僕は四つ葉のクローバーを地面から切断すると、また月牙さんに捕まれて移動をした。
教室に戻ると湯が覚めていた。どうやら外に居すぎてしまったみたいだ。
月牙『チッ…』
月牙さんは小さく舌打ちをしコンロで再び湯を沸かし始めた。そして月牙さんはグランドピアノの上で寝そべった。僕は自分の能力の『物体の水気をおとす』を使って四つ葉のクローバーを押し花にして暇を潰していた。
やかん『キィィィー』
どうやら湯が沸いたようだ。
ガタンっ…
いきなりドアが開いた。一体誰だろう?
Kirito『ゼェ……ゼェ………ゼェ…………』
僕『あ、Kiritoさん。おはようございます。』
月牙『…む?……』
Kirito『うるせえぇぇぇ!何時だと思ってる月牙ぁぁ!』
僕『!?』
月牙『5:54だ』
Kirito『そうじゃない!うるさいんだよ!毎朝…毎朝…』
月牙『素振りをしていただけだ。』
僕は紅茶をこっそりいただき、オカリナの上にクローバーを乗せて静かに退散した。
~その後の音楽室~
ズダーン!ガシャ…!…ジャキーン…!…ヒュンッ…
お昼の時間までKiritoと月牙はしたらしい。
月牙『おま!楽器に触れるんじゃねー』
つづく
少林奏 時刻: 19:27