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1・人形使い(前)

★『動く人形』が地雷の方は、自主退避してください。

★登場する人名・名称などは、全て仮称です(一部、伏せ字表記あり)

☆会話多め・ボケとツッコミ・ざまぁ!あります。


★実は昨夜、投稿寸前で全消去してしまい、力尽きて就寝……(涙)

 朝から必死こいて書き直しました!(汗)

「黒木っちゃん、昼休みにちょっといい?」

「ん? 特に予定ないからいいけど…………何か、厄介な感じがするなぁ……」

「さすが魔王様! 気付いたか!」

「誰が魔王やねん! イキリ勇者だったらお断りだよ!」



 とある大都会の隅っこにある、県立ヤマト高校。

 いつもと変わらぬ日常の隣にある非日常、その1つが、ボケとツッコミと共に始まりました。



 ◆ ◇ ◇ ◇ ◇



「きたよ~」

「黒木っちゃんキター!」

「待っていたぞ、勇者クロキよ」

「勇者ちゃうわ!」

「じゃあ魔王で」

「RPGネタ()めぇい」



 昼休み、友人の長野さんのクラスに来た花さんは、お約束でおフザけな挨拶を交わした後、長野さんの隣の席を借りて座り、詳細を聞くことにした。



「おはよう黒木君。今日の君への指令だが、我がクラスの藤山さんの部屋で、毎夜起こる怪奇現象を阻止することだ。例に()って、キミの作戦に我々は協力を惜しまない。(なお)、自主的に参加している私は、3秒後に自動的に消滅しない。健闘を祈る」

「うん、何か厄介な感じがしてたけど、やっぱりな。もちろん、話は聞くけど、仲介した(ナガ)ちゃんは居てくれないと困るし、(サカ)もっちゃんは自動的に消滅したらホラーだからね」

「あはは。私経由で聞くより、本人から聞くほうがいいと思って、満を持してお呼びしました」

「『満を持して』の使い方 間違えてるって。あと『司令官』繋りだからって、ゲ○ドウポーズ()めぇい」



◇ ◆ ◇ ◇ ◇



 花さんは、長野さんと同じクラスで友人の坂元さん、相談者の藤山さんの3人とお弁当を食べながら、相談内容を聞く。



「私の部屋のドアに何かの傷跡があるのに気が付いたのが3日前なのね。前の日にドアの前で自転車の鍵を落としたから、そのせいかな? って思ってたの」

「うん、ドアに傷跡ね………………うん、その傷跡、簡単でいいから絵に描ける?」

「うん、いいよ」



 藤山さんと目を合わせて話を聞いていた花さんだが、相槌を打つと少し(うつむ)き、何度も(まばた)きしながら視線をさ迷わせ、両腕を(さす)ると、ブレザーのポケットから取り出した紙とボールペンを藤山さんに渡して、ドアの傷跡を描いてもらう。



「ドアの下のほうに、こんな、チョンチョンチョンって、


   "" "" "" ""


感じの引っ掻き傷みたいなのがあったのね。それで次の日に見たら、なんかこんな感じに、


   """ "" """ """ ""


増えてて、もしネズミでも入り込んでてカジってたら嫌だから、お兄ちゃんに『夜中にドアの前、ちょっと見てくれる?』って頼んだのね。お兄ちゃん、夜更かししてるし隣の部屋だし。

 それで朝、『どうだった?』って聞いたら、小さい声で『ヒロミの部屋の前に、金髪でドレス着た小人の女が立ってた。ドアを押してるのかと思ってたら消えたんだ。アイツが、爪でドアを引っ掻いてたんだな』って……引っ掻き傷、たくさん、増えてて……今朝も……」

「あぁっ、もういいよ、ありがとね、よく頑張って話してくれたね。ちゃんと判ったからね。うん、アレならなんとかなるよ」



 涙ぐむ藤山さんを落ち着かせた花さんは、再び(うつむ)き何度も(まばた)きしながら視線をさ迷わせ、(しき)りに両腕を(さす)って、盛大に顔を(しか)めていた。

 そして何度か深呼吸をした後、デカい溜め息を吐いたかと思うと顔を上げ、


「あ"あ"ぁ~~!!ジメジメ陰湿、気持ち悪いんじゃあぁ~~!!」


と、腹の底から(うな)るようにシャウトした。



 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇



「……げふん……仕切り直しまして。(ナガ)ちゃんが相談予約に来た時、何となく厄介なヤツだな~って感じたんだけどね~。『たぶん』だけど、一方的な逆恨みしてくる小者(こもの)。素質は『微』なんだろうけど、もちろん素人(しろうと)。とは言え、面倒な『女』に狙われたねぇ~」

