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第18話(サイドB)

男性視点


 母上や妹の警備を増やし厳戒態勢にする。王宮中に静かな緊張が漂っている。父上も表には出さないがイライラしているようだ。母上を絶対に外出させないよう策を講じている。妹の子供会参加については、すでに公式に表明したことであるため取りやめにはしなかった。ミーアに対しても、セネゲルにひそかに警護させるよう命じておいた。


 連日、様々な情報が報告されるにつれ、例の噂の正体が次第に明らかになってきた。神官の教えを受けた”金の騎士団”と名乗る団体があること、そして王女を襲撃目標にしていることが。集められた情報の中でも、ミーアが出掛けた神殿で知り合った神官からもたらされた情報は詳細で大量だった。実際にはその神官ではなく、研究者団体からの情報だったわけだが。研究者であるがゆえに、その情報には参加者の心理状態の考察やら、今後の行動の推論、どのような人物なら参加するかという推察など様々な内容が含まれていたため資料が膨れ上がっていたのだ。

 数名の主な参加者が絞り込めたころ、妹が襲撃されたという報告が入った。


 王宮で父とともに騎士ウルガンの報告を受ける。妹が子供会へ出席した帰りの馬車が襲われたと言う。馬車に乗っていた三人はかすり傷程度ですんだらしい。ミーアも。

 信用のおける王宮警護団員達と、今後の行動の話を詰める。目を付けている騎士を泳がせ、襲撃失敗後の集会を取り押さえるのだ。騎士達には、その取り押さえるべき人物に騎士団仲間がいることに衝撃が走っていた。騎士団に所属しながら王女を傷つけようと考えるなどと、騎士として許せるものではない。

 王宮を警護する騎士達にも緊張が広がり、ピリピリとした雰囲気の日々が続いた。数日後の夜、とある貴族の屋敷で開かれた”金の騎士団”の会合を押さえ、関係者の大半は牢へ送られた。

 取り押さえた者達の手紙のやり取りから、まだ捕まっていない人物の割り出しを急ぐ。国外へ逃げる前に捕まえなければ。


 ジェイナス叔父の屋敷での舞踏会に出席する。もしも”金の騎士団”の関係者が残っているならば、王太子を狙ってくるかもしれないという残党向けの誘いだ。叔父の屋敷であれば十分な警護体勢が敷けるので、準備は万端だった。

 しかし、この舞踏会にミーアがこっそり入り込んでいると連絡を受ける。

「ミーア様がセネゲルにエスコートしろって、彼を連れて行ってしまいました。彼は、王子様に、警護できなくて申し訳ありませんと伝えてほしいと言っておりました」

 セネゲルの同僚であろう騎士がそう伝えにきた。

「セネゲルがミーア様の警護に当たるようですね。一人くらい抜けても問題はありませんが。ミーア様は何を考えておられるのでしょう。いつもは、このようなことをなさる方ではないのですが」

 騎士カウンゼルが辺りを見渡しながらそう口にする。そこに騎士ラルズが口をはさむ。

「襲撃されたときに、野次馬の中に彼女は知人を見たようだと騎士ウルガンが申しておりました。その知人を犯人の一人だと思っていたのではないかと」

「そんな報告はなかったが」

 騎士カウンゼルが騎士ラルズに問う。彼も全く聞いていなかったのだろう。

「この前、ウルガンがミーア様をお見かけしたときに、思い出されたようでした。本の一瞬のことだから気のせいかもしれないがと前置きした後で。ミーア様は彼女に声をかけてきた騎士と野次馬の中の人が犯人だとわかっていたようだ、と」


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