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9・トイレの○○さん 4 おくりもの

前話で花さんが実行している呼び出し方法を本文中に書いてますが、昔からある基本の招致方法の1つを略式化したものです。

 呼ばれて来るのが『ナニモノ』なのか、わからない場所や状況で気軽にマネをして実行されると、心身の安全などが保証できないことがあるため、当方は一切の責任を持ちません。

 皆様にはご理解頂きますよう、ご了承ください。

「あ、黒木(クロキ)っちゃん、おは~」

「おはよー、昨日の聞いたよ、さっそく見てきたの?」

「はよ~、黒木。早く、早く出して見せて、プリーズ」

「おっはー、って、えっヤバッ、黒木っちゃん何匹とってきたの!?」

「おはよう黒木のことだから、取り合えず生きてる程度にプチッと半殺しにしてるんじゃないかなぁ~?」


「「「「あ~、納得」」」」


「おはよう! 全員で納得するの()めぇい! 捕まえる予定は無いよ! イマちゃんの『とる』って、絶対『捕まえる』じゃなくて『狩猟』のほうだよね!? (ひと)狩り行こうぜのハンターじゃないから! ナナコはヒットマン妄想()めぇい! あと『おはよう黒木』って、昭和の漫画の謎生物かっ!」



 挨拶してからツッコミを入れてる花さん。

 友人たちが相手でも律儀(りちぎ)である。


  そして今日もJK(女子高生)たちは、朝からテンション高めであった ――



 ◆ ◇ ◇ ◇ ◇



「それで黒木は、『小さいおじさん』をヤったの?」

「ヤってなくてもいいから見たい」

「ヤった後のでいいから見たい」

「その『ヤった』って言うの()めぇい! 朝から不穏になるからぁー!」


「おじさんキラー?」

「おじさんスレイヤー?」

「おじさんスイーパーに1票!」

「「ヒットマンのほうがカッコいい」」

「討伐も駆逐も『滅!』もしてないからぁー!」



 朝から無駄に平常心(SAN値)を減らした花さんであった ――



 ◇ ◆ ◇ ◇ ◇



 ――― 昼休み。



「朝からお疲れ様でした、黒木さん。仕掛けの成果の報告をお願いします」

「「「「お願いします」」」」

「仕掛け……プスッ!と針で仕留めて必殺」

「「「「ナナコ! 黙ってて!」」」」

「はぁ~~い」

「…………」


 友人たちの妙な結束力と熱量に、ちょっとドン引きする花さん。


(なんだろう、この『絶対に期待通りの成果がある!』って信じてる期待感、どこから来てるんだろう……?)


 花さんは疑問に思ったが、普段からアヤシイ相談を「なんとかなると思うよ」と言った後、なんとか解決している実積のせいである。

 鈍感主人公や難聴主人公に「いい加減に気付けよ、こいつアホか」とディスってるが、色々やらかしてるのに「地味モブ」だと言い張る花さんも、いい加減に自覚してほしいと、友人たちは思っている。


 そして、『おあずけ』状態な友人たちからギラギラした目を向けられるのは嫌なので、昨日の放課後の『仕掛け』から話し始める花さんであった。



 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇



「うん、アレはね、うん、簡単に物を置くだけでうん、(おび)き寄せる、うん、罠に近いやつだな、うん」

「「「「「次郎かっ!」」」」」

「あれなんだな、ち、小さいお、おじさんは、お、お菓子が、好きなんだな」

「「「「「(きよし)かっ!」」」」」


「だって~、みんなが『おじさん情報を簡単に』って言うから~」

「「おじさんキャラ情報は要らん」」

「どっちも小太りって共通点はあるけどさ~」

「佐藤と山下……小太りチョイス……ぐふふっ」

「「「「あ、(ヤマ)ちゃんがウケてる」」」」


「『太陽の塔』を爆破したのって、どっちだっけ?」

「「どっちでもない!」」

「「爆破されてない!」」

「あれ? 作ったんだっけ? さぶろう?」

「「「「太郎だよ!」」」」

「さ、さぶろうって、誰やねん、あはははっ」

「「「「山ちゃん……」」」」


 雑談の話は弾むが、雑談で話が進まないのは、彼女たちの日常である。


 真面目で真剣な話の前の、ウォーミングアップなのだ。



 ◇ ◇ ◇ ◆ ◇



 ――― 昨日の放課後。


 花さんは、トイレの窓の外側と内側にある、窓枠に付いた細長く棚のようになった出っ張り部分に、学校の中庭で集めた木の実やドングリ、小石、カバンに入れていたお菓子などを、葉っぱの上に丁寧に飾り付ける。

 窓から離れ、配置を見ていた花さんは少し考えてから、用意していたペットボトルのフタに、水筒から緑茶を入れて、お菓子の横に置く。



《今回使用した素材》

 葉:ツワブキ(石蕗)・ツバキ

 ドングリ:クヌギ・スダジイ・マテバシイ

 花:イヌタデ・ヨメナ・コスモス

 その他:丸くて平たい小石(白っぽいのと黒っぽいの)・ビー玉

 お菓子:煎餅(醤油味)・クッキー(カ○トリーマ○ム)・飴(黄○糖)



「……うん、こんな感じでいいかな。ダメなら再チャレンジかな~。よし、帰ろう。まだ見ぬ名も知らぬ小さいおじさんよ、アディオス!」


 まだまだ厨二真っ盛りの花さんは、誰もいないし聞いてないからと『アディオス』なんて言ってるが、ただ言ってみたかっただけで、特に意味は無いのである。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◆



「置いてたの、どうなってた?」

「うん、色々と無くなってたから、確実に居てるね」

「「無くなってた!?」」

「「居てるんだ!?」」

「生け捕り?」

「生け捕ってないから!所在確認しただけだよ」

「え? 生きたままお酒に漬けるんだよね?」

「「蛇かっ!」」

「「「怖いわっ!」」」


 ナナコの斜め上なボケは、天然ものである。


「ナナコは放置して「酷い!」黒木っちゃんがやったのって、何かで見たことあるんだけど」

「坂もっちゃんなら知ってるんじゃない? 古典的な『妖精への贈り物』の応用だよ」

「あー! アレかー! ……あれ? ペットボトルのフタって、天然素材じゃないけど」

「あ~~、最初はアサリの貝殻にしようと用意してて、家で試したんだけど、すぐ零れるんよね……安定悪いし。それに、学校の中に勝手に住んでる『おじさん』だったら気にしないかな~? と思って」

「「「「「おじさんだもんね~」」」」」


「それはそうと、『贈り物』って、私らが置いても来るの?」

「来ると思うよ。お菓子の所にエノコログサ(ネコじゃらし)と1円玉2枚置いてあったし」

「「「2円!?」」」

「「お返し!?」」

「何が好きか判らないから色々置いたけど、おじさんにはちょっと多かったのかも。お皿代わりのツバキの葉っぱで、食べきれなかったぶんを包んで持ち帰ったみたいだし」

「おじさん、テイクアウトしたのか」

「葉っぱで包んで……ファンタジーやな」


「あ、コスモスの花も無くなってたわ」

「「「「「メルヘンかっ!」」」」」







次郎:『幼獣マメシバ』

清:『裸の大将』山下清

太郎:『シュールレアリズムの巨匠』岡本太郎。座右の銘「芸術は爆発だ」


次回!遂に『小さいおじさん』と接近遭遇!?

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