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私は勇者になるはずだった  作者: 大木戸いずみ


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「それで二人で僕に交渉しにきたというわけか」

 僕がそう言うと、ルイスとグレッグは声を揃えて「はい」と頷いた。

「……僕が君たちを助けるとでも?」

「俺たちが持っている情報は必ずこの国の役に立ちます」

「殺すには惜しい存在なんです。特にルイスくん。彼の体は確かに屈強だ。それに拷問慣れもしている。……この僕の拷問に根を上げなかった。なかなかの強者です。寝返るというのなら、少し考えてもいいかと。それに彼らを殺してしまえば、僕らの手でガルロット族を滅亡させてしまったことになります」

 オーカスが割り込んでくる。

 ……オーカスがここまで言うのなら、本当に殺すのには惜しい人物なのだろう。それに、今となっては、ガルロット族の長はグレッグだ。

 だが、まだ信用できない。

「グレート国が送り込んできたスパイで、今の話も全て作り話という可能性は?」

「もちろん、それもあります」

 オーカスは躊躇いなく頷く。

「なので、彼らの首に紋章を付けました。後ろを向け」

 ルイスとグレッグに向かってオーカスは厳しい口調でそう言い放った。彼らはオーカスの言葉に従い、その場で後ろを向く。

 確かに彼らの後ろ首には幾何学模様の小さな紋章があった。この紋章を見た瞬間、すぐになんの魔法か理解した。

 この特殊魔法は、相手に復唱させて成り立つものだ。主人を裏切れば、死に至る。主人の一念で、魔力の棘がこの紋章を通して首周りに突き刺さり、命を奪う。

 そして、この魔法を使えるのはこの国でたった一人オーカスだけだ。

 棘を使った魔法に秀でている第四貴族――ハルリンク家の長男だ。この家は代々王族に仕える魔法騎士として活躍している。棘に基づいて、この建物はイバラと名付けられたぐらいだ。

 彼らがこの魔法の意味をしり、復唱したということは、命を懸けて我々に仕えるという覚悟だろう。

 この紋章により、ルイスとグレッグの誠意を見せつけられた。

「彼らの命は僕らの手の中にあるということです」

 オーカスの言葉に僕は小さくため息をついた。

 ここまで徹底的にされると、僕はもう何も言えない。……流石はオーカス、やられた。

「分かった、話を聞こう」

 俺は静かに声を発した。

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