6・トイレの○○さん 1 うわさ
トイレには、それはそれは○○○な、○○さんが おったんやで~
私が卒業してから校舎の改修工事があったけど、まだヤマト高校(仮名)に○○さんが居てたら愉快。
『間咲正樹』様にレビューして頂きました!あざーっす!(2025・11/15)
―― N県立ヤマト高校は、上から見ると『H』を縦に2つ繋げたような造りの4階建ての校舎である。
―― 校舎内のトイレは16ヶ所ある。
◆ ◇ ◇ ◇ ◇
「しんぶ~~ん、しんぶ~~ん、最新号の新聞だよ~~」
「あ、チンドン屋、来た」
「チンドン屋って言うより、新聞配達の苦学生?」
「ネタを探すのに苦労してるほうな」
「おっ、これはこれは魔王様ご一行ではありませんか。お近づきの印に、お一つどうぞ」
「誰が魔王だよ! 『勇者が現れた!』って、フェイクニュースごと滅びろ」
「『お一つどうぞ』って言うなら、チ○ルシー、箱で出せ」
「新聞部が月に2回か3回、無料で配ってるB5サイズの紙に、どんな価値が」
「か~~っ! 辛辣! 朝から頑張って配ってるのに、せめて受け取ってくれよ~」
「いや、そもそもの話、その『しんぶ~~ん』って棒読みな掛け声が、『なんかヤバそう』って警戒されるんだと思うよ?」
「えぇ~? 酷ぇな~」
「……ねぇ黒木っちゃん、なんだったっけあのマンガ。読んだらヤバい新聞のやつ」
「ああ、『恐怖新聞』ね。1回読んだら強制的に寿命を百日徴収されるんよ。しかもロシアンルーレット的に購読者を狙ってくるし、無理矢理 長期契約させられるし、寿命が尽きるまで解約不可能だし」
「ええっ!? なんだよそれ、怖っ!」
「酒井は怖がられないように、スキップしながら配ったらイイんだよ」
「「ぶふぅっ!!(笑)」」
「いや、さすがにスキップは無い」
普段のおちゃらけた態度ではなく、真顔でスキップ配布を断ったのは、花さんたちと同じ学年の新聞部部員・酒井。
突発的な騒動や噂話が大好物で、自分好みの面白い内容には大喜びで騒ぐため、『チンドン屋』と認定呼称されている男子である。
◇ ◆ ◇ ◇ ◇
「読んだら3秒後にウェットティッシュにならないかな」
「この新聞……? に、そこまでの等価交換の価値はないよ」
「この新聞……? が、200枚でポケットティッシュ1枚になるかも。知らんけど」
「黒木はともかく、山上と坂元のディスりが意外と酷ぇ」
「「「失礼な!」」」
「……で、今回は何が書いてあるのかな……へ?」
「は? マジで『コレ』調べるの? 正気?」
「黒木が何個か消滅させてるから、残り1個、もしくはゼロかも。にやり」
「山ちゃん、『にやり』って言ってるし。それに、結果的に消滅したことになるけど、私はブッ飛ばしただけで直接消滅させてないから、セーフ」
「あ、そうか。それならセーフだね」
「うん、ナイスセーフ」
「良かった、セーフ」
「いやいやいや! 何に対して『セーフ』なのか全く理解出来ないけど、黒木、お前がたまにやってるらしい、俺や先輩たちでも元ネタが掴めない『何か』! 教えろ!!」
「「「えぇ~~、イヤ~~」」」
「なんで坂元と山上までイヤがんだよっ!」
「ぷんすこオコ酒井、ウケる。ぷぷっ(笑)」
「「山ちゃん……」」
アンニュイな雰囲気が通常な山上さんのご機嫌な姿に、ちょっと引き気味の花さんと坂元さんであった……
◇ ◇ ◆ ◇ ◇
【ヤマト高校 四季の月報 第五百八十二号】
《緊急企画!情報募集中!》
わたしたちのヤマト高校には『七不思議』があるのを知っていますか? 段数が増える階段、人影が映る鏡、誰も居ない教室から聞こえる歌声……
我らが新聞部が総力を上げて調査をしたところ、7つではなく、9つ以上あるのでは?という驚愕の結果が出ました。
が!!私たちはまだ知られていない『七不思議』があることを確信しています!
そこで是非!みなさんの知っている『七不思議』を教えて下さい!情報を待ってます!!
