2・人形使い(後)
(´・◇・`) ノ みんな~!楽しいざまぁ!の回だよ~!
読んでくれた人たちに感謝!
★髪の毛を無理矢理切られる表現があります。地雷の方は自主避難してください。
★胸クソ→ざまぁ!の相手側視点があります。
★登場する人物・名称などは仮称です。仮称ではない一部の名称などには、伏せ字をしています。
☆ボケとツッコミ……あるよ。
★私が書くざまぁ!は、個人を非難するための作品ではありません。ざまぁ!されるのは因果応報や、何か不思議なパワーとかのせいです。たぶん。知らんけど。
☆後半の『シャ○ニング父さん』が丸見えになっていたのを修正しました。内容に変更はありません(2025・6/19)
―――― ゴッソリ(爆笑) から3日後。
花さんは朝から自分のクラスの机の上に、ぐんにゃり凭れて伸びていた。
「姉ちゃん酷ぇわ……急にドラ○エ3やりたくなったからって、
『レベル30まで勇者たち育てて。お城の周りだけウロウロして。地元から旅立たないで。スライムだけ倒して』って、どんな縛りプレイやねん……地元って、城下町か?
勇者の名前を『忘れるから』って『ゆうしゃ』にするし……
『スライムって何? 油? 目の所燃やしたら爆発するの?』って、怖いわっ!
『オヤツにどら焼きあげるから』って、ドラ○もんとちゃうわっ!」
どうやらお疲れのようである。
「返事がない。ただの黒木のようだ」
「タダじゃない黒木だよっ! 無料じゃないよっ!」
「うわっ!! 生きてた!」
「まだ生きてるよ! おはよう!」
「おはよう。イラついてても挨拶するのは偉いよ」
「友だちに挨拶は基本だよ!」
「さて、坂もっちゃん。アヤシイお話の時間デス」
「アヤシイお話って(苦笑) うん、ガチのアヤシイ話だから合ってるか。私も解る側だし。まぁ、アヤシイドロドロ部分は伝えないほうが平和だからねぇ」
「一生知らなくていい情報だもん、忖度はサービスサービス~♪だよねぇ」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――― アヤコ視点 ―――
花さんのクラスでも、坂元さんたちのクラスでもない、同じ学年の別クラスの女子生徒の1人『アヤコ』は、10日くらい前からなんだかいい気分だった。
何が原因なのかちょっと忘れちゃったし、覚えてないけど、朝起きたらモヤモヤしていた気分が消えてスッキリしている。
なんとなく、最近好きになった隣のクラスの『ハヤマ』くんと近くなった気がするので、そのせいだと思っていた。
そのハヤマくんだが、男子でも女子でも関係なく話すのを見ると、ちょっとイラッとする。
特にやたらとハヤマくんに近づいて楽しそうに話す女を見ると、ますますイライラする。
他の女がいないときにアタシがお話しに行っても、困った顔で逃げちゃうのは、他の女がアタシの悪口を陰でコソコソ言ってるからに違いない。
そうじゃなかったら、ハヤマくんみたいなイケメンを、カワイイアタシが彼氏にしてあげるのなんて簡単なんだから!
……そうだ、きっとあの女が悪いんだ。クラスの男子たちが「キレイな子」って言ってたあの女。この前も廊下でハヤマくんと笑ってたのにアタシのこと無視させたし、ちょっと髪が長いだけでアタシのほうが長いし、背だってアタシみたいに小さいほうがカワイイって言われるし、キレイよりカワイイほうが男子たちが言うこと聞いてくれるし、いいことなのに……なんで上手くいかないのよおっ!!!あーー!!!ムカツク!!!
コトン
ベッドの上でバタバタしてたら何か落ちた?
……あ、コレまだ棚にあったんだ、すっかり忘れてた。
……あ~あ、もっとみんなこの人形みたいに素直にアタシの言うことだけ聞けばいいのに。
……アンタはいいわよね、茶パツに染めても怒られないし、ドレスなんてアタシは着たことないし、ズルイわよね、ズルイわよ、ズルイ、ズルイ……
……あっ!いいこと思いついた!アンタの髪の毛、あのムカツク女に付けて、『茶パツにしてるの隠してます』ってことにしてやろう!うんうん、いい感じいい感じ!キャハハッ!明日が楽しみ~!
