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私は勇者になるはずだった  作者: 大木戸いずみ


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79 ヴィナス・ジェガナ 十八歳

「エルヴィ様からの勝負を受けて、良かったのですか?」

 エルヴィが王宮から帰った後、サラが僕に近づいてそう言った。僕は両腕をグッと天井に伸ばしながら、凝っていた身体をほぐしながら廊下を歩く。

 ……良かったもなにも、僕は拒むことなんてできない。

「真剣に僕に挑んでくるあの瞳には敵わない」

「…………言い伝えの少女はエルヴィ様のことですかね」

 少しの間、考え込んだ後にサラはそう口にした。僕は「そうだろうね」と返答した。貴族の中にもエルヴィが言い伝えの少女だということに薄々気づき始めている者はいるだろう。

 太陽の瞳をエルヴィの瞳だと思っていたものは多いはずだ。だが、言い伝えの内容を解くのは難しく、その少女がエルヴィだと仮定しても、辻褄が合わないと考えていた。

 エルヴィが言い伝えの少女であるという可能性は次第に低くなっていった。……が、彼女が騎士団に入団して話が変わった。

 勇者試験で知ることになった彼女の実力は目を瞠るほどではあったため、議会に注目されつつあった。そして、現在は王宮騎士団に所属している。

 まさかエルヴィが騎士団に入ることにはなるとは誰も思わなかっただろう。

 女性として初めて騎士団に入ったのだ。今までにも騎士団に入るという女性は沢山いたが、「規則だから」という理由で一切受け付けなかった。 

 だが、エルヴィ・ケーレスは実力であのカイルに認められたのだ。王家に使える最もエリート騎士団のトップだ。

 これは歴史を変えるほどの大きなことだ。ものすごいことだ。……しかし再び、多くの学者や議会の者たちが言い伝えの少女としてエルヴィの名を出してきた。

「貴族議会が『エルヴィ・ケーレスが言い伝えの少女だということを公にしよう』と」

「正気か?」

 僕は思わず顔を歪めてしまう。 

 そんなことをすれば、エルヴィの世界が窮屈になる。それに言い伝えの少女がエルヴィだと世に出せば、かつてケーレス家に存在したオレンジ色の瞳の男の存在について両親から知らされることになるだろう。……そして、その男の結末も。

「正気のようです。貴族議会はエルヴィ様を勇者にさせたがっているようです」

「クソ議会め」

「口が悪いです、殿下。……ですが本当にその通りですね。彼らの考えは、ジェガナ国の安泰のためにエルヴィ様には犠牲になってもらうつもり……。クソですね」

 今、僕に口が悪いと注意したばかりなのに、しっかりクソと言っている。サラは険しい表情を浮かべている。

 言い伝えにはまだ隠されたことがある。世に出回っている言い伝えはだたの一節だ。学者にすら教えていない言い伝えを議会は持っている。

 王家と議会は秘密保持契約を結び、『過ぎ去りし時代への愛着を絶ち、太陽の瞳を持つ少女が闇夜で輝く日が来るだろう』という言い伝え以外は公開しないことにした。

いつも読んでいただきありがとうございます!

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