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伊豆守がやってきた。やぁやぁやぁ! 第一話

常磐林蔵様が連載されている「宗盛記」の二次創SSです。

楽しむには「宗盛記」の知識が必須となります。

「読んでおいてほしい本編の話数」は下記となります。チェックいただければ幸いです。

宗盛記0069 永暦元年二月 伊豆へ から

宗盛記0076 永暦元年七月 帰省 まで


この連載は、プロットを作成の後、AIで文書化したものを推敲して仕上げています。

永暦元年二月 伊豆国 国境


昼下がりの木陰は、気持ちがいい。

冬の名残りはまだ空気にあるけれど、日向だけは妙に眩しい。


腹が、ちょっと減っていた。

さっき齧った干し柿は甘かったけれど、ひとつじゃ足りない。

煎った椎の実を指で転がしながら、俺は街道の向こうを見ていた。


来た。


国境へ向かう列が、ゆっくりと近づいてくる。

伊豆守だ。

平治の乱で名を上げ、悪源太義平を討った若い受領。

坂東でも、その名は何度も聞いた。


でも、こうして実際に動いているところを見るのは、初めてだ。


先頭は十数騎。

伊豆守は細身だが、馬上での動きがやけに軽い。

周りをきょろきょろ見ている目が、落ち着きすぎている。


「……この人、観察してるな」


武名だけで人が距離を取る。

それを分かっていて、気にしていない顔だ。


俺は昼には飛べない。

翼は夜向きだ。

だから、木の影からじっと見る。


黒装束。

そんな呼び名は、もう昔の話だ。

俺たちの元は、平致経様の家来。

郎党にもなれない、影の役目をする黒連中だった。


だが、致経様と、後に伊勢平氏の祖となる平維衡様との争いで、流れが変わった。

黒装束の一部は伊勢に残り、伊勢平氏の家人となり、一部は坂東へ戻った。

俺たちは、その戻った側だ。


今では、ただの古い噂筋。

それでも、細い情報の糸だけは、まだ切れていない。


清盛様は、我らをうっすらと知っているらしい。


だが、この伊豆守は、まだ知らない。

それでいい。


迎えの先頭は、狩野茂光。

えびす顔で、少し汗っかき。

人当たりはいいが、動くのが少し億劫そうだ。


伊豆守は、その動きに合わせるようで、合わせすぎない。

少し照れたような顔で、しかし主導権は渡さない。


三里ほど進み、国衙が近づく。

今日は、人が多い。


伊東祐親、北条時政、天野景光……。

伊豆の在庁官人が揃っている。


伊豆守は、終始笑顔だ。

焦りはない。

ここが最初から自分の場であるかのように、自然だ。


「……上手い」


椎の実を口に放り込む。

香ばしくて、少し苦い。


上からは、こう言われている。

「体術は大したことはないが、視えている」

俺は、その“視えている”ということがよく分かっていなくて、知りたいと思っている。

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