……………………
………………
…………
……
「……おい。……おい、アヤコ。……アヤコ!!」
「ん~~? なぁに~、パパァ? 今テレビ見てんだけど~?」
「なんだじゃない! なんてだらしないんだ! なんだソレは!」
「え? どしたのパパ? ソレって何?」
「わからないのか!? もういい!! なんてだらしない姿なんだ!! こんなふしだらなのが俺の娘だったなんて信じられない!! こんなおぞましいモノで複数の男に媚びて誘惑してたんだな!! なんて性悪な頭なんだ!! わからないなら俺が全部正してやる!!」
「え? えっ? なにが? あ、ママァ! パパがおかしくギャアッ!!」
「おかしいのはオマエだ!! おとなしくしろ正してやる!!」
「ギャアッ!! 痛いいたいイタイ!! やめてパパァ!!」
「うるさい!! パパなんて呼ぶな気持ち悪い!! 『お父さん』と呼べ!!」
「……あなた!? アヤコ何したの、早く謝りなさい! あなたも落ち着いて!」
「きみは手を出さなくていい、俺がこのバケモノを処分する」
「処分!? え、なに」
「パパァ!! 離してよ痛いんだってば!! アタシが何したってのよ!! 何すんのよ!!」
「……こうするに決まってるだろ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あ~~、そういうふうに向こうに反ったのか~~。いや~、本当にお疲れ様って感じするわ~~」
「本当よね~~」
「アレよね、『シャ○ニング』のお父さん」
「そう、『シャイニ○グ』のお父さん、降臨」
「そりゃあ逃げれんわ~」
「『数撃ちゃ当たる』とは言え、ド下手はド下手だからこそ、何万分の一の確率、一世一代、1発勝負のヤツをドーーンと撃っちゃったんだわ、アイツ」
「撃ちゃったか~~、ナントカ拳法最終奥義・シン暗黒波~!」
「ぐあ~~!……って効くと思うとは片腹痛いわ! でも、昔のバリアは無敵じゃないから、ちょっと心配だったのよ」
「無敵バリア、古いと弱い説あるよね」
「そんなバリアにお悩みの奥様方には、この最新式で収納場所にも困らない、コンパクトなATフィ○ルドがオススメです」
「でもお高いんでしょう?」
「それがなんと今なら、大チャンス! 精神力を覚醒していただいた学生は、無料なんです!」
「学生の覚醒は無料!(笑)」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
数日前までは『父娘デート』で買い物に行く姿を近所の住民たちから認識され、自他共に『可愛がられている女の子』を楽しんでいたアヤコだったが、あの恐ろしい夜から別人のようになった『お父さん』に脅え、他人の視線も怖くて外に出られず、学校を休んでいた。
頭の中は『どうして?』でいっぱいで、楽しかったことなど、何も浮かんでこない。
「……アヤコ、ちょっといい?」
「…………」
「アヤコ、今は辛いでしょうけど、無理してでも学校だけは行きなさい。どうしても行くのが辛いなら、教室じゃない所でもいいか、学校に頼んであげるから」
「…………」
「ね? お友だちだって心配してるわよ? ママだって、アヤコの、ことが、心配、で……うぅ……ぐすっ……」
「…………」
「……ごめんなさい、ママが弱気になっちゃダメよね。アヤコにね、これ持ってきたの、ママのお下がりだけど、似合うと思って。アヤコはこういうの持ってなかったでしょ? ね、今度もっと似合うの見に行こうね」
「……………………うん。………………ありがとママ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「来てた?」
「来てたね」
「見た?」
「見たよ」
「ゴッソリ?」
「ゴッソリ」
「なにその単語会話……ちょっと怖いわ」
「……あと1人」
「あと1人?」
「あと1人いれば新ユニット『単語3兄弟』として、お笑い勝ち抜きバトルに」
「「なんで『姉妹』じゃないの!」」
「え、まずそれにツッコミ入れてもらう作戦で1ポイント先取」
「作戦……」
「作戦か……」
「あ、でもそもそもの話、黒木っちゃんの本気かフザけてるのか判別できない、シュール賢なネタが、笑いの練度が低いやつらに通じるか問題が……」
「無理やな……」
