96
正直そんな事を言われても意味がわからないというのが私の感想であった。
私が可愛い妹を苛めるなどという事はありえない。そんなことをするわけもない。可愛い妹を守りはすれど、危険にさらすわけはない。
だけど、
「うーん、ウッカもナグナ様たちもそれを信じているのね」
驚くことに彼らはそれを信じてしまっているらしい。
なんでも私が学園にあまり顔を出さないのをいい事に私が犯人だという証拠をでっち上げて、私に指示されてやったなどという一味がいるらしい。っていうか、調べたらわかるけど、ツードン公爵家と親しかった家ね。
捏造の証拠なんて所詮捏造だし、粗は少なからずある。きちんと調べればすぐにそれが捏造だという事ぐらいわかるだろう。
それもわからないってことは……、ちょっと問題だ。
でもウッカの周りにいる高貴な方々って全員長男ではなく、次男とか三男とかのはずだ。長男よりは、家を継いだりとかの可能性が低い事もあって色々な学びをしていないだろう。
「……エリザベス様がそんなことするわけないのに」
「ありがとう、ハスト。そういってくれて嬉しいわ」
孤児院の子供であるハストは、当時5歳だったのに、今年もう11歳になる。色々学んでくれているハストは、弟のように可愛い。
「エリザベス様に疑いをかけるのは問題です。噂をなくすことをやろうと思えばできますけど、どうしますか?」
サリーにそう問いかけられた。
私が今いるのは、公爵領。色々とやりたいことも多くて、書類に囲まれている。
ミモリたちからもそういう話は聞いている。私は主席だし、ナザント公爵という事で学園にほとんど通わなくても許されているけれど、ミモリたちはそうではないから学園には結構通っている。ミモリのように家を継げない優秀なものたちの勧誘にも成功はしているし、学園内に味方がいないってわけではない。何より、ギルもいるし。
まぁ、ギルも伯爵家を継がなければならないって理由で次席なのもあってあんまり学園に顔を出していないらしいけど。
でもまぁ、私を悪く思っている学園のものは結構いる。
そのあたりは少し失敗したかもしれない。ナザント公爵家を継いでから、貴族としての評価ばかり考えていた。社交界での評価とかそっちばかり考えていた。
貴族たちとの交流は上手くはいっている。
交流関係もうまくいっているし、配下のものたちも育ってきている。学園の方をおろそかにしてしまっていたのは私の責任ではある。
ツードン公爵家の件では私は恐れられていたし。私の取り巻きとかしていた者たちも私に良い感情なんて抱いてはいないだろう。
「……いいわ。そのままで」
「いいのですか?」
「ええ。別にそのくらいでは私は揺らがないもの」
そう、別に噂が流れようとも、私の存在は揺らがない。
そんなバカらしい噂話は、鎮火させる必要性もない。寧ろそういう風に動くことは逆に誤解を生む可能性だって生んでしまう。
ナザント公爵家を継いで、私は”ナザント公爵”として認められるようになっている。
それにそういう噂に対してウッカがどういう風に行動するのかも見たくなった。
私はウッカの事を甘やかしていた。今だってそうだって言われるかもしれないけれど、甘やかしていた事を自覚したから、少し妹離れをしようと思って。でもそう考えてもやるのは難しい。
ウッカは可愛い。
本当にもう、大切で、可愛くて仕方がない妹。
残っているたった一人の家族。
そんなウッカを思うと心配で仕方がなくなってしまう。
「………ひと段落ついたら一度、学園に顔を出しましょう」
また忙しくなっている。このまま学園に顔を出す暇はない。なるべくはやく今やっている事を終わらせて学園に顔を出そう。
前に学園に行ったときはたまたまウッカが高等部に来ていなかったが、今回はどうだろうか? 学園に顔を出したら、なるべくウッカたちに接触をしてみよう。
そして、どういう風に私の噂が広まっているかとか、そういうことを自分の目で見てしかっりと確認する事にしよう。




