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私は勇者になるはずだった  作者: 大木戸いずみ


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 私が王宮に着き、「ヴィナス様に会いたい」と言うと、すぐに侍女がヴィナスの元へと駆け足で向かった。

 今思えば、そんな理由で王宮を来たのは初めてだ。自分でも不思議な気持ちだ。

 ケーレス家の応接間の倍以上の大きさと豪華さのある王宮の応接間でソファに座りながらヴィナスを待つ。

 先ほどの侍女の反応を含めて、改めてヴィナスと婚約しているのだと実感する。

 まさか、この国の第一王子と婚約することになるなんて思いもしなかった。それに、その王子はなんと私のずっと目指していた勇者にはなるし……。とんでもない人に出会ってしまった。

 いくらヴィナスが最強と言っても、やはり魔物と戦うとなると心配になる。私は魔物と対峙する恐怖を知っている。

「私も場慣れしないと……」

 魔物退治に一緒に連れてもらおう。

 コンコンッと扉がノックされ、先ほどの侍女の声が聞こえた。

「エルヴィ様」

「はい」

「中に入っても?」

「どうぞ」

 私がそう言うと、「失礼します」という声と共にガチャッと扉が開いた。侍女はティーカップが置かれたキッチンワゴンを押しながら、私の近くへと歩いて来る。私の前で立ち止まり、両手を胸の下で結び、ゆっくりと頭を下げた。

「殿下は只今、急な案件への対応に追われておりまして……、もう少々お待ちいただけますでしょうか」

「ええ、もちろんよ」

「ありがとうございます」

 侍女はすぐに丁寧な手つきでポットからティーカップへとお湯を注ぎ、紅茶を入れてくれた。私の前にあるコーヒーテーブルに音を立てずにティーカップが置かれる。

 流石王家に使える侍女。全ての所作が完璧だ。

「では、失礼します。何かあればいつでもお呼びください」

 侍女はそれだけ言って、部屋を去った。

 私は紅茶を口に運びながら、部屋の中をぐるりと見渡した。ふと壁にかかっている大きな額が目に留まった。ソファから立ち上がり、その額が飾られている前まで足を進めた。

「肖像画じゃないんだ……」

 私はそう呟きながら、額の中に存在する立派な世界地図を見つめた。

 なっつかしい~~~~。

 久しぶりに世界地図を見た。昔、本で学んだぶりぐらいだ。

 私は少し興奮気味に世界地図を食い入るように見た。この地図はジェガナ国を中心に描かれている。海を渡った先の国は描かれていないようだ。

 ジェガナ国は三つの国に挟まれている。東にモル国、西にレグート国。そして、北はミナジェス山脈を隔てて雪国のマゴリャス国が存在する。そして、南はボーン海という大海。

 これがこの世界地図に書かれている範囲である。

 ……こうして見ると、マゴリャス国ってかなり面積が大きい。レグート国とジェガナ国、そしてモル国を足したぐらいの広さだ。

 地図上では大国に見えるが、実際はそうでもない。年中雪が降り続ける特殊な地域で、人間が住める範囲も限られている。

 私は紅茶を飲みながら、世界地図を暫く眺めていた。

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