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永遠に  作者: 月島裕
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別れ道

俺達は、いつも一緒だったな…

まさか、お前が先に居なくなるなんて思ってもみなかった…

出逢って17年…長いようで短い時間…

色々な思い出が今も走馬灯の様に見える……

俺は駄目な奴だから未だにお前の話しが出来ないでいる……

多分、俺はお前が居なくなってしまった事を思い出したくないのかもしれない……

口に出してしまうのが怖いんだ……


でも忘れたい訳じゃない………

大好きな裕…

あの日の自分を、こんなに恨んだ事はないよ…






2002年6月


夜中に頭痛がして目が覚めた…

なんなんだ…

とりあえず、もう一度寝よう…

時間を見たら夜中の1時過ぎだった…


母「竜!竜!起きて早く!」

竜「なんだよ。うるせぇな…」

母「いいから早く起きなさい!裕が……裕が……」

竜「はっ?裕が何したんだよ……」

母「事故ったって…今、裕の親が確認しに行ってるんだけど……竜!どこ行くの?」

竜「家行ってくる」


俺は寝起きの格好のまま飛び出した

裕の無事を祈る事しか出来なかった…

「裕…なんで…なんで…」

家から裕の家までは走って15分ぐらいの距離だった、気が動転していたのかどうやってここまで来たのか思い出せない…

扉を開く手が震えている…


ガチャ

婆「竜…どうやってきたの?」

竜「ばぁちゃん……裕は……」

婆「まだ分からないんだよ。今、確認してるみたいで……分かったら電話するって言ってたけど……」

竜「はぁ…そうか…じゃ裕じゃなかったかもしれないね…」

婆「そう願うしかないね…」

竜「うん…」

家に入ったら裕の彼女がいた


竜「裕なんで、出て行ったの?」

彼女「今日は流しの日だから……」

竜「はっ?裕が流しって可笑しいだろ」

彼女「竜くんには言ってなかったんだね裕…」

竜「ちゃんと言ってくれなきゃわかんないだろ!」

彼女「竜くんが色々あった後に地元の友達の悠介っていたでしょ?アイツに誘われて…」

竜「なんでだよ…裕は、そんなのに興味なかったじゃねぇか!」

彼女「学校で上手くいかない事が増えて…そんな時に悠介と遊ぶようになって週末はいつも流しに出てたんだ…」

竜「裕が……。裕は俺を変えてくれたのに…クッ…なんで気付かなかったんだ……」

彼女「裕は竜くんには知られたくなかったみたい……」

竜「………。なんで教えてくれなかったんだよ……悠介は今どこに居るんだよ…」

彼女「警察に行ってる……事故があった、すぐに…」

竜「……じゃ…裕だって事かよ…」

彼女「まだ分からないんだ…色々聞かれてるみたいで…」

竜「うっ……うっ……」

婆「竜…こっちに座って少し落ち着きなさい。」

竜「ばぁちゃん……知ってたの?」

婆「私も今知ったよ…そんな素振りしてなかったから…でも無免許で原付運転してたしね…今思えば思い当たる所もあったのかもね…」

竜「………なんで早く気付いてやれなかったんだろう…一昨日も電話してたのに……」

婆「裕が、お前には知られたくないって隠してたから仕方ないよ……」

竜「仕方なくなんかないよ…俺は裕の言葉で目が覚めたんだ…だから、今があるんだよ……」

婆「今、自分を責めても仕方ないよ…落ち着きなさい。」

竜「ばぁちゃんゴメン……八つ当たりしちゃって……俺が…駄目なだけなんだ…」

婆「竜…まだ裕って決まった訳じゃないんだから…」

竜「うん……」


それからは、無言が続いた

裕の家に着てから二時間が経った…

電話はまだ来ない…

俺の親と姉妹が着いた

電話を待つ事しか出来なかった…

皆、何を話していいのか分からず黙ったままだった……


沈黙の中、電話が鳴った

黙ったまま、ばあちゃんを見つめていた

婆「今から、家に帰って来るって……」

竜「ばあちゃん…裕じゃなかったって事?」

婆「裕の遺体と一緒帰ってくるから、和室を片付けておいてほしいって……」

皆「うっ……」

皆の鳴き声が家中に響き渡った……

泣きながら和室の物を動かしていた…

ばあちゃんは泣かないようにしていた

その姿がまた悲しかった…

ばぁちゃんの手が震えてる

竜「ばぁちゃん…」

婆「竜…ごめんね…大丈夫だから…大丈夫だから…」

ばぁちゃんの身体が震えてた

俺はただ、ばぁちゃんを抱きしめてあげる事しか出来なかった…



片付けも終わってリビングで何を話す訳でもなく、ただボーッと時計を見つめてた


ガチャ


叔母「あっ皆来てくれたんだ…ありがとう…裕の棺、大きすぎて入らないから和室の窓から入れる事になったから手伝ってもらえる?」

父「解った……」

皆で和室の窓枠を全部外して葬儀屋さんが中に運び入れた

叔母「皆来てくれて、ありがとう…裕…即死だったんだって……」

竜「おばちゃん……」

叔母「竜……うっ」

おばちゃんは、俺にもたれかかって泣き続けてた

叔母「竜…裕の顔見てあげて…」

見たくない…

見てしまったら…

叔母「竜…裕の顔綺麗でしょ…」

竜「裕……」

本当に綺麗だった…

首と頭に包帯は巻かれていたけど本当に綺麗だった…

竜「裕…何やってんだよ…起きろよ……」

裕の頬を撫でながら何度も何度も繰り返した…

竜「ばぁちゃん!裕、暖かいよ!裕、生きてるよ!」

婆「竜……裕は死んじゃったんだよ……」

竜「だって…まだ暖かいじゃん…死んでる訳ないよ……」

分かってるんだ……でも認めたくないんだ……

アイツが死ぬわけない…

じぃちゃんになっても笑っていようなって言ったんだ…

どっちが先に結婚するか賭けをしたんだ…

それなのに……アイツが死ぬわけない……



俺は、裕の棺の側を離れなかった…

ずっと裕の頬を撫でながら顔を見ていた……


なんで、こんな事になったのかな…

俺を変えてくれた裕が死んで俺だけが生きてる……

死んだのが俺だったら良かったのにな…


裕……

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