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第一部 五話 魔術師と適性S

それから数日、俺は魔術の確認と鍛錬に時間を費やしていた。

どうやら、俺の魔術は普通とは違うらしい。

この指輪(クリスタルとは呼びたくない)は武器屋の主人が俺の能力を見計らった上で渡した物らしく、すべての術をまんべんなく具現化してくれる、いわば万能型だ。

だが、魔法適性Sなのに陰術も陽術も厳しかった。陰術のような破壊はまだできるのだが、陽術による保護や治癒は難しかった。イメージが簡単でないのだ。

特別な呪文があるわけではないので、自分の頭で術をイメージしなくてはいけない。だから集中していないと毎回違う術のようになってしまう。陽術は士級でやっとだった。

だが不思議なことに、それよりも更に難しいはずの創術なのだが、あっさりできてしまった。

これは俺の予想に過ぎないのだが、元の世界で散々本やゲームで魔法という物を見ているお陰で俺は創術のイメージが既に高いレベルでできてしまっているのではなかろうか。

実際、創術はかなり応用が効く。

イメージ次第では、火の玉を出すことも出来たし、ドラ◯ンズ◯グマにあったような、雷の鞭も具現化できた。

暇な時に、おい◯けの術も試してみた。淫術というやつだ。ギャグではない。

要はこの世界の魔術というのは、術者の想像力にかかっているのだろう。

だとしたら、自分の想像で回復魔術を応用できたら、陰術も陽術も必要ないよな?


「ちょっと、俺、もしかして最強魔術師・・・?」

ふとそんな考えが出てきたが、慌てて取り消す。転移者の存在が大きく認知されているということは、自分の他にも同じような人間がいるということだ。

ここで自分の能力を過信してはいけない。そう言って鍛錬を続けた。


数日後、俺は再びギルドの受付の前にいた。

「準備はできたようですね。ではこれからクエストの説明になります。まず、冒険者の皆さんは基本的に我々が斡旋したクエストをこなしていただく形になります。その代わりという形で皆さんの衣食住が保証されているというわけです。」


ほう。貼り紙とかじゃないんだ。


「では初めに、この街の周りのパトロールをお願いします。パーティーは各自で編成することもできますが、今回は皆さん初心者ということで、我々で編成しておきました。今から三時間後に街の正門に集合してください。」

初級クエストってわけだ。まあ初級ならかじりたての連中でもなんとかやっていけるだろう。

三時間後、俺は言われたとおりに街の正門前に向かった。

そこには、俺と同様、駆け出しの冒険者らしき連中が数人集まっていた。真新しい光沢を放つ剣や、埃一つないローブなど、それらは一目見るだけで判別できた。彼らが共にクエストを遂行するパーティーメンバーなんだろうか。


俺はそんなことを考えながら、相手の様子を伺うように恐る恐るその集団に近づいていった。

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