別れは必然か
お骨すべて骨壺に入れ
すべて終わった
とりあえず皆、自分の家に帰る事になった
納骨の日にちが決まったら連絡するとの事で…
なんだか自分の中の何かが切れてなくなった様な気分だ…
俺は……
母「竜、ご飯は?」
竜「要らない…出かけてくる…」
母「どこに行くの?竜!!」
ぼーっと雨の中、歩き続けた
気付くと目の前には海が広がっていた
裕と一緒によく来た海
死んでしまいたい
そんな言葉が頭によぎった
波際に立ち尽くし
荒れる海を見つめていた
「あんた何やってんだ!」
そう言って手を掴まれた
竜「海を見てました」
「馬鹿か?びしょ濡れになって何言ってんだ?早くこっちこい!」
竜「大丈夫ですから…」
「大丈夫な訳あるか!目の前で、そんな顔してる奴ほっておけるわけないだろ!」
竜「うっ…すみません…すみません…」
「いいから家に来い!」
見ず知らずの俺を助けてくれた叔父さんは奥さんと2人暮らしで波が荒れてるか海に見にきたら俺を見つけたらしい
最後に「死ぬ事はいつだって出来る…生きていく事が大切なんだ」と言われた
その後、家まで送ってくれた
叔父さんは送って直ぐに帰って行った
母「竜…どこにいってたの?」
竜「ブラブラ…」
母「びしょ濡れじゃない…早く着替えなさい」
竜「うん」
母はそれ以上、何も言わなかった
葬式が終わってから毎日雨が降っていた
窓の外を見つめる毎日
裕が目覚ましにしてた曲が頭の中で流れ出す
また雨の中、立ち尽くす
雨が落ちてくるのを感じてた
自分はなんて弱い人間なんだろう
そして、そのまま家を出た…
知り合いの先輩の家に行き
シンナーを吸い
酒を飲み
何もかも忘れたかった
結局、後悔しか残らなかった
現実に引き戻される
自分が何をしたいのかすら分からない…
そんな事を1ヶ月ぐらい続けていたら叔母ちゃんから連絡が来た
納骨するから帰って来なさいと
行こうと思ってたけど結局行かなかった
もっと現実に引き戻されそうで
俺は最低の人間で
ゴミみたいな奴だ…
シンナーに溺れ抜け出せなくなっていた
臭いでバレる事が怖くて行けなかっただけなんだ…
結局、一番自分が大事なんだよな…
頭がクラクラする
裕…裕…
何度も名前を呼び現実に引き戻される
それから2ヶ月経って
姉貴の説得で家に帰る事にした
姉貴「竜。あんた何やってんの?本当に馬鹿でしょ」
竜「知ってる…」
姉貴「叔父ちゃんと叔母ちゃんに謝りなさいよ」
竜「謝っても許してくれないよ…俺はダメ人間だから…皆、俺の事恨んでるだろうな…」
姉貴「じゃ、なんでこなかったの?顔見れば分かるけど…」
竜「現実逃避し過ぎた」
姉貴「皆、辛くても向き合って生きてんのに…あんたは何やってんの…」
竜「ごめん…ねぇちゃん…もうしないから」
姉貴「約束だからね!」
竜「うん…」
車の中で叔父ちゃんと叔母ちゃんに電話して謝り、裕の墓に行く事を許してもらった
実家から一分もかからない場所に裕の墓があった
墓石には“永遠に”と彫られてあった
竜「裕…ごめんな…俺、本当ダメな奴で本当ごめんな……」
そのまま泣き崩れ姉貴が家まで支えてくれた
姉貴「竜…もう後悔するような生き方すんなよ…」
竜「…うっ………うん…ごめん」
姉貴「どんな事があっても、うちらがいる事忘れんな…あんたは1人じゃない…それに自分だけが悲しいと思うな……皆、悲しいし辛いんだから…あんただけじゃない。」
竜「ねぇちゃん、ごめんなさい」
姉貴を、こんなに傷付けてしまっていた事を今更気付いた
俺はいつも気付くのが遅い…
自分可愛さに気づかないふりをしていたんだ
姉貴の泣き顔をみるたびに心が痛い
本当にごめんなさい…ねぇちゃん
俺は姉貴を何回苦しめればいいんだろう
何度泣かせ悲しませたんだろう
どんな事があっても側で励まし続けてくれた…
俺は結局、迷惑かける事ばかりで誰の役にもたっていない…




