0-5
「そっちのクラス、文化祭なにやるの?」
しばらく、ゆっくりすることにした。
「まだ決まってないよ」
メシは? コンビニ行くんじゃなかったの? みたいなツッコミ禁止でお願いします。
「去年とは違うのやりたいんだよなぁ。あれは正直、ないと思った」
「すごろくやったんだっけ?」
教室を使ってのすごろく、くだらなかったので説明もする気なし。
「うん。……1年の時のダンスが一番楽しかったな」
「同じクラスだったよね? というか、楽しんでたんだ」
友達が踊るって言って、それに便乗してた俺。
「……岡本くんとか、今どうしてるかな?」
ふと思い出したように田辺は言った。
「えっと、なんか眠そうな熊さんみたいな感じだったっけ?」
岡本は1年の時に退学しちゃった奴だ。
分かるような分からないような微妙な例えだな。
「山下だったら、俺のバイト先に来たよ」
「えっと、どんな顔だっけ?」
山下誠也、背が高く運動神経抜群。ちょっと悪っぽいけどいい奴。
忘れるとは可哀想に。
口数少なくて、特に女子と話してるとこは見た事なかったから仕方ないのかな?
「……カッコ良くて結構人気あったよね? 覚えてない?」
「桃子は覚えてるの? うーん?」
「そういや、もう1人にいたよな。アリス。竹……、竹山だっけ?」
名前は印象的なんだよな。
「竹内アリスだよ。アリスちゃん雑誌に乗ってたりするんだよ! 知らない?」
「そうだ。って、マジで?」
竹内アリスとはほとんど話したことなかったな。
ハーフなのか鼻の高い整った顔立ちで、すらっとしていた。
気がする。
「……かわいいもんね」
あんまり興味なかったんだよ。