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番外編:エリザベス様が幸せそうで私は嬉しい。

ルサーナ目線の番外編

 「私の妹はどうしてあんなに可愛いのかしら」

 私、ルサーナは執務室でお仕事をしているエリザベス様の口からそんな言葉が漏れたのを聞いた。

 エリザベス様はウッカ様と和解してからというもの、ウッカ様への愛情が益々ひどい事になっている。

 あ、ちなみに私は和解したというのもあってエリザベス様付きに戻りました。エリザベス様にウッカ様の元へ行ってといわれてからもエリザベス様はずっと無茶ばかりされていた。その無茶を知る度に私はウッカ様の傍ではなく、エリザベス様の傍に居たいと思っていた。

 それが、こうしてかなって、エリザベス様が生き生きとされていて私は嬉しい。

 エリザベス様の愛は正直重い。ウッカ様が大好きでたまらなくて、暴走気味だったりもする。今まで可愛がれなかった分、反動で過剰になっているというべきか。

 でも私はエリザベス様が嬉しそうだからとくに止める気はしない。

 「ねぇ、ルサーナ」

 「はい、なんでしょうか」

 「ウッカの結婚相手にはどんな方がいいと思うかしら? やっぱり可愛い天使であるウッカにはそれ相応に相応しい相手ではないとダメだわ」

 「……そうですね。でもウッカ様の気持ちも重要です」

 「それはもちろんよ! 可愛い可愛い妹を好きでもない相手に嫁がせるなんてしたくないわ。ウッカには幸せになってもらいたいもの。でもウッカは恋とかわからないみたいだもの」

 「それならば、出会いの場を用意してさしあげればいいと思います」

 「そうね、可愛いウッカが幸せになるためには最高の場を用意してあげなければ」

 エリザベス様はうきうきしているようだ。ウッカ様と和解してからエリザベス様は表情を表に昔より出すようになられた。

 それにしてもこんな会話をしながらも手は動かし、しっかり仕事をしているエリザベス様は流石だと思う。

 あとついでにいうとここに私とエリザベス様しかいないというわけではない。他にもいるけれど彼らは黙々と仕事をしている。

 私とエリザベス様の声のみがその場に響いている。

 会話を交わしながらお仕事をしていれば、ギル様がやってきたという事がその場に伝えられた。



 ギル様は伯爵家を継ぐために勉強をするという口実(ある意味本当の事だが)をもとに学園にあまりいっていない。エリザベス様と婚約してからはよくこちらに来る。当主として働いているエリザベス様に学ぶためという口実で、本音はエリザベス様に会いたいだけだろう。



 「エリー」

 「ギル」

 正直この二人に関しては収まる所に収まったと思っている。エリザベス様は昔から、ギル様には感情を出していた。ギル様の前では取り繕う事もなかった。だから、エリザベス様にとってギル様が特別だという事は昔から思っていた事だ。

 ギル様に関して言えばエリザベス様以外には興味がないというのが、はたから見ていてもすぐにわかった。ウェンには忠告していたぐらいだし。

 ナグナ様の事は話題に出さないエリザベス様は、ギル様の事はよく話題にだしていた。

 エリザベス様はまじめで、年頃になってから婚約者以外の男女が会うと不貞を疑われるとギル様とあまり会っていなかった。二人で会わないようにしていた。学園でもあまりしゃべりもせず、そのことをさびしがっていた事を、私は知っている。

 エリザベス様とギル様は、会話を交わせなかった期間があろうとも互いにとって特別であるのは近くにいたからこそよく知っていた。正直エリザベス様の配下の間ではナグナ様が居なければなぁとさえ話し合われていたぐらいだ。

 「ねぇ、ギル、ウッカを幸せにするために出会いの場を設けようと思うの」

 「そう」

 「そうなの。ウッカには素敵な男性と結婚してもらいたいのよ。もちろん、ウッカが結婚したいと思う方がいいわ。ウッカは恋とかまだわからないみたいだから、出会いの場を作ってあげたいのよ。そうしたらウッカも―――」

 ウッカウッカウッカウッカウッカ、この短い会話の中でエリザベス様は5回もウッカと口にしている。本当にエリザベス様はウッカ様が好きだ。

 「エリー」

 ウッカ様の事ばかり口にするエリザベス様にギル様が近づく。

 「ウッカがね―――」

 「エリーがウッカの事大好きなのは知っているけれど、俺が来ている時ぐらいこっち見て」

 はーって気になる。なんというか、ギル様はエリザベス様の婚約者に慣れてから、全然自重していない。どこでもこんな感じである。

 ……ちなみに時々行っている学園でもこんな感じである。学園では、エリザベス様とギル様と、あとウッカ様に関しても婚約破棄騒動があって色々と勘繰られているが、まぁ、割とどこでも仲良いのを隠さなくなったエリザベス様とギル様の関係については本当に仲が良いのだなというのは学園でも認識されている。

 エリザベス様もギル様も、互いに見える表情とか色々違ったりもする。特にギル様はエリザベス様にだけ凄く甘いし。

 「……う、うん」

 顔を赤くして頷くエリザベス様は可愛い。こんなエリザベス様を見て私も含めたエリザベス様の配下一同はニマニマしていたりする。



 私はエリザベス様が幸せそうにしていて、本当に嬉しい。






 

アイリス恋愛ファンタジー大賞銀賞受賞記念に番外編を一つ投稿してみました。

時々番外編追加するかもしれません。

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