表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

ちょ、まて。これは違う!

作者: 薄雀


それは、私にとっての願いでもあり、夢でもありました。

なんで、と言われたらう~ん、なんでだろ?

でも、夢だし、願いでもあります。これは、断固として変わりはしない。




それは、私の日常的な時間のときに、起こった。

落ちた、そう、落ちた。




******


私は少しばかり冷静なのかもしれない。

いや、多いかも・・・?



私が、落ちたのはマンホールでも、落とし穴でも、なんでもなくて”異世界”でした。

異世界といっても、日本みたいなんだけど。

でも、王国制で王様も王子もいるし貴族もいらっしゃるみたい。

そこに落ちた私は、すでになじんでいる。日本に近いからなじむのも早かったのだと思う。

まだ、2日なんだけどね。私には、少なからずというか些細な夢、願いがあった。

それは、普通になりたい。である。

この世界に来て、それが叶ったのである。ホントに、うれしい。うれしーい!

と、心で騒いでた私、それは間違いである。今ならわかる、間違いである。



この世界は、妖怪が大量発生した近未来の日本って設定?な世界で、うようよといる、いる。

・・・・・・妖怪が。だから、元の世界では異能だった私はこっちでは異能でも何でもない。

だって、ほらあそこも陰陽術使ってる!いえーい!おじい様、こちらはお仲間がいっぱいでうれしいです!まだ、2日だけど!だれとも、仲良くなってないけど!

と、心はお騒ぎ中、神瀬神楽かみせかぐら。陰陽師やってます!




「ぎゃー!」「いやー!」

うー?すっごい化け物いる!!でも、あっちでもいたし見慣れてるもんよねー。

「なんで、効かない!!」

「最高ランクが来るまでのしばしの辛抱だ皆!」

さっきから、最高ランクがどうのこうのと、そいつ一発でやれちゃいそうなやつなのにー?

「おお、王子殿下自らきてくださったぞ!」

キラッキラの光が、見える。わお、あれが王子!さすが、綺麗顔!

「皆、逃げ遅れるなよ。」「はい、王子殿下!」

「ゆけ、邪魔になる」「はぃぃぃい!」


おおー、すっごい。男までも、虜にしてしまうほどの美貌ですか、そうですかー。

切れ長の瞳を、すぅと細めこちらを見た。黒髪が、風に揺らいで、幻想的な風景に見えた。

後ろに、凄まじいほど怒ってる妖怪いるけど。まぁ、なんとまぁ、綺麗な男でしょうか!

和服、似合いますなー。じい様も、きてた狩衣がすっごい様になってますー!

でも、あの恰好で王子って似合わなっ。

と、一人で笑ってる私。「おい、逃げ遅れるな」

そういって、ひょいっと私を後方に投げる男。否、王子。やめてくれ、私水干なんだから!

ズルズル服なんだから!

「女、王子殿下の邪魔をするでない!」「自分の身、自分で守れるし」

「何を言う?!あれは、殿下程のランクでないと!!」



でもさ、その王子殿下様眉間にしわ寄ってますよ?苦戦してるみたいですよ?

いいんですかー?


「めんどーだなぁ。・・・オンベイシラマンダヤソワカ」


毘沙門天さまよ、私に功徳を。


「あらゆる、邪鬼よ。我が、通力において滅されよ!」

懐から取り出した、呪符をとりだしてペイっと妖怪に投げつければ一気に消えた。

「オンクロダノウウンジャックソワカ」

この地の、穢れを祓ってくださいな。



それを、終えて後ろを振り向けば目をこれでもかと開く男たち。

王子はというと、不敵な笑みを浮かべてこちらを見ていた。



「呼んだはずの嫁がいつまでたっても現れなかったのは、君がこんなところにいたからか。」

嫁?それに、首をかしげて私はじぃと王子を見つめた。

「ああ、そうだ。見つけたことだし、婚礼をあげようか。君で間違いないだろう?異界の陰陽娘」

「へ?」

「俺の、嫁にふさわしい娘を異界から呼ぶこと。そう、占に出たからな。」

そう、いって口角をあげる王子に戦慄を覚えた。

ひぃ・・・「しかも、顔も悪くない。通力も、思ってたよりはるかに凄まじい」

「・・・・ち、ちがうと・・・信じたい!」

だって、異界からきた陰陽師。陰陽娘だ。そこ、あてはまる。

ちょ、ちょ、ちょ、普通じゃない展開です!

このままじゃ、王子の嫁にされちゃう!

「オンアロリキャソワカ」ぽつり、呟いたその真言を聞いた王子はにっこり

「やだな、災難なんてないって!」



引きずられた、その先は純和風のお屋敷。

十二単を着せられ、婚礼の儀式。

その後、その後、聞きたくもない真言が周りの陰陽師たちから贈られる。


『オンシャレイジュンテイソワカ』


功徳、安産、子授けって・・・


ちょ、まて。これは違う!

私の未来、違ーう!



異世界に落ちて、3日で王子の嫁ってどういうことよ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