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第一部 十三話 今更だけど魔術鍛錬

街外れにある魔具屋に向かった。

あそこならなにかヒントが見つかるかもしれない。


「なんだぁ〜い?」

なかに入ると不気味な声が聞こえてきた。店のカウンターにいたのは、何とも中性的な雰囲気の親父だった。


イースにはまともな人間はいないのか疑問に思えてくる。

「あの、魔術の詠唱を短縮する方法はありませんか?」

流石に無詠唱はできないだろうと思ったので時間短縮が出来れば良いだろう。

「詠唱の短縮?そんなの簡単よぉ〜。

あなたの右腕のかっちょいい〜オモチャに術式を刻み込むのよ。そうすれば詠唱なんて要らなくなるわ。簡単でしょ?」


案外簡単らしい。

「じゃあ料金はギルドのツケにしとくわね。ちょっとそこの椅子に座ってくださいな。すぐ終わるわぁ〜♡」


英雄は待遇が良いのが嬉しい。金についてはほとんど心配がいらないレベルだ。


こうして俺はピンク色の天国を見た。

何を見たのかは言いたくない。


結果、俺の右腕には奇妙な紋様が刻まれ、これが詠唱の代わりをするらしい。

早速試してみたかったので、ギルドに隣接した訓練場に向かった。

受付で代金を払い、訓練場に入る。運動場のような環境なので誰にも気にせず暴れられるわけだ。

目の前には模擬戦用の的が置いてある。

まずは指輪を掲げて玉炎を発動させる。勢いよく飛び出した赤い炎は的に命中し、弾けた。

気のせいか以前よりも炎の速度が上がっているような気がする。発動後の疲労も軽い。

「レベルアップ・・・!」

元の世界では一生体験できなかったであろうこの出来事に少し感動した。

実際は経験と慣れなのだろう。

ならば次はと、右腕を突き出す。

あの親父の言うとおりなら、詠唱せずに念じるだけで良いらしい。右腕に意識を集中させ、玉炎の時と同じ、火球をイメージする。

すると、右腕の先に黒い火球が発現し、猛烈な早さで的を消し去った。

先ほどの指輪の時とは早さも大きさも段違いである。レベルアップを実感こそしたものの、無詠唱と通常魔術にここまでの違いがあるとは驚きだ。

その後も自身ができる限りのすべての術を試してみた。


結果、自分で思っていたよりも創術というのは幅が広く、自分の考えているものはほぼ発現出来るということが分かった。一応初心者用の魔術指南書を読みつつ、なるべく多くの属性術をやってみた。

いまさらだが、まず属性というのは大まかに木・火・土・金・水の五つにわけられるらしい。そしてそれぞれの術のレベルに応じて

神級

皇級

士級

武級

工級

の名前が付けられる。戦闘レベルで使えるのは武級からだ。工級は文字通り普段の作業程度にしか使えないレベルである。

例えば、木武級なら植物による壁などだが、神級になると森を作り出すことも出来る。同様に火武級は俺がよく使う「玉炎」が代表的だが、皇級では小型隕石を呼び寄せるレベルだ。


俺の場合は、指輪(クリスタル)を手に入れた時に言われたように、まんべんなく各属性を武級までは発現できた。

だが時間がかかる。戦闘で使えるレベルとはいいがたい。

逆に普段から使うことの多い火属性と、不思議と水属性は皇級までできた。

だからといってどこかれ構わず隕石を降らせるのはマズいが。

おれの得意属性という事だろう。


さらに、二つ以上の属性を組み合わせることで新しい属性を作り出すこともできるw。代表的なのは火と水属性を組み合わせる溶属性。

炎の壁などがそうだ。

可能性は無限大であり、独自の属性を発明するのが高位の魔術師の証だという。

そしてページの最後に、俺の右腕の「黒」の属性について書かれていた。黒属性は五つの基本属性全てを掛け合わせたものであり、詳細不明。

これだけだ。

だが体験上、無詠唱と併用すればかなりの戦力となるのは確かだ。


ということは

俺の得意:火と水、黒

ニガテ:その他属性

備考:黒属性は無詠唱魔術が可能。


となるな。

その他についてはあとで時間のある時にでも勉強するとしよう。


その後数時間、俺は魔力の持つ限り魔術の鍛錬に励んだ。


気がつくと日はくれ、夜だ。

「さて・・・怠い。」

魔力を使うといつもだ。肉体的に疲れるのとは違う、怠さ。

こういう時はさっさと寝るに限る。

俺は鍛錬を切り上げ、ギルドに報告をしたあと眠りについた。


カイアス帰還まであと2日だ。




ケリィ・マーセナスはレベルアップ した。

まほう:黒属性術、火皇級、水皇級

とくぎ:黒属性付加、属性合成(溶属性)


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