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永遠に  作者: 月島裕
3/5

別れの朝

母「竜、起きて大丈夫なの?」

竜「俺…いつ寝たんだろう?覚えてない…」

母「由里が帰って来て安心したんじゃない?!そのまま倒れたんだよ」 

竜「倒れたんだ……そりゃ覚えてないわ」

母「スーツ用意しておいたから、あと着替えなさいよ」

竜「分かった…」

スーツなんて着た事あったっけ……

なんかやだな……


姉「竜!大丈夫なの?」

竜「なんか頭痛いぐらいで後、大丈夫!」

姉「あんた急に倒れるからビックリしたじゃん。」

竜「ごめん……」

姉「後、葬式で流す曲作ったから聞いてみて…」

竜「やだ……」

姉「裕の好きだった曲、全部入ってるからさ!」

竜「……分かったよ…今から聞いてみるよ」

姉「聞いたら持ってきてね!」

竜「うん…」


裕の部屋に行ってデッキに入れた

流れてきたのは大好きな歌手の曲

裕の大好きな曲ばかり

そして、目覚ましに使ってた曲


聞いていると涙が不思議と流れてくる…


聞き終えて姉貴の所に行くと親戚全員集まってた


爺「竜…スーツが似合うな…」

竜「似合わないよ…てかよく分かんないし…」

姉「聞いてみたの?どうだった?」

竜「裕が喜びそうな曲ばっかりだね」

姉「じゃこれでいいよね!?」

竜「いいと思うよ…」 

裕華「竜…大丈夫?倒れたって聞いたから…」

竜「裕ちゃん。大丈夫だよ!受けるぐらいひっくり返ったけど!」

裕華「あんたが倒れるなんてビックリしたよ…疲れたの?無理すんなよ…」

竜「ありがとう!大丈夫だよ!」


裕ちゃんは家の母親の妹で俺たちと年が近いっていうか、姉貴の一つ下で兄弟みたいに育った

家の親戚は皆家が近いから本当、兄弟みたいな感じ…

兄弟と違うのは帰る家がバラバラって事ぐらいかな

久しぶりに皆集まったな…

仕事だったり、学校だったりで最近会うことなかったからな…

裕華「なんか久しぶりだよね…」

竜「うん」

裕華「真紀は?」

竜「姉貴と着替えしてんじゃないかな…」

裕華「なんか…違う形で集まりたかったね…」

竜「そうだよね…」

裕華「裕の顔見たの?」

竜「見たよ…綺麗な顔してた…昨日、運ばれてきてから少ししたら……棺から血が流れてたんだ…なんか不思議な感じだった……」

裕華「そうなんだ……なんかさ、見れないんだよね……」

竜「俺も最初ダメだった…でも……後悔したくないから……」

裕華「うん。竜……そばに居てくれない?1人で見るの……」

竜「いいよ。行こう」


裕ちゃんも裕と仲がよかった

やっぱり見たくない半面、今見ておかないと後悔しそうだって思うんだよな

本当にこれが最後なんだから……


裕華「竜…開けてくれる……」

竜「うん」

裕華「うっ……裕……裕……何してんの?…なんで1人で先走ってんの……」

竜「……」

裕ちゃんはしばらく裕の顔を見ながら泣き続けてた


叔母「そろそろ車着くみたいだから用意しちゃって」

裕華、竜「うん…」


霊柩車が到着して棺が車の中に運ばれた

裕の写真を抱えて、その光景をみつめる婆ちゃん…


葬儀屋「それでは出発致します。」

プァー

響き渡るクラクション


婆「裕……裕!行かないで…裕行かないで…」

婆ちゃんの悲痛な叫び声が響き渡る

我慢したんだろうな

俺は、その姿を一生忘れないだろう…

母が婆ちゃんを抱きかかえ車に乗せた


父「移動するから車に乗れ」

竜「…うん」

父「葬式終わったら、すぐ火葬になるからな」

竜「うん…。親戚だけでやるんだよね…?」

父「そうだよ。身内以外は入れないから」

竜「そうか…よかった…」


車の中でも皆泣き続けてた

俺は、なんて言っていいのかわからなかった


葬儀場に着いて少ししたら式が始まった

姉貴が用意した曲が流れてきた…

その曲がまた涙をさそう…

すすり泣く声……


父「今から石で棺を叩かなきゃいけないから、他の人のを見てやるんだぞ」

竜「急に言われても分かんないよ…」

父「釘が刺さってるから大丈夫だ。そこを二回だったか叩くんだよ。前の人のを見れば分かるから」

竜「……うん。」

人の葬式なんてでたことないし、やり方も分からない…

まさか裕のが初めてになるとはな……


なんとか切り抜けた……

なんだか葬式って難しいんだな…


葬儀屋「それでは、火葬場までご移動願います。」


竜「火葬場って身内だけのはずだろ?なんで他の連中も来るの?」

母「分かってないんじゃない。でも中に入れるのは身内だけだから……」


裕華「ひろねぇ、裕の髪の毛切っていい?」

叔母「いいよ…」

裕華「ありがとう…。竜ちょっと手伝って…」

竜「うん…」

裕華「上の部分でいいよね。」

竜「なにすんの?」

裕華「皆が持ってられるように御守り作ろうと思って…」

竜「そっか…」


火葬場に着いた

火葬場の中で裕ちゃんが裕の髪を切り袋に閉まった

そして、棺が火の中へと運ばれた


叔父「裕!行かないでくれ!行くな!」

叔父ちゃんが叫んでた

父が優しく抱き止めてた


火葬員「それでは、お時間かかりますので違うお部屋でお待ち下さい。」


部屋を移った

弁当が用意されていたけど皆手をつけなかった

待ってる時間が本当に長く感じる

三時間……

なんだか変な気分だ……

想像したくない……


早く何もかも終わってほしい…


こんな事は全部夢だったって…


心の中で何度叫んでも状況は変わるはずもなく

ただ立ち尽くしていた…


火葬員「無事終わりました。火葬場の方へご移動下さい。」


歩く足が重い…

短い距離なのに遠く感じる…


火葬員「骨壺にお入れいただきますので、お箸で2人づつお願い致します。」


箸を持つ手が震えてる…

箸と箸で骨を掴み骨壺に入れる


人は死ぬと骨になる


分かっていたけど大事な人が骨になるのは不思議な気分だ…


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