プロローグ
アリスは目を覚ました。
周りを見渡すと見た事がある気がした。
「ここは……」
以前、来たことがある気がした。
アリスは思い出していた。
そう、まだ10歳になる前に来た事があると思った。
うさぎ を 『可愛い』 と追いかけて、穴に落ちた。
ああ、あの頃は可愛かったな、私は。
と、アリスは思った。
アリス、今は?
「はぁ? 美少女に成長した私に、『可愛い』なんて言おうとしている訳? ナメてるの?
あんた。殺すわよ。
てか、私の美少女っぷりくらい描写しなさいよね!!」
うっわ!背筋が凍るくらいの怖い視線ッ!!
……すみません。
大変美しい お方です。 はい。
アリスは思い出していた。
そう、まだ10歳になる前に来た事があると思った。
うさぎ を 『可愛い』 と追いかけて、穴に落ちた。
ああ、あの頃は可愛かったな、私は。
と、アリスは思った。
アリスは現在17歳。
髪は腰より10cm程上。長く、美しい髪だ。
その美しさに上品な 整った顔立ちが輝きを放っていた。
透き通る様な声も また 美しい。
そう、アリスは『美少女』へと成長していた。
「私……落ちてしまったのね。また」
アリスは悲しみに満ちた顔を……
アリス?
どうしたの?
「ふっ。私がここに再び来たって事は、此処に君臨するのはハートの女王じゃなくて、
この私 だって事ね! ようやく理解できやがったのか、あのババァッ!!」
……。
……。
ハッ!!
アリスが暴走して行っちゃったよ。
まだ ナレーションあったのに。
だ、大丈夫かな。
かくして、アリスはハートの女王の城を目指して走って行った。
再会を願う者の事など知らずに。