表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は勇者になるはずだった  作者: 大木戸いずみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/142

78

 感情のままに声を発してしまった。もう少し感情を落ち着けてから話すべきだった。

 こういうのは迫力で押してはダメだ。ヴィナス相手だと冷静に話し合った方が良かったのかも……。あたりが強い女だと思われちゃう。

「あ、の……、ちょっと強く言いすぎました?」

 今更ながら、恐る恐るそう聞いた。

 ヴィナスは私の言葉を聞いて、すぐに表情を崩し笑みを浮かべた。

「いいや、最高だ」

 なんという、破壊的スマイル。王族って、やっぱり格が違う。

 私が強固な心臓を持っていなかったら、きっと心臓爆発して倒れてましたよ。

「怪我なんて格好悪いと思っていたけれど、エルヴィに心配されるなら怪我も悪くないね」

「しないでください、怪我なんて」

 顔を綻ばせているヴィナスに対して私は強気でそう言った。 



 私たちはソファに向かい合って座り、お茶をしながら、他愛もない話をした。……訓練の話がほとんどだったけど。

 カイル団長がどうとか、騎士たちが私に心を開いてくれつつあるとか、そんな話ばかり。……なんとも可愛らしくない話題だ。

 だが、ヴィナスは楽しそうに私の話を聞いてくれる。

「エルヴィが他の男と仲良くしすぎると嫉妬しちゃうね」

「自分より弱い男性には興味がないので」

「ってことは、僕には興味があるってこと?」

「そういうことです」

 私があっさりとそう返したので、ヴィナスは少し戸惑う。想像していた反応と違ったのだろう。

 ヴィナスに興味を抱かない方が難しい。王子兼勇者なのだ。それだけで、興味しかない。

「……ヴィナス様、私とお手合わせ願います」

「はい?」

 私が少し間を置いて発した言葉に、ヴィナスは眉間に眉を寄せた。

 まだ一度もヴィナスと戦ったことはない。魔法も剣術もヴィナスはきっと私とは段違いに強い。改めて、この身にヴィナスの強さを刻んでおきたいと思った。

 それと同時にカイル団長と戦った時の気持ちを思い出す。恐怖の裏側には興奮がある。心がワクワクするのだ。

 それに、私はいつかヴィナスに勝とうとしているのだから、相手の実力を知る必要ある。足元にも及ばなのかもしれない。けど、それでもいい。

「僕にそんなことを言ってきた女の子は君が初めてだよ、エルヴィ。僕と戦いたいなんて」

「じゃあ」

「だけど、無理だ。僕は君に剣を向けることはできない。君相手なら、僕は降参だ」

 私の言葉を遮り、ヴィナスはそう言った。私は露骨に口を尖らせて、不服そうな表情を浮かべた。

 なんか複雑な感情になる。…………いや、それでもやっぱり私は王子と手合わせしたい。私の中でその気持ちが勝った。

「どうか、お願いです。一度だけでいい。私と勝負してくれませんか」

 私はその場に立ち上がり、誠心誠意をもってヴィナスに対して頭を下げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