(記事担当:副部長 加藤)
「アイヤ~、カトパン先輩、やらかしちゃったアルね~」
「カトパン先輩、伝説的 黒い歴史、残すアルよ」
「食堂でワンタン麺 食べてる余裕ナイアルね」
「なんでいきなりニセモノ中国人会話なんだよ……」
「内容の熱さにビックリして?」
「自ら『む~』読者だと暴露してるから?」
「五百八十二号だったから、なんとなく?」
「あ!それボクが気付きたかった!」
「しかもデジタル表示だと線対象」
「582……あ、本当だ、なんか凄いわ」
「ほら酒井、これでネタ1個ゲット。やったネ♪」
「こんなのでネタになるかぁーーっ!!」
最初は三人の奇妙なノリに付いて行けない酒井を面白がって見ていた周りの野次馬たちであったが、「もう止めてあげて!酒井のHPはもうゼロだよ!」という気持ちで、心がひとつになっていたのだった……
◇ ◇ ◇ ◆ ◇
「うわー、『チクショー、覚えてろよ!』って言う人、ボク初めて見たよ。ラッキー」
「そして空かさず『覚えとくから一昨日おいで』と、笑顔で返す黒木っちゃん……鬼かっ!」
「だって、私に『覚えとけ!』って言ってるくせに、忘れて来ないヤツばっかりなんだよ。相手が忘れる前に言っとかないと、なんか損した気がするし」
「へー、誰も来ないの?」
「本当に誰一人来ないね! やっと来たかと思ったら、別件だし。授業を挟んでるから最短50分で忘却してるんだよ、記憶力がヤバいよね」
「ボクは『覚えてろよ!』って言った時点で、もう手遅れなんだと思うよ、脳が」
「「脳が……」」
「それか、地獄から逃げた寄生虫が耳から入って脳に住んでる」
「「怖いわっ!」」
「……ちょっと待って。たしか、ゲス男を尻から丸焼きにする虫が地獄にいたはず」
「あ、幼稚園の時にお寺に行って聞いた地獄の話に、本物のお尻齧り虫とか、人間の骨だけ大好き虫とかがいてるって聞いたよ」
「本物のお尻齧り虫……ぶふっ! あははははははっ!!(爆笑)」
「山ちゃんにウケとる……え、幼稚園でお寺に行くの? 遠足か何か?」
「遠足というより、『お釈迦様の有り難いお話を聞く会』みたいな? 幼稚園の近くのお寺にみんなで歩いて行って、『命を大事に』を教える過程として、地獄の恐怖を幼心に叩き込むという、英才教育の一つらしいよ」
「英才教育って、教えるジャンル広いな!?(笑)」
「ギャン泣きしたら忘れる子や、夜 寝たら嫌なことだけ忘れる子には効果無いよね。半分以上は『怖い!』って離脱してたけど、私は『なるほどね~』って最後まで聞いて、気になった細かいことを質問したけどね」
「細かいことが気になる悪い癖は、幼女の頃からだったのか……花……恐ろしい子……!」
「……話を戻すけど、ゲス男の尻専門の地獄虫がいるのは愉快」
「「あ、山ちゃん復活」」
「そういえばウチのクラスの男子たちが『クラブの先輩がトイレで見た』とかなんとか言ってたよ」
「トイレ? 『花子さん』かな?」
「『花子さん』は小学校限定! 他に出たら紛らわしいから」
「あ~~、うっかり男子トイレに出ちゃったら、ロリ疑惑が~」
「幼女じゃなくて『おっさん』って言ってたよ」
「「は? おっさん?」」
「やっぱり『兄貴』の霊かな?」
「トイレにガチムキは、BとLでも禁止!」
「ガチムキが男子トイレ待機は、ホラーじゃなくて犯罪だから禁止!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
―― 昼休み
「うぅ~~、嫌だよぉ~~、ガチムキなおっさんなんかと、リアルでエンカウントしたくないよ~~、夢に出てくるガチムキだけで勘弁してよ~~」
「黒木が怯えてる、珍しい」
「私だってガチムキ待機は嫌だよ……黒木っちゃん、ブッ飛ばさない方法を考えたらいいんだよ、ね?」
「ブッ飛ばす以外はもちろんあるけど、ガチムキのおっさんを触りそうになるのが嫌な以前に、特に日焼けでテカテカは気持ち悪いから見たくないんだよぉ~~、マンガとアニメはギリOK」
「「ゴキは平気なのに」」
「ムキテカおっさん、出てくるな~~、ナムナム~~」
花さんの祈りは天に届かず、翌日、新たなアヤシイ相談が持ち込まれるのであった―――
地獄のシンお尻齧り虫の正式名は『似髻虫』
ゲス男の亡者の尻を狙い穿ち、火と毒を吐きながら、脳まで喰い進みます。
製造終了してしまった『チ○ルシー』……リアルの山ちゃん(仮名)が好きだったなぁ。好きなのはチェ○シー(キャラメル)ではなく、オマケで入ってるカードのイラストが美少女&美少年だからでした(笑)
ボクっ娘な山ちゃんの夢は『魔女っ娘になること』
「制服戦士もいいけど、格闘ゲーム以外の接近戦を自分がヤるのは面倒くさいからイヤ。やっぱり、空から魔法でドカン!とヤるのがロマン」
その夢、叶うといいね。
近いうちに、きっと。




