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「……いないか」
誰かいればという微かな望みをかけて教室に寄り道。
我らがF組は電気がついてすらいない。
「知ってる奴いるかな?」
なので、隣のG組の明かりがより目立ってたりする。
「あれ? なんでいるの?」
うわぁ……、出た。
「なんでいんの?」
そこにいたのは、俺が片思いしている女子とその友達。
「桃子と私、就職だもん。ね?」
逆に質問して、普通に返されると若干寂しい。
「うん」
ついでに告白して振られています。めげるな俺。
「そうでございますか、三枝さん」
三枝美咲、いつも見せる笑顔が可愛くてあっさりと俺が惚れてる女子。
「なにその反応……、めがねのくせに」
いや、関係ねぇだろ。
まぁ、普通に話せるまでに関係修復出来てるってことだからいいけどね。
コクったあと、それとは別に一回嫌われてるもんですから。
「田辺、図書室みんないるけど行かないの?」
「ここでいい。静かだし」
田辺桃子、静かなタイプだけどしゃべるのが苦手なわけじゃないみたい、最近気付いた。
「確かに。……席並んで空いてるか分からんし」
言っといてなんだけど。