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私は勇者になるはずだった  作者: 大木戸いずみ


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 王家と議会以外で唯一その言い伝えを知っているのが、サラだ。

 だから、彼女はエルヴィが言い伝えの少女と世間に公表されることを懸念している。というより、反対派だろう。

「ああ、それと、捕虜たちの件ですが、オーカス副団長が別の場所へと移動させたようです」

 サラが思い出したようにそう口にした。 

 牢獄から勝手に移動させても僕が何も口出ししないのは、相手がオーカスだからだ。全幅の信頼を置いている。何か理由があるのだろう、と基本的には彼の好きにさせている。いつも必ず成果を上げているからこその自由だ。

 俺は「どこに?」と二人が移動された居場所を聞いた。

「イバラです。確か、二階の一番奥です。どうやら、こちら側につきそうですよ」

 訓練場と王宮の間に三階建ての簡素な建物がある。豪華な造りは一切ない。それが王宮騎士団の管轄内である建物――イバラと呼ばれている。

 訓練場の陣地がカイルのものだとすれば、イバラはオーカスのものだ。主に魔法がメインであり、さらに情報戦において役に立つ機関だ。

 剣を扱い、身体能力が求められるカイルが率いる場所とは全く違う。どちらもそれぞれ役割を持っている。

「意外と短かったな。もう少し粘るかと思っていたが」

「相手はオーカス副団長ですよ。それに、彼らは元々寝返る気だったと思います。特に最初に捕まった方は。……その魂胆がバレないように、反抗的な態度をあえてとっていたように思います。詳しくはオーカス副団長から聞いてください」

「……とりあえず、今から向かうよ」

「では、私はこれで失礼いたします」

 サラはそう言って、僕に頭を下げて僕の下から去った。

 ……さっき会ったばかりだが、エルヴィに会いたい。

 僕はエルヴィのことを考えながら、イバラへと足を進めた。



「……レグート国を裏切り、ジェガナ国につくと?」

 僕は椅子に座りながら、にこやかに笑みを浮かべて二人を見る。二人は緊張した面持ちで僕の前で直立不動の姿勢だ。その横にはオーカスがいる。

 二人はオーカスによって清潔感ある格好をしている。なかなか様になっていた。

 最初に捕まっていた長髪で上半身鞭で打たれた跡のあった男は、長い髪を頭の後ろできっちりとお団子でまとめていて、髭も剃られており、以前とは全く違う顔付をしている。

 額の右上に傷のある短髪の男は顎髭は整えられており、覚悟の決まった表情を浮かべていた。まだ頬はこけていて、体に肉が全くないことが服の上からでも分かる。

 ……こうして見ると、二人ともまだ若い。特にお団子の方は身なりを整えるだけで随分と若返った気がする。

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