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私は勇者になるはずだった  作者: 大木戸いずみ


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139 レグネル・ケーレス 十八歳

 俺は「騎士への感謝祭」というテーマの王宮で開かれているパーティーに参加していた。

 踊ったり、喋ったり、飲んだり、とここ最近で最も賑やかと言ってもいいパーティーだ。リーシャと一曲ダンスをして、二人で談笑をしていると、使用人が俺の下に近づいてきた。

 ヴィナスが呼んでいるとのことで、俺は途中で会場を出た。

 そして、会場から近い別室へと向かい、ヴィナスと二人だけで立ち話をした。

 内容は「どうしてエルヴィの記憶が戻っているのか」ということだった。

 俺はエルヴィが幼少期に記憶を誰かによって消されたことをなんとなく察していた。

 ある日、突然森へ行かなくなった理由をエルヴィに尋ねると「なにそれ?」と不思議そうに首を傾げていた。その様子はとても演技とは思えなかった。

 なぜかよく分からないまま年月を経て、ある日、ヴィナスの口から「とある子の記憶を消したことがあるんだ」と記憶を消す魔法についての説明をしてくれたことがあった。

 その言葉を発せられた時は深く考えなかったが、よくよく考えれば、「もしかして、エルヴィの記憶を消したのはヴィナスなのでは?」と疑問を抱くようになった。

 だが、そんな疑問も心の底に秘めておいた。

 そして、今、はっきりした。やはり、ヴィナスがエルヴィの記憶を消したのだと。

 幼い頃の二人に何があったのか分からないが、俺は黙ってヴィナスの話を聞いた。

 ヴィナスの話曰く、やはり森でヴィナスとエルヴィは二人は出会っていた。そして、エルヴィが魔物に襲われて瀕死状態になっていたらしい。……そんな状態になったことがあったなんて、俺は少しも知らなかった。ヴィナスの口から出てくる内容はどれも驚くものばかりだった。

 言われてみれば、エルヴィが森に通っていた時の頃、「おねえちゃんがいるの」なんて言っていた気がする。けれど、そんなものは遠い記憶だ。ほとんど覚えていないし、その子が誰かなんか分からなかった。

 知らない人に近づいちゃダメだ、と軽く注意はしたものの、エルヴィの言う「おねえちゃん」を危険人物だととらえていなかった。

 ……そうか、ヴィナスを女だと間違えていたのか。

 最近になって、エルヴィが「消えた記憶がある気がするの」なんて言ったのには驚いた。

 何故それを今!? とも思いながら、はぐらかすことしかできなかった。なぜなら、エルヴィの記憶を

消したのはヴィナスだという確信がなかったからだ。

 ヴィナスは「過去の出来事は以上だ」と言って、一度話を止めた。

 …………思ったよりも、深刻だった。

 エルヴィがヒーローになりたいと心に決めたのはヴィナスがきっかけなのだろう。

「……ちょっと、情報を整理させてくれ」

 ヴィナスは「ああ」と短く返答し、俺は片手で額を抑えながら頭をフル回転させた。

 一気に情報量が増えて、脳がパンクしそうだった。

 なにがどうなってる。勇者を目指すきっかけを作ったのがヴィナスで、エルヴィから勇者の座を奪ったのもヴィナス。…………もう無茶苦茶だ。

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