「そうなのね……ごめんね、面倒なこと聞かせちゃって。でも、どうしていいか、全然思い付かなくて……」



 しょんぼりする藤山さんに、花さんは自分の顔の前で手を振りながら「気にしない気にしない、報連相は大事だからね」と、優しく微笑む。



「まぁでも、何処(どこ)の誰だか何となく解っても1ミリも知らないヤツだし、陰湿だし粘着だし、勘違いも(はなは)だしい! サクッ!と素早くヤっちゃいますか」

「サクッ!とか (苦笑) 黒木っちゃんが判ったんなら、同情の余地が1ミリも無いヤツだもんね」

「サクッ!って、パン粉付けて揚げるの? 陰湿なヤツには容赦ないね~」

「フツーの人間の私を人食い妖怪みたいに言うの()めぇい」

「ダメだよ(ナガ)ちゃん。黒木っちゃんが人食い妖怪だったら、お寺の倉の地下に封印されちゃうから」

「え~? でも黒木っちゃんは妖怪アンテナがあるから、悪い妖怪じゃないよ」

「伝承の大妖怪に失礼だよ! お父さんは目玉じゃないし!」

「「えぇ~~? でもぉ~~」」

「えーも、でもも無い! ……ああっ!? ほら、藤山さんがドン引きしてるから、2人とも妖怪ネタ()めぇいっ!」


「……ふふっ。黒木さんて物知りでクールって思ってたけど、頼りがいがあるし、面白い人だったんだね」


おおぅ……藤山さ~ん、そんなキラッキラなお目目で見ないでぇ~~! 恥ずかしいんじゃあ~~!



 ◇ ◇ ◇ ◆ ◇



「さて、対処方法を1つ、教える前に、藤山さんには(いく)つか質問させてもらうね? まず、藤山さんの家にペットって居る?」

「ううん、お母さんが動物の毛アレルギーだから」


「藤山さんはリ○ちゃんやバ○ビーって持ってた? 今でも好き?」

「あぁ、アレね、持ってない。私、4才の誕生日からシ○バニア王国のお隣さんだから」

「おぉ、素晴らしい。シルバ○ア王国に長寿と繁栄を」


「それから、ホ○ホイって買い置きしてる? たくさんあるほうがいいんだけど」

「大丈夫だよ、お母さんが必ず買い足してるから。あの黒い悪魔はこの世から全て滅びればいい……うさぎちゃんのお家の屋根にあの悪魔が立ってた時はお兄ちゃんに退治してもらったけど絶対に許さないよ」

おだやかな藤山さんから深淵の闇が(のぞ)いてる……! シ○バニアの森に平和が戻ってよかった……」


「それと、お兄さんは協力してくれそう?」

「うん、お兄ちゃんは大丈夫だよ。朝ご飯食べてる時に『あの小人捕まえて見せてやったら、ミス研のやつらお祭騒ぎだよな♪』って、カブトムシ捕りに行くみたいにウキウキしてたからね」

「お兄さん、大学まで持って行くつもりなんだ……そして、ミステリー研究会の皆さんにウォッチングさせるんだ……【む~】さんに連絡しちゃうんだろな……」



 ちょっと遠い目になりつつ、花さんが提案したのは、

【『害虫捕獲用粘着材が塗布された紙箱』の粘着部分だけを切り取ったものを複数用意して、ドアの前に隙間無く横1列に並べて置く】作戦。



「なるだけホ○ホイが動かないように、ビニールテープとかで床に固定するとイイ感じになるはず。上手くいくと思うよ。ああそれと、お兄さんにしっかり伝えて、藤山さんにも必ず守ってほしいんだけど……」



 『人形が悲鳴を上げてる間は、絶対に部屋から出たり、(のぞ)かない。逃げる姿を見ても、絶対に後を追わない。もし、何か残ったモノがあれば、密閉出来る容れ物に入れて、忘れずフタの上に(おも)しを乗せること』



