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再びAlice † 幼女とドS少女 †  作者: 呂兎来 弥欷助
再びAlice † 幼女とドS少女 †
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チェシャ猫

「あれ~~?」


「どうしたのよ?」


「わすれちゃったの」

「何を?」

「鍵」

「鍵?」


「小瓶の隣にあったはず……」




 以前の出来事は、幼かったアリスにとって強烈な出来事だった。

 忘れた事は無かった。

「う~る~さ~い~~~~」


 ああ、笑顔が怖い。


「仕方がないわね。どうせ、今取りに戻ったって取れっこないのよ」


 じゃあ、ありすに原作のように泣いてもらえば……

「私は子どもの泣き声なんて、聞きたくないわ」


 そうですか。


「わたし、泣かないでいいの?」


「いいの!あんたが泣くと話が余計に長くなるわ。余計な事はしないで」


 アリスが忘れ……

「あんた、やっぱり  死んどく?」


 ご、ごめんなさい。


「そうだ! チェシャ猫に持ってきてもらえばいいのよ!」


 え……


 そこまで一気に行っちゃいますか?


 白うさぎ も出て来て無いのに?


「なに?私が世界の中心よ! 私に 逆 ら う 気 ? 」


 うわぁ、悪の女帝だ。


「そう、文句があるなら……」

 ないです。無いです。呼んできます。





「あ~、うさぎさん」


「ありす? 走って行かないで」


「だって、うさぎさんを追いかけてきたんだもんっ。 待って~」




「ったく、相変わらず 駆け足の早い 白うさぎね。  あら、扇子が」


「せんす?」


「そう……これは身体を小さくするためのものだわ。

 だから、まだ 使ってはダメ。

 わざわざ白うさぎが出てきたのだから、何かに必要なのかも。 とっておきましょう」


そういうと、アリスは扇子をポケットに入れた。

「ひさしぶりだね、アリス」

「チェシャ猫!」


アリスは樹の上にいる紫とピンクの大きな猫に駆け寄った。


「懐かしい。元気だった?」


いつの間にかチェシャ猫は 樹の根本に居た。


大きな体にアリスは抱き付き、顔を寄せて 再会を喜んでいた。


「忘れ物だよ、アリス」


チェシャ猫は、先程置き去りにされたままの 金の鍵 をアリスに渡した。


「ありがとう。チェシャ猫……私、あなたは大好きよ。変わらずにふわふわの尻尾ね。可愛いわ」


「可愛い かわいい 川イイ……」


チェシャ猫は不気味に声を変えていくと、姿を消したり現わしたりして移動していった。


徐々にアリスから遠くなり、再び樹の上に居た。


「君は……ありす。 ちっちゃい ありすは 初めてのお客さんだ」


チェシャ猫の元に戻った声に、ありすは口を精一杯開いた。


「は、初めまして。ありす です。 う、うさぎさんを追いかけていたら……ここにきてしまって」


「そう……そうだね。 アリス アリスは ありす と知り合い?」


「初めて。さっき会ったばかりよ」


「はじめて? おかしいな……君たちは知っている筈だよ? いや、ちがう

 君は知っている筈だ、アリス」


「どうゆう事?」


「初めての お客様 は三月ウサギと帽子屋 の家を 訪ねなければ。

 道は……わかるね? アリス」


「ええ。でも、ひとつ教えて、チェシャ猫。

 どうして あなたは  ありす を知っていたの?」


「どうしてかなぁ? どうして? 不思議?」

「ええ、不思議よ」


「不思議 フシギ ふしぎ…… ふふふふ…… 」


チェシャ猫は また 不気味に声を変えていった。


姿を消したり現わしたりして右へ、左へ、奥へと移動していった。



「不思議じゃないよ、アリス」


チェシャ猫は顔だけを残して ニイっと笑った。


「あなた、何かを知っているのね?」


「知ってるよ」

「何? 教えて!」


「アリスはこれから ありす を三月ウサギと帽子屋 の家に連れて行く。

 お茶会が開かれる。 二人共 紅茶を飲む。

 マッドハッターには  会えるかな? 会えるかな。 会えるといいね」


チェシャ猫は徐々に消えていった。


「行かないで! チェシャ猫ッ!!」

「そうそう、キノコは忘れずに持って行って。 忘れたら大変。 元の大きさで行かないと大変。 持って行かなくても大変」


ありすは周りを見渡した。


「慌てん坊で 忘れん坊 な かわいい アリス。

 また、会えたらいいね。 会えるかな。 あいたいな」


チェシャ猫は最後に声を残して、今度は居なくなった。


アリスは……悲しそうに下を向いた。



「アリス……キノコって、これ?」


ありす は ピンクのキノコを差し出した。


「やっぱり、あんたは利口だわ」


アリスは微笑んだ。


今にも泣きそうだったアリス。


気丈に……振る舞える? あ、そうそう。忘れずにキノコをポケットにも入れてね。



ありすも真似をして、数ある色のキノコから ピンクのキノコをポケットに入れた。


そうして二人は ひとつのキノコを半分して食べて、元の大きさへと戻った。




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