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「ここ涼しくていいわー」
クーラーも扇風機もない教室にいるのは命に関わるので、健吾と図書室に移動。
「俺は履歴書を書くから、俊はこの前の本でも読んでれば?」
「『一から学ぶ 微分積分』だっけ? 傾きの説明とかから始まったから流石に萎えた」
「そういや言ってたな。まぁ、取り合えず静かにしててくれ」
「いや、だから……」
扱いがひどいな。
他にも校内選考の結果を待っている生徒が図書室に来ているらしく、端の席は全部無くなっていた。
「寝ていい?」
「だったら帰れよ」
「眠いのはしょうがないじゃんよー」
並んで空いている席に座ると早速睡魔に襲われた、夜更かし良ぐない。
「図書室いんだし、なんか読んでろよ」
「一理あるな」
のろのろと立ち上がり、端から本の題名を見て行く……。
「面白そうなものがありませんでした!」
「知らん」
ひどいわ、一言でばっさり!
もっかい、のろのろ徘徊。
ほむ……?
さっきはなってなかった気がするが、本が手前に飛び出ている場所を発見。
よく見ると、奥に一冊挟まっているみたい。
『ぼうけんのしょ』……?
後ろからぱらぱらとめくって見る。
『ぼうけんのはじまりです。』
ざっくりとばした気もするが、白紙のページが続く中、最初のページには一行だけ書いてあった。
「意味不な本見っけた」
取り合えず報告。
「知らん、俺は忙しい!」
「……さいですか」
ま、どうでもいいか。
寝よっと。
俺は本をほっぽって机に突っ伏した。