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――電車の中。
「明日から夏休みじゃん。吉井たち誘ってカラオケ行こうぜ」
「いきたい! いきたいよ!」
「あぁ…でも、秋元。お前は子供にゲームで負けたからなぁ」
「関係なくない!? というか、ちょっと……ちょっと調子が悪かっただけだよ!」
「あはは」
くそう……、てっちゃんとゲームセンターに行って楽しんでたのに、小学生に乱入されてそのまま負けるなんて……。
「リベンジしても負けてたように見えたけどなぁ」
「うるさい! うるさい! 今度は勝つ! 明日またリベンジだ!」
「いや、明日は一人で行ってこいよ。俺、そこまで暇じゃないから」
「え? 一人は微妙だよ! それなら俺も行かないよ!」
「……なんだよ。それ?」
「??」
てっちゃんの視線は自分の後ろに向いている。
「眩しい!?」
目の前に白く眩い光が!? 何これ、怖い!!
「ネックレスだな。見ないデザイン……どこから現れたんだろう。秋元?」
……。
「あれ? 秋元!? どこ行った??」
……。
――3年G組の教室。
「……急に来るからびっくりしちゃった」
鞄からお弁当を取り出す。
「……」
桃子を見るとクスクスと笑っている。
「なんで笑ってるの!」
「……だって、さっきと態度が違うんだもん」
「そんなことっ――」
いきなり、目の前に光るネックレスが二つ現れた。
「きゃっ!?」
一つは青く、もう一つは黄色く輝いている。
「……何だろう? ……触っても平気みたい」
「ホントだ。すごくきれい!」
二人はネックレスに見惚れている。その背後に、見ていると吸い込まれそうな闇が現れた。
「なに? 桃子、うしろ!!」
「……?」
……。
教室には、蝉の鳴き声だけが大きく聞こえる。