表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

第一部 三話 イースと人間族

時間にしては数秒だった。

真っ暗な穴に落ちたと思ったら、僕はいつのまにか一面に広がる緑の草原・・・ではなく、なんだか赤茶けた大地の真ん中に落下した。

「ここがイースか・・・」

確かにドラ◯ンクエ◯トに似てはいる。この赤茶けた大地を除けば。

なんだ、これではまるで北◯の拳じゃないか。なんだ、もうしばらく待てばモヒカンの頭に番号ついた奴らでも来るのか?

とりあえず道はあるが方向も分からないので誰か通らないかとしばらく待ってみることにした。


誰もこない。いや、普通ドラ◯ンクエ◯トなら商人とか冒険者とか通ってもいいはずだ。

ここは我慢してもうしばらく様子を見よう。


それにしてもこの赤茶けた土地はどうなっているのだろうか。よくよく見ると遠くに見慣れたビルの残骸みたいなものが見える。ついに幻覚まで見えてきたか。僕の冒険は開始早々ここで袋小路に入ってしまうのだろうか。

とそんなことを考えていると、後ろから何やら人の声がする。

一瞬ビビりながら後ろを向くと、そこにいたのはモヒカン・・・の暴徒ではなくモヒカンの若い男だった。

「おーい!そんなところで何やってんだ!野垂れ死にしてえのか?」

口は荒いが、どうやら漫画に出てくるようなモヒカン男性ではないようだ。

安堵のため息をこぼしながら、

「道に迷っていたんです。よければ道を教えてもらえませんか?」

と返す。初対面は失礼なく。これは全世界全宇宙の理のはずだ。

「お前、見た感じからすると人間だな?なのになんでここらを知らねえんだ?それにその薄っぺらい服、・・・ひょっとして、どっかから落ちてきたんじゃねえのか?」

そんなの御構い無しにモヒカンは質問を浴びせてきた。

「ええ、まあ・・・でもなんでそれを知ってるんですか?」

純粋な疑問だ。大抵はこんな展開にはならないはずなのだから。

「そりゃあ、ごくたま〜にだけどよ、お前みてぇにどっかからいきなり落ちてくる馬鹿がいるからだよ。どれ、近くに俺らの街がある。早く来い!」

なんだか早すぎる展開に飲み込まれるように、僕はモヒカンの後ろを追いかけていった。


しばらく歩くと、遠目には何も見えなかったはずなのに、小さな、街というよりは集落に近いようなものが見えてきた。

「ここが俺らの街だ。お前はついたらすぐに奥に見える一番大きな建物に行け。わかったな!」

しかしこのモヒカン、ずいぶん威圧的だ。なにか神経を逆なでするような出来事でもあったのだろうか。

「は、はい。」

街に着くとモヒカンのいう通り、僕は街の奥にある大きな建物へと向かった。

そこは、第一印象で言えば、作戦本部だった。入り口には「街役所」と書いていたが。

建物に入るとすぐ、受付のような所に案内された。

「始めまして。こちらは臨時冒険者ギルドです。あなたは、「転移者」の方ですね?ではこの用紙に記入をお願いします。」

どうやらここは冒険者としての認定を受けるギルドの役割を果たしているらしい。ギルドの割にはなんだか皆が殺気立っているのが気になるが。

「分かりました。」

出身:地球でいいか。

年齢:17。

得意分野:ゲーム、読書。

名前: そうだなぁ、現実世界での名前をそのままってのも味気ないしなぁ、新生活だし、いっそ新しい名前を名乗るとするか。うーん、そうだ!ケリィだ、ケリィにしよう。なんだかしっくりくるし。名字は適当に繕って・・・

名前: ケリィ・マーセナス。っと、なんだか聞いたことのありそうな名前だけどまあいいか。

「ありがとうございます。ケリィさん。ではこれが認定証です。なくしても再発行は出来ませんので注意して下さい。あとはこちらがこの世界とこれからの生活の注意事項です。二階に部屋を用意してありますので、それらをお読みになってまずは準備、休養をお願いします。」

受付はあくまで機械的だ。

「分かりました。ありがとうございます。」

そういって僕は二階のあてがわれた部屋へと向かった。

部屋はいかにもRPGと言わんばかりの作りだった。満足とは言えないが、これからはこんな生活が続くのだから文句は言えまい。

まずはこの世界とここでの生活について書かれている紙を読むことにした。これはなかなか時間がかかりそうだ。




ざっと読んだ結果、実に多くのことがわかった。

まず第一に、ここイースはドラ◯ンクエ◯トなんかには少しも似ていないということだ。緑の草原などというものはないし、道を一歩外れると魔物、また最近は「魔王」と呼ばれる存在の影響からか、自然に生息する魔物と異なる、魔族なるものもいるらしい。

そのためここの人々を初めとする人間族は、約十年ほど前から魔族との小競り合いを繰り返しているらしい。

また、古代に高度な技術を誇ったとされる「機械文明」の遺跡が存在する。それはもといた現実社会によく似ていた。魔法は機械文明の遺跡から発掘された装置を使用することで使用可能になる。(機械による技術習得)、魔法は破壊を目的とする「陰術」と守りと治癒を目的とした「陽術」、それを組み合わせた「創術」がある。どちらも極めなければ習得できない創術までできる人は数少ない。また、それらにもランクがあり、上から

とランク分けされる。

例えば僕が創術の皇級をマスターしたら皇創術、ってことか。


そして、なんでこんなに人間族が物々しいのかというと、魔王を倒し、新天地を得るためらしい。

大雑把なところこんなものか。


だから見慣れたビルの残骸みたいなものがあったのか。あれは幻覚ではなかったらしい。これで様々な疑問が片付いた。よくみると、この紙にさらに小さい紙が挟まっている。

「この紙で基礎知識を得たあとは、一階の奥にある装置で希望する方は魔法を習得することができます。装備は転移者の方は無料です。今日から一週間後に受付でクエストの案内を行いますので、それまでに準備、休養をおとりください。」

と書かれてある。

そういえば僕は、元の世界での着の身着のままだ。防護性なんてものはないだろう。それに体格が良いわけではない。がむしゃらに剣をもって飛びかかるのは得策ではないだろう。

「さて、じゃあ明日からは買い物だな。」


僕は明日、魔法使いになるのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