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◆



 ―――― 翌朝。



「おはよ~」

「きゃあ~~!!黒木さんきた~~!」

「どうだったんむ"っ「ありがと~~!!上手くいったよ~!うーれし~~!」はいはい、それはなによりだよ。ちょっと落ち着こうね~」


 藤山さんたちのクラスに行った花さんは、藤山さんから熱烈感謝なハグをされている。

 普段は物静かな藤山さんが、満面の笑顔で大ハシャギしているのだ。クラスメイトたちが驚くのは無理もない。

 しかも藤山さんの『乙女山』は ぷにるん♪ なのだ。

 そんな藤山さんが、自分より背の低い地味モブな花さんに飛び付くように抱き付き、そのままキャッキャと喜び、ピョンピョンしている。可愛い。



(わかるぞ、男子たちよ。さっきから嫉妬と欲望の視線がビッシ!バッシ!突き刺さってるからな。ダダ()れの心の声が……? 『オマエノ バショ オレト カワレ』だと……? だが断る。藤山さんの ぷにるん♪ を守るのが、今の私のジャスティス!)



 花さんが藤山さんの背中を軽くポンポン叩きながら「男子、哀れなり」とディスり思考していると、少し落ち着いた藤山さんは花さんから離れ、赤くなった顔で恥ずかしそうに「ごめん、嬉しくてつい……」と照れている。可愛い。



 ―――― 昼休み。



 昨日と同じメンバーでお弁当を食べつつ、藤山さんから詳細を聞く。



「お兄ちゃんが張り切ってホイホ○を並べてくれたんだけど、見てたらなんだかだんだん怖くなってきて、お兄ちゃんの部屋に布団持ってって寝かせてもらったのね。お兄ちゃんが居てるし、しばらく起きてるって言うから、私は寝ちゃったんだけど、そしたら廊下から『ギイィィイイィ~~ッ!!!』って何か小さい生き物みたいな甲高い鳴き声? 叫び声? がしてビックリして起きたらお兄ちゃんがドアの前にいて『出たらダメだぞ、まだ暴れてる音がしてる』って言うからそのまま待ってたら静かになって、『ヒロミの部屋見てくるから待ってろ』ってお兄ちゃんが部屋から出て、どうしようと思ってたら『やったぞ!逃げられたけどゴッソリ取れてる!』って持ってきたホ○ホイ見たら、金髪がゴッソリくっついてたの!」



 興奮気味の少し早口で話した後、むふ~!とヤりきった感のドヤ顔をする藤山さん。可愛い。



「上手くいって良かったよ~! ……それにしても、私が予想してた以上にゴッソリだったのか……」

「一応、人形だよね? ハゲ散らかしたまま逃亡か~」

「ちょっ!(笑) (サカ)もっちゃん、ハゲを散らかすって何よ?」

(ナガ)ちゃん、それはアレよ、(いさぎよ)(あきら)めないで暴れるから、汚く散らかるのよ」

「汚くって!(笑) じゃあ『きれいなジャ○アン』みたいなハゲ散らかしって何よ、黒木っちゃん」


「それではお聞かせいたしましょう、きれいなハゲ散らかしを。

 そう、それはまるで空から舞い降りる美しくも(はかな)い、繊細で可憐(かれん)な、小さな野に咲く花びらのような金の髪。

 しかし、ああ、なんということだろう。

 その長く美しく保たれていた髪は、嫉妬の嵐に翻弄(ほんろう)され、頼れる住処(すみか)であった頭皮から1本、また1本と、遥か彼方へ、二度と戻らぬ旅路に散っていく……それがきれいなハゲ散らかしの姿」


「あーっはははははっ!!! ぶふうっ! き、きれいなハゲ!!(爆笑)」

「ぐふぅっははははは!!! いやぁヤメて腹筋ヤバいぃっ!!(爆笑)」

「これしきのポエミや~んで爆笑するとは情けない。まだまだ修行が足りんのぅ~、ふぉっふぉっふぉっ~」

「「何処(どこ)の老師だよ!(笑)」」

「やっぱり黒木さんはすごいね♪」



 …………ちゃうねん。野生の勘(?)で行き当たりばったりのテキトーやねん。

  キラッキラのお目目、やめてぇ~~!

★ざまぁ!詳細は【2・人形使い(後)】で!

最高のコスパで最高の効果! いやぁ~、ゴ●ブリホ○ホイって、本当にイイもんですねぇ~(笑)

( ´・_・`) 今でもたまに、リ○ちゃんのCMや『トイ・スト○リー』のバ○ビーを見ると、ちょっとだけしょっぱい気分になることがあります。

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『ハゲ散らかす』をポエムにできる無邪気さが……私も欲しい(ノ´∀`*)
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