「うん、最初から狙って言ってないから無理だと思う。この前、うちのクラスの吉井さんから『推しコンビに投票して!』って頼まれて、手付き足付きだから行って投票したけど、スタッフの皆さんから『1度も笑わない子がいる!』って裏で騒がれてて、なんか偉い人からも『1度だけ笑ってたのは何故!?』ってムッチャ聞かれて、説明するのが面倒かったもん」
「「天然かっ!」」
花さんと坂元さんが話題にしていたのは、先日撃退した『人形使い』本人。
衝撃の『藤山さんピョンピョン事件』当日から、『欠席している同学年の女子生徒』がいるか、それとなく探っていた2人。
暫定ではあるが、『人形使い』と想定していた女子生徒は、黒いニット帽を被り、3日ぶりに登校。
しかし『不幸』なことに、長い髪を自慢していた女子の姿に違和感を持った男子の1人が、ニット帽を剥ぎ取ったせいで女子はパニックを起こして泣き叫び、花さんたちを含め、周囲の注目を集めてしまったのだ。
「ワ○メちゃんだったら、ギリギリ『オシャレ』だったんだけどね~」
「さすがに、ほぼタ○ちゃんはね~」
「私、前情報無しであの頭を見たから可哀相だと思ったけど、顛末聞いた後じゃ『カ○オじゃなくて良かったね』としか言えんわ」
「「まったくじゃー!」」
「それにしても、反ったのが当たったせいで、『シャ○ニング父さん』に進化するなんて、予想外だったよ」
「進化のエラーやな」
「寧ろ退化?」
「アレか、カンブリア期の『ぼくのかんがえたカッコイイいきもの』みたいなバージェスモンスター」
「え、なにそれ知らん」
「ほらアレよ、長ちゃんが好きな腐海の森の蟲の、海バージョン」
「アレかな? アノマロカリス」
「そうそう」
「簡単に言えば、『進化の失敗は賛成の反対だから、これでいいのだ生物』」
「「黒木っちゃん、言い方!(笑)」」
「えーと、最終的には、シャイ○ング父さんがブチ切れて、鷲掴みにした髪の毛をパン切りナイフで刈っちゃった、と」
「「怖~」」
「髪の毛の束って、カビたフランスパンより強いはずなのに」
「「怖~」」
「パン切りナイフって刃がギザギザなのに、よくゴッソリ刈れたよね?」
「なにかふしぎなちからがこえ~したのです」
「かみのかみのおしおきはこえ~なのです」
「暗黒妖精みたいな幼女セリフ、止めぇい。それから『髪』じゃなくて『人形』の神様ね。ムチャクチャ強そうな」
「シュタ○フ社?」
「海○堂?」
「ボケは置いといて、タ○ラ様のJSちゃんだよ」
「ん? JS? 女子小学生? タカ○で売ってた?」
「リ○ちゃんは初代から『あんな見た目』でも、永遠の小5だよ」
「もう妖怪やん!」
「で、その哀れな妖怪少女人形は、ご主人サマの無意識で勝手な命令で、夜な夜な不思議な力でピューーンってワープまでは成功しても、所詮は非力な妖怪少女人形……どうしていいかわからなくて、同じ女の子の藤山さんに助けを求めたんだけど……結果はご存知の通り、ゴッソリと」
「……なんか、命令に逆らえなかっただけなのに、返り討ちされた人形が可哀相になってきた」
「……黒木っちゃんの情け容赦無さのせいで、人形だけでも助けてあげたくなってきた」
「失礼な! 下手に情けをかけると『お礼』に何を持ってくるかわからないんだよ? 『ゴキの死体と朝まで添い寝』より怖かったらどうするの?」
「ひぃっ!! うちのニャンコは悪くない! 『黒いヤツ』が悪い!」
「あ~~、見た目に騙されるけど『生き物』じゃないもんね」
「そういえばあのリ○ちゃん、どうなったの?」
「アイツ? 再就職しようと思ったのかうちに来たけどさ~、こっちの予定とか何も考えないでいきなり夜中に来て、押し入れの中から襖をガサガサ触るから煩くって! 腹立つから追い返したら、次は夜の11時過ぎに来て、襖をノックしたのよ。『お、ちゃんと調教したら面白いかも。でも要らんわ~』って言ったら、しょんぼりしてる雰囲気がしたんで、こんなこともあろうかと用意しといた『オススメの巣』の場所を書いたメモ紙を襖の隙間から押し入れに入れたら、出て行ってくれたよ。たぶん、そこで上手くやってんじゃないかな?」
「へ~。それって何処? 念のために聞いとく」
「ん? よもぎ保育園」
「『トイ・スト○リー3』かっ!(爆笑)」
結局、女子生徒と父親との関係は壊滅したまま(母親とは今まで通り) 父親が許容する長さ(男子の短髪)より少しでも髪の毛が伸びるとブチ切れるため、卒業式でも帽子を被ってます。