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私は勇者になるはずだった  作者: 大木戸いずみ


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 それからというもの、私は暗黒の森に行き、魔物との戦いを何度か手伝った。

 騎士団長になってから、すぐに魔物出現情報が入るようになった。

 小さな銀色のイヤーカフのようなものを配布された。それを耳にかけておく。魔物が目撃されたら、瞬時にそこから情報が聞こえてくる。

 簡単に言えば、魔法器具。しかも、グラファン家が作っている。

 ちなみにカイルは耳にそんなものを付けたくないと言って、その要望にそって別のものが作られたらしい。

 カイルのそんな要望が通るのも、それだけ彼が優秀だということだろう。

 彼は耳の後ろに小さく丸いもの貼っているらしい。ほとんど目立たない。……というか、近くで見ても遠目で見ても分からない。ずっと一緒にいて気付かなかったぐらいだ。

 正直、魔物退治はかなり過酷だった。

 私一人で魔物を仕留めることもあれば、ヴィナスと二人、カイルと二人、など様々だった。

 しかし、前に街が襲われた時のように三人で魔物を倒すことはなかった。それほど上級クラスの魔物は現れなかったということだ。

 近頃は特に忙しくて、自分の騎士団のメンバーを増やしている間もなかった。

「魔物ってこんなに頻繁に現れていたのね」

 屋敷の図書室で本を読みながら、一人でため息をつく。

 改めて、今の状況が大変なのだということを実感する。

 早く自分の騎士団を作り上げたい。そして、その日がようやく来る。…………明日!!

 ……厳しく審査しよう。

 私は再び本へと視線を戻した。

 これは、レグート国が禁断魔法を使った時の歴史書だ。

 歴史書によると、魔物が狂暴化し、制御できなくなったのは魔力不足だったそうだ。それにより、誰も操れなくなった魔物を野放しにすることになった。

 やっぱり、こんな凄惨な事件を再び繰り返すとは思えない。

 私がレグート国なら…………魔力不足を補うように計画を練る。魔法技術よりもそっちの方が早い。魔法技術を上げるよりもよっぽど現実的だ。

 けれど、それほどの膨大な魔力をどうやって……?

「あ~~、分からない! こうなったら、レグート国の人間を捕らえて話を聞くしかない気がしてきた」

 私は独り言を言いながら、本を片手に図書室を歩き回り、思考を巡らせた。

 まだレグート国が禁断魔法を使っているとは言い切れない。

 ……ただ、そう断言してもいいと思える事象が起こりすぎている。

 ゴッカドルスが街に現れて、疑心が確信となりかけた。最近の魔物の様子もなんだかおかしい。正気を失っているような気がする。

 あと少し、何か決定的な証拠があればいいのに……! 

「従属の回路が脳に刻み込まれているのを見つけられれば……、いや、不可能だわ。魔物が死んだのと同時に回路は消えてしまう」

「お嬢様~~!!」

 私を探すローズの大きな声がどこからか聞こえてきた。足音が段々こちらへと近づいて来る。

 まずい。ローズにはレグート国と魔物の関係のことは隠しておかないと。

 私は急いで歴史書を本棚に戻し、図書室を後にした。

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