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 スラムから帰宅した。正直働き手がないのならば、私の屋敷で何人か雇ってもいいかもしれないとも思ったが、それはそれで問題になるということだ。

 どのようにするべきなのか。

 今日実際に見たスラムの光景に思いを馳せる。

 お金と権力を使えば、一時的に改善させることは出来るだろう。でもそれでは根本的な解決にはならない。それこそ、スラムの事を本当に解決するには長い時間が必要で、すぐに解決するなんて無理としか言いようがない。

 少しずつでも改善するための案。

 お金を稼げる環境を作り出すこと。

 ―――とりあえず、良い循環を作り出すべきだろう。今のスラムは悪い循環をしている。

 お金がないからモノを盗んで、モノが盗まれるからお金は稼げない。そもそもお金がないのは仕事がないからであり、そういう無法地帯だからこそ、犯罪者だっている。

 でも仕事を与えたとして、今の状況のスラムにおいてまともに働こうと思っている人がどれだけいるだろうか。外の世界を知らず、スラムしか知らない者にとってみれば、盗むのが当たり前って認識なのかもしれないし。仕事を与えて給与を与えても、それで悪い方向に作用しないとは限らない。

 環境を整える必要がある。仕事だけを与えてもどうにもならない。でも少しでもいいから治安をよく、少しでもいいから、良い循環に行くように。

 ためしに色々やってみてもいいのかもしれないけれど、それはそれでスラムの人たちが実験体のようになってしまうようでちょっと嫌だなと思う。でもまぁ、そうはいっても試してみなければ成果なんてわからないのだけれど。

 食べ物がなくて盗みをする人にはまず自給自足を目指してもらうとかも手かもしれない。育つまでは少しは時間はかかるだろうが、飢えはしのげるようになる。お金がないのはただ与えるだけではなく、やっぱ仕事かしら? スラムの生活向上の公共事業を提案したら、スラムもよい方向に向かったりしないだろうか。そんな風に思考する。

 一旦提案してみて、ダメだったらまた考えてみるのもいいだろう。イサート様とサンティーナ様に相談してみよう。と、私はそんな風に思った。


 それからスラムの問題をお二人に相談をして、貴族の会議で話し合いをして、スラムへの政策をナザント公爵家と王家主導でやってみることいなった。





 それらの事を通じて、貴族たちとか、騎士団長たちとかとも交流をそれなりに築けたと思う。交友関係を広げる事は貴族として大事なことでもある。

 孤立している貴族は色々とやりにくい。まぁ、だからといって、孤立しないために誇りを曲げるとかは違うからそういうことはないようにするけれども。

 「ナザント公爵」としての誇りを曲げることなく、立派に務めたいと私はそう思っている。

 スラムの政策は実行され、私は時々それを見に行くようになった。導入された事は上手くいかない場面もやはり多くあった。

 最初からうまくいく方がおかしいってそういうことはわかっているつもりだったけれど、そうなるとやっぱりショックを受けた。成功ばかりの人生なんてありえないし、人生っていうのは予想外の事の全力であることが前提であるけれども、それでも成功を期待してしまうのが人なのかなと考えたりもする。

 スラムの政策に力を入れたり、王家に頼まれた情報収集をしたり、本当に様々なことに力を入れた。忙しかったし、はらはらすることも結構あった。でも、なんだかんだで支えてくれる人がいてくれて。それはイサート様たち王家だったり、アサギ兄様だったり、クラウンド先生だったり、支配下においている者たちだったり、本当に沢山の人たち。一人ではなかったのだ。私は多くの人に囲まれ、支えられ、だからこれだけ頑張ってこれている。

 それに報いたい。

 それもあってより一層頑張ろうと思えた。

 がむしゃらにただ、やっていた。

 そういえば、ウッカの事も報告で聞いていた。ウッカが学園生活でどんなふうに過ごしているか。……ウッカは、よくわからないけれど、結構高等部に顔を出そうとしているらしい。なんでだろう?

 中等部の生徒が高等部に顔を出すのは結構目立つことなのに。

 持前の明るさで、ウッカは友人もできているみたいでほっとした。まぁ、私が色々やったのもあってナザント公爵を敵に回したらまずいって認識も出回っているみたいで、それでウッカも狙われずらくなっているようだ。それは良い事だと思う。

 私はもっと頑張る。

 ウッカが危険な目に合わないようにするためにも。

 可愛い妹、只一人の家族を失うなんて耐えられないもの。

 


 そんな風に考えて過ごしていたら第一王子殿下のイリヤ様から相談があるって言われて呼び出された。



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