あめふりきろく。
ゆみちゃんは、幼稚園からの帰り道に、こんなことを思いつきました。
「おさんぽにいこう!」
ゆみちゃんは、思ったことはすぐに行動に移すタイプです。ゆみちゃんは、お家に帰ると、すぐにお気に入りのワンピースに着替えて、お外に行く準備をします。
ワンピースにはねこの耳が付いています。ゆみちゃんは、この耳がお気にいりです。ポシェットには飴を入れます。今は雨も降っているし、季節はもうすぐ冬です。寒くなってもいいように、腰に上着を巻きつけます。
さあ、傘をさして、お散歩に出発です!
…あら?ゆみちゃんは、お家のカギを忘れてしまったみたいです。カギが無かったら、帰って来た時お家に入れません。
部屋に戻ってカギもポシェットに入れたら、
今度こそ、出発です!
ざあざあざあ、とことことこ。
ゆみちゃんは、最初に少し遠い所にある公園に行く事にしました。
ざあざあざあ、とことことこ。
ゆみちゃんの目指す公園に近づいてきました。長い階段を上ると、今度は迷路があります。迷路の両脇には、花や草が沢山ありました。中心には木が一本、どっしりと座っています。ゆみちゃんは、花を見ながら公園の方に向かっ行きます。
ざあざあざあ、とことことこ。
ふと、ゆみちゃんは思いました。(ざあざあのおとがすくなくなった…?)
ゆみちゃんは、顔をあげてみました。そこは、木の下でした。ゆみちゃんは、そこで一休みして、また、歩きだします。
しとしとしと、とことことこ。
ゆみちゃんは、ようやく公園に着きました。
公園には、だあれもいません。雨の音が鳴るだけです。ゆみちゃんは、公園の中を歩きまわってみる事にしました。
ざあざあざあ、とことことこ。
ゆみちゃんは、土管を見つけました。
「おーい。」
返事は帰ってきません。
「おーい」
やっぱり返事は帰ってきません。
友達もいない公園は、あまり面白くありません。ゆみちゃんは、他の所へ行く事にしました。
ざあざあざあ、とことことこ。
ゆみちゃんは、幼稚園の近くに行く事にしました。友達がいるかも知れないからです。そのあとには、幼稚園を少し行った所にある、
神社に行く事にしました。今日から、神社でお祭りがあるのです。そのお祭りには、二百年ものの歴史がある、と天狗さんが言っていましたが、ゆみちゃんにはさっぱりわかりません。
ざあざあざあ、とことことこ。
ゆみちゃんは、ざあざあの音が強くなってきた事に気がつきました。傘が重くなった気がします。
ざあざあざあ、とことことこ。
ゆみちゃんは、幼稚園へ向かっている途中、幼稚園のお友達のゆかちゃんと、そのお母さんを見つけました。手を振ったら、振り返してくれました。
ゆかちゃんに、
「はんそではさむそうね~。」
と言われました。ゆみちゃんは、
「さむくないよ!なんでうわぎきてるの?」
といいました。実のところ、ゆみちゃんは、
さむいのか暑いのか判らないほど冷えていました。腕を触ったら、とても冷たくなっていました。けれど、ゆみちゃんは、進みます。
ざあざあざあ、とことことこ。
ゆみちゃんは、寒くなってきたことに気がついたみたいです。ゆみちゃんは、上着を着ました。いちごのアップリケの付いた、かわいい上着です。
ゆみちゃんは、歩きます。
ざあざあざあ、とことことこ。幼稚園に行く道で、あおい先生を見つけました。けど、あおい先生は自転車に乗っていて、急いでいるみたいです。ゆみちゃんには気付かずに行ってしまいました。
ざあざあざあ、とことことこ。
ゆみちゃんは、幼稚園につきました。そこには、幼稚園の年少さんのきっずグループと、きっずの先生の、雅先生と、恵先生がいました。今から帰るみたいです。今日は、遠足だったみたいです。ゆみちゃんは、年長さんのグループなので、きっずの先生と会うのは久しぶりなのです。先生に話しかけると、
「背、高くなったなあ」
ゆみちゃんは、
「これからどんどんおおきくなるの!」
といいました。今のゆみちゃんの頭には、
150㎝程に大きくなった自分がいるみたいです。
ゆみちゃんは、先生と別れてまた、歩きだします。上着を着たけど、まだ寒い。
ざあざあざあ、とことことこ。
お次は神社に向かいます。
ゆみちゃんは、お祭りの下見に行きます。
そして、明後日には盛大に遊ぶのです。
ざあざあざあ、とことことこ。
ゆみちゃんは、神社に着きました。やっぱり初日だし、雨が降っていこともあり、お客さんは少ないです。居るのは、元気な男の子だけです。ゆみちゃんは、明後日にも同じ男の子を目撃するのですが、それはまた別の話。
ゆみちゃんは、おこずかいを持っていなかったので、今日は帰ることにしました
まだ、あったかくは、なりません。
ざあざあざあ、とことことこ。
ゆみちゃんは、おうちへ着きました。ガレージを見ると、バイクがあります。お母さんは、もう帰っているみたいです。ゆみちゃんは、急いでおうちへ入りました。
ゆみちゃんは、大きな声で言いました。
「ただいま!」
「お帰り~。何所行ってたの?」
お母さんの声が台所から聞こえてきました。
ゆみちゃんは、台所へ行ってあったことを話し始めました。
「あのね、あのね、―――……」
「うんうん。」
料理をしながら、お母さんは楽しそうに聞いてくれました。
もう、寒くはありません。
ただの実話です。(名前は違うけどね!)