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僕は椅子に座りながら、机に置かれた書類に目を通す。
舞踏会で捕らえた侵入者についてだ。どうやら彼は少し前に捕まえた捕虜の仲間だったらしい。つまり、レグード国の少数民族。
……滅びそうな民族が二人もここにいるなんて、なんとも奇妙なことだ。
どうやら捕虜になった男を助けにきたようだが、無意味だった。あっという間に両方牢獄だ。
ガルロット族は皆、向こう見ずに突っ込んでくるタイプなのか?
……いや、だが、最初に捕まった方は捕まることを望んでいたようだった。あの国にいても殺されるだけだ、と言っていた。
レグート国の内政においては、民族同士の対立が激しい。人口の大多数を占めるモリート族が政の決定権を持っている。
現在、ジェガナ国とレグート国の関係は緊張状態にある。レグート国はジェガナ国の国土を狙っており、いずれ帝国になろうとしている。国の面積はジェガナ国の方がレグート国よりも小さい。だが、我が国は内政も安定しており、国力はジェガナ国よりも強い。
国境線ではお互いに睨み合っているのに、よく彼らはジェガナ国に入ってくることができたな……。
俺は改めてそんなことを考えながら、捕らえた二人を捕虜として扱うことは無理だと考えていた。モリート族がガルロット族の為に動くとは思えない。
となると、ただの侵入者として罪人扱いするしかない。……そうすれば、かなりの重罪だ。他国の者が王宮に侵入したのだ。極刑になる。
だが、まだ情報は絞れるはずだ。オーカスにはもう少し頑張ってもらおう。
……魔物退治でも忙しいのに、さらにレグート国との関係も深刻になるのは避けたい。
そんなことを懸念しながら、書類の最後のページを捲った。
『黒い短髪で、額の右上に傷跡あり。身体は瘦せ細っており、栄養失調気味』
そう書かれた隣には似顔絵も書かれていた。目鼻立ちがはっきりとしているが、頬は少しこけているように見える。
ガルロット族に健康な者はいないのか?
もう少しレグート国の内情を探る必要がある。
「暗黒の森でまた魔物が現れました!」
突然、部屋に扉が強く叩かれる音と男の声が響く。
夜中だというのに……。
俺は小さくため息をついて、椅子から立ち上がり部屋を出た。
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